2007年02月

「納豆ダイエット問題」 に関連した記事が Nature に掲載されたが、
この記事を取り上げた新聞報道やブログを検索してみた。

その中で気になったことがある。
それは Nature 記事の英語を和訳するときに、勘違いなのか間違って引用していることだ。

ただ、その間違いに気づいても、そのブログが Yahoo ブログではない場合は、
私はコメントを投稿できないので、誰かが指摘するのを待つだけだ。

コメント用にIDを取得してもいいのだが、そこまですべきか結論は出していない。
または、私がシステムを理解していないので、投稿できないと思い込んでいるだけかも。


Nature 記事の最後の方で、イギリスのテレビ番組の過剰演出について書かれている。
浴槽の水にセシウムやルビジウムを投げ込むと爆発するというものだ。

記事中の表現は以下のとおり。

"Last year, Brainiac: Science Abuse, a popular UK science series, admitted that in an
episode claiming to show a bathtub of water being blown up by caesium and rubidium,
explosives were used instead."

ある記事では、「セシウムやルビジウムで沸かした入浴水を勧めている」 になっていた。

"explosives were used instead" を考慮すると、「爆発」 の方が合っていると思うが。

最初は私の解釈が間違っていると思って読み直したり、その番組の動画を探して確認してもみた。

するとやはり、「入浴水を勧めている」 は誤訳であると判明した。

「通訳翻訳ジャーナル」4月号にも書いてあるが、勘違いや思い込みを排除することが基本だ。

記事を書いた人は翻訳家ではないのだろうが、外国語の記事を和訳して紹介するときには、
もっと慎重に投稿内容を確認し、更に投稿後も定期的に推敲して訂正するようにしてほしいものだ。


まあ、私も何度かドイツの新聞や雑誌を紹介しているが、専門家から見れば間違いもあるだろう。
今後も勘違いによる誤訳をしないように、語学力と共に、注意力や検索能力も高めよう。


追記:
そのブログをもう一度確認したが、やはりIDを取得してログインしないと、
コメント欄も表示されず、コメントできないことが判明した。

トラックバックはできるだろうが、この記事に誘導しても、印象は悪いだろうし。

ブログや掲示板の記事を、無批判に信じる人は少ないと期待して、
また、本人が気づくまで、そのままにしておこう。

(最終チェック・修正日 2007年03月02日)

日本では、男女共同参画社会の実現と少子化対策と称して、多額の予算を投じている。

働く女性のために、保育所・託児所の新設を支援することも政策の一つだが、
官僚専用施設と言ってもよい 「かすみがせき保育園」 を作るなど、一般国民には恩恵はないようだ。


ちなみに文部科学省の若手官僚の、採用案内に掲載されたメッセージに次のようなものがある。
http://www.mext.go.jp/b_menu/saiyou/gijyutsu01/002/001.htm

[岡村 直子【平成2年入庁擬錙_蹴悄曄焚奮惶蚕僉Τ惱兩策局計画官付企画官)
 私達の職場の大きな特徴は、広い世代に亘り多くの女性が活躍していること。
遠山元文部科学大臣を筆頭に、現職員及びOGが遂に100人を超す規模となりましたが、
その多くが育児との両立をしています。

 両立の方法は多種多様。育児休暇を殆ど取らずに復帰する人、1年間程度育児を堪能する人、
また復帰後についても実家の全面協力を得る場合、ベビーシッターさんを活用する場合、
ともかく夫婦2人だけの力で頑張っている場合等、それぞれのやり方。

しかし、いずれも省内の”かすみがせき保育園”が強力な助っ人です。
日常的な活用以外にも、突然の利用も可能で大助かりです。



ここから本題。

欧米先進国と比較して、日本が遅れているという論調の話をよく聞く。
しかしこれは、日本が遅れているという印象を植え付けて、政策を誘導しているだけだ。

子育ての環境も、日本が遅れているために少子化が進んでいるとも言われている。
少子化対策で予算が増えれば得をする人たちが、宣伝しているだけとも言われる。


それではドイツの託児所はどうかと言えば、現状では非常に不足しているのが事実だ。

2004年の統計については、例えば次の記事を参考にしてほしい。
http://www.bmkberlin.com/Germany/040318kindergarten/kindergarten.html


2月24日の S??ddeutsche Zeitung、5ページには、各州の託児所充足率が出ている。

旧東ドイツの州の方が充足率が高く、ザクセン-アンハルト州では49.3%。
これは社会主義国時代には、女性の就業率も高く、託児所需要が多かったためだろう。

旧西ドイツは悲惨で、10%以下がほとんど。
最下位は2.8%の充足率で、2004年の前回調査と同じノルトライン-ヴェストファーレン州。

2004年に指摘された東西格差は、まだ解消されてはいない。

ただし新しい動きもあり、託児所の代わりにデイサービス(Tagespflege)を導入する州もある。
または、幼稚園で2歳から入園可能にすれば、計算上は充足率は高まる。

これは予算の都合だが、完璧な託児所建設よりは、小さな地方自治体には実現可能な方法だろう。
この方法でラインラント-プファルツ州では、2000人分を増やしたそうだ。


ドイツは本来はキリスト教の国なので、伝統的価値観として、
母親が家庭で子どもを教育することに、責任感と誇りを持ってもいる。

それに育児休暇制度や給付制度が日本より充実しているので、
託児所に預けてまで、すぐに働こうとは思わないのかもしれない。

それでも選択肢が増える方がいいはずだから、うまく進展してほしいものだ。
ただ、キリスト教の伝統的価値観を優先する政党が与党の州だと、どうなることやら。

日本政府は都合のよいデータだけ引用するのかもしれないから、監視を続けよう。

ドイツのリベラル・左派系新聞 S??ddeutsche Zeitung(南ドイツ新聞)は、
日本の皇室関連の記事が、非常に辛辣な表現だったことで有名なようだ。

2月24日の紙面で "LEUTE" という欄に、皇太子の記事があるというので、
電子版の1ヶ月お試し購読(9.99 EUR)を申し込むことにした。

一体どんな表現が使われているのか、興味があったのだが、普通のものだった。
まあ、別の記事も読めるし、月2千円なら安いので我慢しよう。


皇太子の47歳の誕生日での記者会見から記事を書いているのだが、
これまでの報道の流れで意図的と言えるくらい、ほとんどが雅子妃の話ばかりである。

以下、概要を紹介したい。
(皇太子からの伝聞だからか、雅子妃の様子の表現では、動詞は接続法第擬阿任△襦)

[皇太子は、金曜日の誕生日会見で、雅子妃が 「適応障害」 から回復していると話した。
雅子妃は活動範囲を広げているが、いつも疲労困ぱいしているという。]

「国民の皆さんにも状況をご理解頂き、長い目で見守って頂きたくお願い致します。」 という、
皇太子の記者会見での発言を引用している。

その後は雅子妃の簡単な経歴と境遇について記されている。

[雅子はエリート大学のオックスフォードとハーバードで勉学後、
1993年に徳仁と結婚し、外交官のキャリアを諦めた。
2003年以来、公衆の前にほとんど現れていない。
男子皇位継承者を産むという、大きなプレッシャーのもとに置かれるようになった。
二人には5歳の娘がいる。]

記事の最初に、「抑うつ状態にある」 と書いているので、
公式発表の病名 「適応障害 "Anpassungsschwirigkeiten"」 は、かっこ付きで意味深だ。

皇太子の会見にも出てきた "Princess Masako" という本については、
今回はドイツに関係しないことなので、何も書かれていなかった。

今後の日本政府の対応を見てから、何か特集記事にでもするのだろうか。

「納豆ダイエット」 と 「レタスで快眠」 という捏造をした、
ニセ科学番組 「あるある大辞典供廖,、Nature でも取り上げられた。

"Japanese TV show admits faking science
Programme makers redubbed interviews and changed experimental results."

Nature, 2007, 445, 804-805 (22 Feb., 2007).

この記事は無料公開で、PDFファイルで提供されている(現在は無料公開終了)。
http://www.nature.com/nature/journal/v445/n7130/pdf/445804a.pdf

Nature 各誌の注目記事については、しばらくすると Nature Digest 日本語版に載るので、
英語記事の内容が完全に把握できなかった場合には、待ってみてもいいだろう。

ちなみに2月号では、科学論文での不正行為や査読についての記事が出ている。
http://www.nature.com/ndigest/index.html


科学番組の振りをした情報エンターテインメント番組で、
視聴率稼ぎに利用された科学者たちへの取材も紹介されている。

最初に紹介された被害者の Kim 博士は、アメリカの大学教授で大豆発酵の研究をしているが、
この一件で警戒心が強まったのか、Nature の取材にも、名前や所属を公開しないように求めた。

"One of the victims is Dr. Kim, ...
He spoke to Nature but asked that his first name and affiliation be withheld."

そして味噌の健康への効果について話していないし、番組内容の60%は不正確だと言っている。


「納豆ダイエット」 でのウソの吹き替えの被害者である Schwartz 博士は、
Nature の直接取材には応じず、代わりに大学広報が見解を発表した。


「レタスで快眠」 でも、ネガティブな実験結果が、全く逆に改ざんされたと紹介された。

実験を依頼された教授のコメントは、「健康食品管理士認定協会」 のHPに掲載されている。。
http://www.ffcci.jp/files/255107026722542.pdf


記事の最後のところで、この現象は日本だけのものではないとも述べている。
Nature はイギリスで編集されているからか、自国の番組を紹介している。

「浴槽の水にセシウムとルビジウムを入れると爆発する」 という実験は、
実はそのアルカリ金属の代わりに、火薬を使っていたということだ。


この番組の問題の部分は、今なら You Tube で見ることができる。
ここではリンクを示さないので、"Brainiac Alkali Metals" で検索してほしい。

アルカリ金属と水との反応は、化学のビデオ教材によく出てくるが、面白くないとのこと。

そこで浴槽の水にルビジウムやセシウム入りのアンプルを沈めて、
みんなが安全地帯に非難した後で、浴槽が壊れるほどの大爆発を見せている。

これで、アルカリ金属と水との反応は危険であることを印象付けているようだ。

この番組を放送した Sky One は、これに関してコメントを発表した。

科学者に相談しているそうだが、エンターテインメントであることが優先されたという。
しかも、「オープン・ユニバーシティを期待するなら、チャンネルが違う。」 とまで言っている。


こうなると取材を受ける科学者側も、何か誓約書のような文書を用意したり、
第三者が放送前にチェックできるレビュー制度について考えたりするだろう。

疑う姿勢を忘れずに、疑問を持ったら自分で調べるようにしたいものだ。


ところで日本では、科学ジャーナリズムの Nature で全世界に報道されて恥だという論調のようだが、
イギリスの番組での過剰演出の指摘は、なぜか省略していることがあるのが不思議だ。


記事を客観的に伝えるよりは、「日本国内の捏造たたき」 に利用するためには、
イギリスのテレビ番組のことを紹介する暇はないのかもしれない。

ここでも報道のバイアス・偏見・意図的操作が感じられる。

(最終チェック・修正日 2007年04月14日)

7年前に帰省したとき、母から、「この書留郵便は何だろうね。」 と聞かれた。

その封筒を開けると、何とクレジットカードの更新で、新しいカードが入っていた。
それは、ある大手電話会社の子会社が発行するクレジットカードである。

母がクレジットカードを契約したとは知らなかったので、盗難・不正使用の心配をした。
加えて、更新前の古いカードはどこか聞いても、「見たこともない。」 と言うだけ。

そのカードの特典は、年会費無料で、電話料金の支払いに使うと25%引きというものだった。
預金通帳を見ると、以前は口座振替だった電話料金が、あるときから 「カード」 と表示されている。

母は、表示が変わったことに気づいていたが、金額が請求書と合っているので気にしなかった。

そこでカードを契約した経緯を確認してみると、電話会社の職員が自宅を訪問して、
「このカードを契約すると電話料金が安くなります。」 と説明を受けたという。

しかし、「クレジットカード」 ということや、重要事項については記憶にないという。
それに、カードの裏にサインをするという基本事項すら知らない。


割引だとかポイントという言葉で母は、商店街のポイントカードと同じものだと思ったようだ。


そこでカード会社に、私が質問・抗議をすることにした。

クレジットカードという制度を知らないのに契約しているのは、説明不足の疑いがあることと、
カード契約件数のノルマから、誰でもいいからクレジットカードを勧めたのではないかと。

すると担当者は、「今は年寄りでもクレジットカードぐらい知っていて、活用している人は多い。」、
「クレジットカードの仕組みが理解できないのは、能力が低い年寄りだ。」 
とまで言った。

「年会費が無料で割引もあり、損をしていないのに文句を言うのはおかしい。」 だとか、
「制度を理解していなくても、契約は成立しているから関係ない。」 と反論してきた。

そして契約を取った電話会社の地元支店から、当時の契約書を持参して母に面会した社員は、
「これはあんたの直筆で自分で印鑑を押したんだ。息子を使って嫌がらせをするな。」 と怒った。

その後、そのカード会社からは、社員の非礼を謝罪するメールが来たが、
私の名前を誤記していたので、全く信用していない。

そう言えば、先週質問・抗議した別のカード会社も、電話で私の名前を間違っていた。


こんな会社が優良企業だとか、グローバル企業だとか評価されるのは、おかしいと思う。

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