この大晦日の夜は、たいていの人は格闘技か歌番組を観ていることだろう。
ただ私は、NHK教育テレビで午後8時半からの、「ETV特集・選」を観た。
「ゼロ戦に欠陥アリ」 は、日本海軍のみならず、日本人特有の体質を警告する番組だ。
20年ほど前にもNHKは、特集番組のある回にゼロ戦の欠点について放送した。
今回の放送と重複する内容も含むが、特に 「人命軽視」 と「問題先送り体質」 に注目している。
ゼロ戦を設計した技術者は、企画者である海軍上層部に意見できる立場にはなかった。
指摘された欠陥について海軍は知っていたが判断を誤り、その後の改良も裏目に出た。
判断を誤った者を解任することなく、その場限りの作戦で、精神論のみで戦争を遂行し、
そして最後には「神風特別攻撃隊」という、人間性を否定した作戦にまで到達した。
これは戦後も日本社会に残った問題である。
現在の耐震データ偽装や、JR西日本の脱線事故、薬害問題、アスベスト、
そして職場でのパワーハラスメントなどによる精神疾患の増加にもつながる。
山本七平著、「日本はなぜ敗れるのか」 という本も参考になるだろう。
ゼロ戦は極端な軽量化により、きりもみ飛行や旋回など、空中戦での運動性能は向上したが、
機体の強度不足から、急降下時には翼がねじれて空中分解する危険性があった。
資源の節約が優先したため、強度を犠牲にし、そして急降下速度を制限することで対応した。
そのため急降下で逃げる敵機に追いつけず、逆に急降下してくる敵機に次々と襲われた。
また、攻撃が目的の戦闘機に防御は不要ということで、防弾や消火設備という安全思想はなかった。
燃料タンクにも防弾措置がないため、弾が当たればすぐに火災となり爆発し、
貴重なベテランパイロットが次々に失われた。
戦地のパイロットから防弾の実施を要望されたが、海軍上層部は無視した。
「弾に当たらないように大和魂を見せろ」 と。
人命よりも機械の性能やコスト削減を優先し、現状を把握せずに、慎重派を精神論で黙らせる。
鎌田慧の著書に、「ひとを大事にしない日本」というタイトルがある。
この本のタイトル通り、日本では組織が優先されて人命の尊重は後回しだ。
だから、あの戦争から日本人は学んでいないとも言える。
過去を検証せず、反省もせず、そしてその場しのぎの対応で後手に回る。
いつになったら気づいて変わろうとするのだろうか。
来年は、明るい将来に向かう年になってもらいたいものだ。
(最終チェック・修正日 2006年01月03日)
ただ私は、NHK教育テレビで午後8時半からの、「ETV特集・選」を観た。
「ゼロ戦に欠陥アリ」 は、日本海軍のみならず、日本人特有の体質を警告する番組だ。
20年ほど前にもNHKは、特集番組のある回にゼロ戦の欠点について放送した。
今回の放送と重複する内容も含むが、特に 「人命軽視」 と「問題先送り体質」 に注目している。
ゼロ戦を設計した技術者は、企画者である海軍上層部に意見できる立場にはなかった。
指摘された欠陥について海軍は知っていたが判断を誤り、その後の改良も裏目に出た。
判断を誤った者を解任することなく、その場限りの作戦で、精神論のみで戦争を遂行し、
そして最後には「神風特別攻撃隊」という、人間性を否定した作戦にまで到達した。
これは戦後も日本社会に残った問題である。
現在の耐震データ偽装や、JR西日本の脱線事故、薬害問題、アスベスト、
そして職場でのパワーハラスメントなどによる精神疾患の増加にもつながる。
山本七平著、「日本はなぜ敗れるのか」 という本も参考になるだろう。
ゼロ戦は極端な軽量化により、きりもみ飛行や旋回など、空中戦での運動性能は向上したが、
機体の強度不足から、急降下時には翼がねじれて空中分解する危険性があった。
資源の節約が優先したため、強度を犠牲にし、そして急降下速度を制限することで対応した。
そのため急降下で逃げる敵機に追いつけず、逆に急降下してくる敵機に次々と襲われた。
また、攻撃が目的の戦闘機に防御は不要ということで、防弾や消火設備という安全思想はなかった。
燃料タンクにも防弾措置がないため、弾が当たればすぐに火災となり爆発し、
貴重なベテランパイロットが次々に失われた。
戦地のパイロットから防弾の実施を要望されたが、海軍上層部は無視した。
「弾に当たらないように大和魂を見せろ」 と。
人命よりも機械の性能やコスト削減を優先し、現状を把握せずに、慎重派を精神論で黙らせる。
鎌田慧の著書に、「ひとを大事にしない日本」というタイトルがある。
この本のタイトル通り、日本では組織が優先されて人命の尊重は後回しだ。
だから、あの戦争から日本人は学んでいないとも言える。
過去を検証せず、反省もせず、そしてその場しのぎの対応で後手に回る。
いつになったら気づいて変わろうとするのだろうか。
来年は、明るい将来に向かう年になってもらいたいものだ。
(最終チェック・修正日 2006年01月03日)