2005年08月

翻訳済み原稿のタイプ打ち内職(在宅インターン制度の作業)をしていて、
他の翻訳者の誤訳や、ふさわしくない語彙の選択に出会うことがある。
なぜここで誤訳をしてしまったのか、その原因・背景を推測することで、
自分の翻訳では誤訳をしないように防止策を考案できるのではないか。


例えば機械関係で「騒音防止」がよりふさわしいところが、「雑音防止」となっていた。
ドイツ語の "L??rm" は辞書では、「雑音、騒音」となっているが、
状況からふさわしい訳を判断しなければならない。

また、ドイツ語の複合語は長くなるためか、構成成分に分離するときに間違えて、
全く異なる意味になっていることがあった。

著名な翻訳家であっても、誤訳の告白という記事が何度か出ていることがある。
思い込みによる間違いであったり、専門用語の調査をせずに違う用語を使ったり。

私は独日の辞書でわからないときは、独独や独英で調べて、更に日本語にすることがある。
ドイツ語のホームページで調べて、その単語の用例を集めてから判断しているが、
このような調べ方なので、誤訳をするのではないかと感じながらの翻訳になっている。


ところで、「日本人はウサギ小屋のような家に住んでいる」 という発言は誤訳と言うか、
元々の言葉の持つニュアンス・使用される状況までは伝わらないという例だろう。
これはフランス政府関係者のフランス語から英語に訳され、更に日本語になったという。


フランスでは、狭くて劣悪な環境のアパルトメントのことを 「ウサギ小屋」 と言っていたそうだ。
「ウサギ小屋」 に対応する英語はあるわけだが、ニュアンスは失われる。
「ウサギ小屋」 という日本語だけが伝わるため、いろいろと誤解が生まれるのだ。

というわけで、日本語に翻訳できても、元々の状況やニュアンスが伝わりにくいときは、
私は訳注をつけて解説するように心がけている。


(最終チェック・修正日 2005年11月26日)

「科学技術立国」というキーワードで法律も制定され、これまで多額の予算がつぎこまれてきた。
大学院重点化やドクター倍増という数値目標は達成されたようだ。

とはいえ、研究者の流動化や就職先のあっせんは期待はずれと思われる。
科学技術関連予算でも「人材育成」が重点化されるなど、計画性のなさを露呈していると思う。

日本経済新聞8月19日朝刊1面、

「ニッポンの博士 大量養成 逸材とゆがみ 行き場失う負け組も」

と題した記事に、民間企業に就職できない博士の話が出てくる。


卒論から同じ教授の下で同じテーマを続ける人が多く、
しかも論文を幅広く読まないために他分野の状況がわからないまま博士になってしまう。

大学に人材育成を任せても、教官も自分の研究が進むことが優先なので、
学生に外に出るように促したり、他分野の文献を読むように指導するわけがない。


そうは言ってもメーカー研究所でも、

「月例報告会で他グループの発表は聴かずに退席し、自分の研究グループの仕事に専念すること」
と、部下に指示しているリーダーもいるが。


ポスドクをするならば、大学助手など終了後・帰国後の保証がある人だけの方が無難ではないか。

研究能力や実験テクニックがあるならば、派遣社員として時給 2,000円から
2,500円の仕事をするのも選択肢になるだろう。

とにかく最後は本人が、どういった仕事ならば幸せを感じるのかを考えて進路を決めてほしい。

(最終チェック・修正日 2005年11月26日)

約半年ぶりの翻訳を15日に納品した。

専門用語などの不明点は訳注として添付したものの、
ケアレスミス4箇所があり、チェッカーより訂正依頼が来た。


実験の部で試薬量と操作が一つずつ。
あとは副詞と接続詞の誤訳が一つずつ。

顧客への納品は今日の夕方ということで、
13時頃に送った訂正版は間に合うようだ。

今思うと、なぜ間違えたのかわからないが、それがケアレスミスというものだろう。

今日はアルバイトを休む日にしてあったので、すぐに訂正できてよかった。
在宅翻訳者は、やはりいつでも連絡が取れるように、翻訳専門にするべきだろうか。
以前も留守番電話に何件も問い合わせが入っていたこともあるし。

翻訳専業にするのは定年後と思っていたが、転職がうまく行かないのであれば、
ここで決断することも必要ではないか。

能力があれば翻訳者として評価されるが、会社では邪魔をする人が必ず出てくる。
旧帝大博士でドイツ留学歴があるということについて、
エリート意識が我慢できないという社員や上司が必ずいる。

私がこれまで学んだことを社会に還元するならば、本業の化学でなくても、
ドイツ語翻訳でもかまわないのではないだろうか。

ただ、これから応募する人事もあるので、結果が出るまで決断は先延ばしになる。
9月中には決めることになるだろう。

(最終チェック・修正日 2005年11月26日)

 先ほどドイツ語特許の翻訳を終了した。

先週金曜の夜までにほぼ仕上げたものの、いくつかの専門用語で調査が必要になった。
土日をかけて、ドイツの専門誌や公開されている博士論文なども探してみて、
一つを除いては確認できた。

この不明点以外にも、原文の間違いや複合語の説明などは訳注をつけておいたので、
翻訳会社のコーディネーターと顧客が判断してくれるだろう。

以前も訳注をつけたところに関して質問が返ってきたことがある。
こういったレスポンスがあると、翻訳していることが実感できてうれしい。

翻訳していて感じるのが、文字通りの訳は可能でも、
具体的イメージがわかない場合があることだ。


つまり一語一語対応する日本語をつなげることはできても、
その用語がどういった実験操作のときに出てくるのか、
または生体分子のどういった立体構造のことを言いたいのか、
ということが思い浮かばないことがある。

私は有機化学専門で、遺伝子工学の実験など経験がないので、
特許の内容を理解するのも時間がかかって困る。

今の科学界は英語全盛なので、バイオ系でドイツ語が得意な人が少ないのかもしれない。
専門書の購入費を経費にできるのであれば、いくつか買っておこう。

今月はあと一件は翻訳したいものだ。
特許庁データベース用の翻訳者に他社で登録したものの、一ヶ月たっても何も連絡が来ない。
ドイツ語専門というのは範囲が狭いのかもしれない。
英語の翻訳家としても登録すべきだったのかもしれない。

まあ、お盆休み明けに仕事が来ることを期待しよう。

(最終チェック・修正日 2005年11月26日)

今月から午後半日7時間程度のアルバイトを始めたが、
久しぶりにドイツ語特許公報の翻訳依頼が来た。

4月の転職と6月末の退職で個人的に忙しく、約半年ぶりの翻訳である。

5月には、前勤務先の同僚から実験の部の翻訳を頼まれたが、
このときは当時の勤務先の製品を優先的に注文することで無料で翻訳した。

特許公報は字数も多いので(今回は7千字弱)、源泉徴収後で約8万6千円の収入となる。
納期は二週間なので、もし月2件処理すると月収は17万円前後と期待される。
これに平日6時間程度のアルバイトをすれば、月収25万円程度が見込めるだろうか。

在宅での翻訳の仕事は能力主義であるし、今までの会社のように嫌がらせや
邪魔をする社員もいないので、私には合っている働き方だろう。

ただ、翻訳で儲かることはほとんどないので、それに厚生年金もないので、
老後は暗いのかもしれない。
やはりベストセラーか教科書を出さないと、収入は安定しないのだろう。


アルバイトは暑すぎて体力がもたないので、木曜日は休みにした。
木・土・日で集中的に翻訳しよう。

(最終チェック・修正日 2005年11月26日)

↑このページのトップヘ