2007年04月

褐色矮星(英:brown dwarf, 独:der Braune Zwerg)が、最近は注目されているようだ。

質量不足のために恒星になりきれなかった天体で、太陽系外惑星探査の副産物とも言える。

当初は何のエネルギー放射もない、単なる冷たい星だと思われていたようだが、
最近は赤外線、X線、電波での観測に成功し、重水素核融合の可能性も示唆されている。

S??ddeutsche Zeitung の4月21号では、褐色矮星で電波パルサーの事例が発見されたという。
"Langwelliges aus der Galaxis: Braune Zwerge senden gepulste Radiostrahlung aus" という題名。

日本ではまだ報道されていないが、英国王立天文学会での4月18日の発表である。

学会のニュースリリースは次のとおり。
http://www.ras.org.uk/index.php?option=com_content&task=view&id=1201&Itemid=2

発表者 Gregg Hallinan が所属する、アイルランド Galway 大学の研究グループのHPは次のとおり。
http://astro.nuigalway.ie/research/ultracool-stars.html


3つの褐色矮星を観測して、周期が2時間から3時間と、ゆっくりとしたパルサー現象を発見した。
非常に強力な電波が放射されていることから、強い磁場の存在が推測される。

中性子星のパルサーが有名であるが、こちらは密度が大きすぎて、説明するモデルができないという。

そこで褐色矮星ならば、質量も密度も比較的小さく、しかも放射するエネルギーも少なく、
そして自転周期も長めなので、説明するための物理的モデルが作りやすいと期待されるそうだ。

今後も観測が続いて事例が増えれば、新しい天文学の分野が構築されるだろう。

ネイチャーに論文が出そうな話題なので、注目しておこう。


それにしても、こういった面白い天文現象の話題が、日本語で提供されないのは残念だ。

明るい彗星や流星群、日食や月食の話題が新聞に載ることもあるのだが、
科学技術立国を目指すのであれば、こういった最新天文学の話題も報道してほしい。


追記:
日本では5月2日になって、やっと報道された。
http://www.astroarts.co.jp/news/2007/05/02brown_dwarfs/index-j.shtml

(最終チェック・修正日 2007年05月05日)

去年から、マグロ類の漁獲量規制が、更に厳しくなるという話が続いている。

すしが食べられなくなるだとか、クジラの次はマグロなのかだとか、
和食ブームで欧米や中国の需要が増えていると、日本が被害者のような観点の報道もされた。

魚が健康食という宣伝だけではなく、BSEや鳥インフルエンザの問題もあって、
アメリカでは水銀中毒になるほど、牛肉の代わりに大量のマグロステーキを食べた人もいるくらいだ。

とは言いながら、日本は世界最大のマグロ類消費国であることは変わりなく、
それに金持ちの国に食材が集まることは、経済の観点からはごく普通のことである。

ナショナルジオグラフィック(日本版)4月号では、「魚が消えた海」 という特集で、
「乱獲で姿を消した地中海のマグロ」 という記事などが掲載されている。
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/0704/feature01/index.shtml


持続可能な管理された漁業や、環境に配慮した漁法であるかどうかなど、
マグロを食べ続けたいならば、日本政府も企業も、もっと口を出すべきだろう。

そんな中で水産庁は4月19日に、ルール無視のリビアからのマグロ輸入を禁止するそうだ。
ただ、新聞報道には出ているものの、なぜか農林水産省と水産庁のプレスリリースには何もない。

自然保護団体のWWF(世界自然保護基金)では、以前からリビアなどの違法な漁獲を指摘していた。
http://www.wwf.or.jp/news/press/2005/p05110802.htm

管理されていない違法なマグロが日本にも大量に輸入されていたのだが、
何年も経って、やっと輸入禁止に踏み切るのは対応が遅すぎる。

価格変動への配慮かもしれないが、こうした管理がすぐに決断できないことが、
商業捕鯨についても日本政府が信用されない一因と思われる。


前掲のナショナルジオグラフィック(日本版)4月号では、
「日本がめざすマグロの完全養殖」 という記事も掲載されている。
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/0704/feature02/

有名なのは近畿大学で、20年以上もかけて産卵に成功させ、出荷できるまでになった。
完全養殖を達成するための最初のハードルは、この産卵を確実にさせることだ。


地中海でのタイセイヨウクロマグロの激減を受けて、EUでも養殖の研究がされている。

その記事は4月20日の S??ddeutsche Zeitung に掲載された。
http://www.sueddeutsche.de/,ra13m2/wissen/artikel/858/110748/

EUの研究チームは、ゴナドリベリン(またはゴナドレリン)という
性腺刺激ホルモン放出ホルモンを、マグロに注射する装置を開発した。

注射から数日も経たないうちにメスは産卵し、そしてオスは精子をかけ、受精卵が容易に得られた。

まだ成魚には育っていないものの、研究開始から3年で産卵の制御が可能となり、
日本よりも早く達成したことから、近いうちに養殖できるだろうと宣伝している。


クジラについてもそうだが、私はマグロにも特に思い入れはなく、絶対に食べたいとも思わない。
回転寿司に行ってもマグロに偏っているので、ハマチやアジなどは何度も注文しないといけない。

それにしても、そんなにマグロにこだわる日本人の心理とは、どのように説明されるのだろうか。

私はWWF(世界自然保護基金)の会員である。
石垣島さんご礁保護が入会の目的であったが、商業捕鯨のモラトリアムにも賛同している。

南氷洋での捕鯨で利益を出すことは困難であり、民間企業の新規参入は見込めない。
赤字覚悟の捕鯨よりは、ノルウェーのように近海での捕鯨に切り替えてはどうだろうか。

WWFはIWC(国際捕鯨委員会)にオブザーバー参加しており、
捕鯨問題に関わっていることから、会員である私もいろいろと資料をあたっている。

環境問題や持続可能な漁業については、科学研究費補助金(科研費)による研究もあると思った。
調べてみると、次のような研究成果報告書が見つかった。

文科省科研費基盤研究C 企画調査 「予防原則の適用基準とその科学的基礎に関する学際研究
http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2005/JSPS16631004.pdf

この研究の代表者、松田裕之教授(横浜国立大学)の研究室のHPは次のとおり。
http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/

松田教授は環境リスクマネジメントの観点から、水産資源関係の研究を継続している。
捕鯨についても私見を公開しているように、商業捕鯨再開の論理的根拠を提示したいように思える。

また、松田教授のブログを見ても、「捕鯨賛成派」 と公言している。
http://d.hatena.ne.jp/hymatsuda/

捕鯨に賛成かどうかは、個人の意見なのでここでは議論しないが、
気になったのは、先の研究成果報告書内にあるシンポジウムの議事録である。

科研費のプロジェクトと共催だが、単にシンポジウムを開催したと書くだけでもいいのに。

この、東大海洋研シンポ2004.11.4 「野生生物資源の持続的利用と予防原則」 であるが、
内容を見ていくと、なんだか商業捕鯨再開の意見を言うために松田教授が開催したようにも思える。

しかも、「第2 部 管理捕鯨と予防原則」 があって、捕鯨に関するページは全体の4割近くで、
これを研究成果報告書に添付して載せるのは、あまりにも恣意的だ。


他の研究者は感情を抑えた表現で、研究報告という雰囲気がするのに、あまりにも違いすぎる。

それにWWFジャパンの人がパネリストとして招かれているのだが、
捕鯨問題に関する新たな行動原則について、松田教授が変に持ち上げていて気味が悪い。

何ページにもわたって、松田教授の個人的意見を話しているだけのようだが、
こんな報告書を国費で印刷して保管する意味があるのだろうか。

報告書の書き方は代表者の権限なのかもしれないが、なんだか偏りがありすぎる。

水産庁などの商業捕鯨再開推進派からは、論理的根拠を示す役に立つ学者として見られても仕方ない。
本人のブログでは、「御用学者」 にならないように配慮しているように主張しているが。


私がこれから引用する部分も、私が気になっただけだから、他の人は何も感じないかもしれない。
それでも、私が感じたことの記録の意味で、以下にメモしておきたい(適当に改行した)。

10ページ目には、これは捕鯨ではないが、予防原則の話で変な表現が出てくる。
わざわざけんかを売るような話し方で、科学的議論をするつもりなのだろうか。

[次のMargin of safety PP は不確実性があるから本当は漁獲量で言えば100 万トンとれるところを
80 万トンにしようという形でちょっと安全率を見込むというような所に使う。
これもリスク・マネージメントをやる人にとってほとんど当り前のことで、
安全率が常に10 倍とか、環境労働基準なんかに書くんですよ。
この方はそれにも否定的でしたね。

これについて私は実態を見ていないので、予防原則が大嫌いな例えば、
私の前任で横浜国立大学にいた中西準子大先生もこれを平気で使っております。



12ページではなぜか、NHKの番組で自分の発言がカットされたことを告白している。

[上記のボックスはNHKの前のBS討論収録の時に言ったのですけど、放送の時カットされた部分を
私はホームページに載せてあります。


例えば捕鯨問題ですね。鯨を捕ったら鯨を絶滅するリスクはあるかどうか。
いろんな計算すると不確実性があるのではないという人がいます。
どのようなものでもリスクは完全にゼロにはならないでしょう。
どのくらいリスクがあるか後で紹介します。べらぼうに低い。

でもまずそのようなことより問題は漁業も絶滅寸前だと。
ミンク鯨は絶滅寸前でない、絶滅危惧種でもない。
むしろ漁業は絶滅寸前。
むしろ漁業を守るべきではないのか?

ところが鯨を守れという人は実は、人を守れとは全然言わない。そういう側面がある。
やはりバランスを持って言うべきではないか。ということを私は常々申し上げております。]

捕鯨に関する言いたい放題は、その後も続き、WWFを持ち上げている発言もある。

[6 つの行動原則が示されている。これは大変重要な事だと思いますので紹介させていただきます。

1つは、WWF自身の国際的なミッションに従う。どんなミッションがあるかといいますと、
生物多様性を守る、これは生物多様性条約の趣旨とほとんど同じだと思います。
多様性を保全する、そして持続可能な利用をちゃんとうかがう。まさにそれでいいんだと思います。
科学的な根拠に基づいて議論・行動する。

そしてもう一つ予防原則を尊重する。どんな予防原則かは後でご説明しますが、
あとは国際的な合意を尊重する。

私なんかすぐにですねIWCが理不尽だから脱退して捕鯨に参加すればいいんだと
すぐ言ってしまうのですが、そうでないんだというのがWWFジャパンの立場だと私は思います。


多様な価値観を尊重する。日本政府に対し、海洋資源の保全に貢献するよう強く働きかける。

私はこれだけ見ると何も間違っていないと思っております。

そして捕鯨の解決案? が提示されている。

[私の捕鯨の解決案は、絶滅危惧種という議論は、あのもちろん鯨いろんなものシロナガスクジラは
絶滅危惧種といっていいと思うんですが、獲ろうとしている対象は決して絶滅危惧種ではない。

このテーマはサイエンスの問題、でも日本政府に任せると、捕鯨を再開させると
また乱獲になるというような意見はしばしばあります。

政府が信用できないというのが科学的に間違いだと私は言う気はありません。
それはそれでもいいわけです。
でも、本当の理由がそれなら本音を言ってほしい。本音を言ってその後どうすればいいのか。

じゃあなた方が管理に加わればいいと言うのが私の単純な意見であります。
そうすれば管理できる。自分も信用できないという人はいないと思います。それは無責任です。


これ以上は引用することもないだろう。
科研費の領域代表者となるくらいだから、一応学界で認められた研究者なのだろう。

でもなんだか、もう少しまともな話し方をしないと、信用されない事例のようにも思える。
コミュニケーションの研修を受けた方がいいですね。

商業捕鯨の再開を目指す日本の水産庁が、調査捕鯨に毎年約5億円の予算をつけており、
これまでは随意契約で、所轄公益法人である、財団法人日本鯨類研究所に委託していた。

平成16年度の「鯨類調査捕獲事業費補助金」と「鯨資源調査委託事業費」の選定理由は次のとおり。
http://www.maff.go.jp/koueki/soti/2/2/11/10-3.pdf

[鯨類に関する多くの知見を有していること及び南極海等の特殊な条件下での調査について
経験があることが必要となっている。こうした知識・技術及び学術経験者を有しているのは、
(財)日本鯨類研究所が唯一の機関である
ことから、(財)日本鯨類研究所を選定している。]

DNA分析についても美辞麗句を並べて、他に委託できないと一生懸命に説明している。

[鯨類及びまぐろ類のDNA分析過程における。庁裡礎蟒弌精製、■丕達卮娠?↓クローニング、
ぅ掘璽ェンシングに関する研究施設及び技術を有しているのは、財団法人日本鯨類研究所が唯一である。]

ところが支出明細書を見ると、DNA分析の一部は、あるコンサルティング会社に再委託している。
http://www.maff.go.jp/koueki/soti/2/2/11/10-2.pdf

バイオ系派遣社員を採用したなら、派遣会社に支払ったと書くはずだから、少々疑問だ。


この随意契約は平成17年度、18年度も同様に行われ、理由もほぼ同じであった。
http://www.maff.go.jp/www/supply/kouhyou/zuii/kanbou/ippan/200504.pdf
http://www.maff.go.jp/www/supply/kouhyou/zuii/kanbou/ippan/200604.pdf


そして平成19年度も随意契約かと思っていたら、なんと公募になっていた。
http://www.maff.go.jp/www/supply/cont/koubo2007020501.html

しかし、2月5日に公開して、15日には参加表明を締め切り、募集要項にあるように、
翌日の16日までに企画提案書を締め切るというのは、「八百長公募」 に違いない。

http://www.maff.go.jp/www/supply/cont/koubo2007020501b.pdf

公募するという噂が事前に流れたとしても、他の研究機関や合同研究グループが
日本鯨類研究所に勝てる企画書で応募するには、時間も経験も足りない。

しかも審査基準の一つに、「過去の実績から、本事業を行うことが期待できるかどうか。」 とあるし。


日本鯨類研究所の他に応募者がいたのかどうか、選定理由はどうかということに加えて、
水産庁との癒着はないのかどうかを、今後も調査・監視していきたい。

これは環境保護運動とは関係なく、国民の税金の使い道をチェックするということなのだ。

私は夕食には、週1、2回の頻度でパスタにしている。

パスタやソースを、いつもは安売りで買っているが、たまには人気シェフのソースだとか、
全粒粉パスタやオーガニック素材のパスタを買うこともある。

ソースはレトルトが多いが、調理時間もかからないし、種類もたくさんあるから飽きることはない。
またアンナマンマなどを利用して、カジキマグロとブロッコリーを加えたり、工夫もできる。

この素材と、バジルトマトソースが合うかどうかは、ここではあまり問題ではない。
単に私の料理とは、自分が食べたいものを組み合わせて、実験しているようなものだし。


最近もパスタソースの新商品が発売されている。

CMで大宣伝している花王・エコナのパスタソースだが、私は個人的に気に入らないので買わない。
エコナにダイエット効果があると宣伝されているが、CMに出てくる標準体型の人は無意味なのに。

花王の研究者に質問する機会があったが、「消費者が欲しいと言うから作る」 と答えたから嫌いだ。

その人にエコナの効果があるかどうかはどうでもよく、健康になりたいだとか、
脂肪を気にせず食べたいなどの、消費者の願望をかなえる雰囲気が作れれば、どうでもいいのだ。


そこで私は、有機栽培野菜を使った、日清フーズの 「ナチュラート」 を買うことにした。
http://www.nisshin.com/product/naturart/index.html

近くのスーパーでは、「有機野菜・大豆を使ったボロネーゼ」 と、
「有機野菜を使った和風ソース」 の2種類が売られていた。

先週気になったのだが、365円と高かったので買わなかった。
ところが本日、POP表示のミスで、実は298円で安売り中だと判明した。

店舗責任者に注意して、試しにその2種類のソースを買った。

今夜は和風ソースを試した。
商品説明は以下のとおりで、有機(オーガニック)のオンパレード。

[有機ごぼう、有機玉ねぎ、有機にんにくをじっくり炒め、有機にんじん、鶏挽肉、しいたけを加え、
有機しょうゆを使って煮込みました。
エクストラバージンオリーブオイルや天日塩も使い、素材本来のおいしさを活かしています。]

薄味のため、トマトソースやクリームソースが好みの人には、物足りないかもしれない。
具材を追加するならば、きぬさやだとか、大根おろしが合うかどうかが今後の課題である。

ボロネーゼは来週試して、おいしければ、安売りの間に買いだめしよう。
あと、有機栽培小麦のナチュラート・オーガニックスパゲティーを探してみよう。


追記:
今日は帰宅途中で、別のスーパーに寄り、ナチュラートのスパゲティーとトマトソースを買った。

今晩はボロネーゼを試したが、味は悪くない。
大豆でかさを増やした分、肉を減らしているように思える。

追記2:
今日はトマトソースを試した。
少し甘めの味付けだが、濃くはなく、やや酸味も感じられて、好印象である。

ただ、3種類の中で選ぶとすれば、ボロネーゼだ。

(最終チェック・修正日 2007年04月18日)

↑このページのトップヘ