2010年02月

Kinderschuh m. -〔e〕s/-e
子供靴
noch in den Kinderschuhen stecken ((比)) まだ大人になっていない;緒についたばかりである;発展途上にある

Der Versuch, sich die Photosynthese technisch nutzbar zu machen, mit deren Hilfe Pflanzen
Lichtenergie in chemische Energie umwandeln können, steckt dagegen noch in den Kinderschuhen.
光合成を技術的にうまく利用するという試みは、植物が光合成によって光エネルギーを化学エネルギーに
変換できるのに対して、まだ発展途上にある。
("Energieversorgung: Ein effektiver Katalysator für die Spaltung von Wasser",
Frankfurter Allgemeine Zeitung, 28.02.2010,
http://www.faz.net/s/Rub163D8A6908014952B0FB3DB178F372D4/Doc~E9873BA5EDEEB4DDC9EC3B04C1DA0A32E~ATpl~Ecommon~Scontent.html

sich3 et.4 nutzbar machen …をうまく利用する,活用する:engl. tap into sth.

私が会員のWWFジャパンでは、タイセイヨウクロマグロ資源量の危機について警告している。
http://www.wwf.or.jp/activities/2009/11/773516.html

【今、地中海を含めた大西洋のクロマグロ資源が崩壊し、日本の食卓から消える可能性が、かつてないほど
高まっています。大西洋で、クロマグロ(本まぐろ)の過剰な漁獲と、資源の枯渇が懸念されているのです。

この、大西洋クロマグロの資源管理を担う ICCATの本会合で今回、厳しい予想が発表されました。それは、
「加盟各国が漁獲してよいクロマグロの漁獲量を、年間「8,000トン」に設定したとしても、2023年までに
東部大西洋クロマグロの資源が回復する可能性は50%しかない」というものでした。

ところが、議長国ブラジルをはじめ、日本、EU、モロッコ、チュニジアの提案によって合意された、各国の
総漁獲可能量は、1万3,500トン。クロマグロ資源の過剰な利用を、事実上継続するという内容でした。】

このICCAT会合の結果について、水産庁の報告は次の通り。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/press/kokusai/091116.html

WWFは一時的禁漁の他、違法操業への対応措置の強化なども訴えていたが、どれも実現していない。
特に違法操業については、過剰漁獲や証明書不正表示が指摘されているのに、罰則は甘いものだ。
このままではやはり、ワシントン条約に基づく国際取引禁止という強硬手段が検討されることになるだろう。

私は個人的には、クロマグロの漁獲をもっと制限してもかまわないと考えている。
遠い地中海・大西洋から調達することは、カーボンフットプリントの観点からも避けたいものだ。
遠くまで獲りに行かないと維持できない食文化ならば、とても健全とは言えない。

また、水銀やダイオキシン類などの汚染を考慮すると、日本人のマグロ消費量は減らした方がよい。
アメリカでは、牛肉の代わりにマグロステーキを大量に食べて、水銀による神経系疾患になった人もいる。


違法操業の取り締まりに国際機関が力を発揮できず、マグロ資源管理にも失敗しているので、
シーシェパード(SSCS)が地中海でのクロマグロ密漁の妨害をすると宣言してしまった。
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/100226/asi1002261146003-n1.htm

【Both Sea Shepherd ships, the Steve Irwin and the Bob Barker, will head for the Mediterranean
from the Southern Ocean. The objective will be to intercept and oppose the illegal operations
of Bluefin tuna poachers
.】

2月25日の発表では、Steve Irwin 号が3月16日に密漁の妨害のために出発するとしている。
http://www.seashepherd.org/news-and-media/news-100225-2.html

【The Steve Irwin is scheduled to depart on March 16th for the Mediterranean to oppose
Bluefin tuna poachers
.】

SSCSも含めたエコテロリスト団体は、国際機関には不正行為の防止能力が足りないとして、
それならば自分たちが代わりに密漁などを取り締まってやろうと、いつも考えているのだ。

違法操業をどう判断するのかは不明だが、ヨーロッパの報道ではトロール漁船が対象だとするものもある。
http://www.wienerzeitung.at/DesktopDefault.aspx?TabID=3941&Alias=wzo&cob=471908


この妨害は、日本をターゲットにしたわけではないが、たまたまクロマグロの最大消費国が日本なので、
日本国内の一部報道では、「日本を標的にしている」 という趣旨で記事が書かれている。

例えば、SSCS非難記事を連発している産経新聞では、2月9日の記事で次のように書いている。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100209/crm1002092003037-n1.htm

【シー・シェパード(SS)のポール・ワトソン代表が産経新聞のインタビューに応じ、今回の反捕鯨
キャンペーンの後、地中海のクロマグロ漁妨害を行うと宣言した。世界のクロマグロの8割を消費する
日本を再度、標的にする狙いがあるとみられる
。】

それに対してNHKでは、クロマグロ漁の妨害計画について述べるだけで、日本が標的とは言っていない。
http://www3.nhk.or.jp/news/t10015859311000.html#

【反捕鯨団体「シー・シェパード」は、南極海での日本の調査捕鯨への妨害行為を今シーズンは終了し、
今後は、地中海で行われているクロマグロ漁の妨害に向けて行動を始めることになりました。

… シー・シェパードのワトソン船長は「クロマグロが絶滅の瀬戸際にあることを国際社会に知らせる
必要がある」と話しており、地中海でのクロマグロ漁についても、調査捕鯨と同様に激しい妨害行為を
行うものとみられます
。】

やはり産経は、「日本は被害者だ」 という視点で記事を書く癖があるようだ。


ところで、日本国内の報道で気になったのは、SSCSが主張する 「違法操業・密漁の妨害」 ではなく、
「地中海のクロマグロ漁の妨害」 と、NHKでさえも表現を変えていることだ


SSCSの発表は信用できないのかもしれないが、現時点で判明している妨害予定対象については、
the illegal operations of Bluefin tuna poachers」 なのだから、「違法操業・密漁」 に限定してほしい。

産経新聞のインタビュー時に、「poacher(密漁者)」 と言ったのかどうか、それは不明だ。
しかし、SSCSのリリースが出た後の2月26日の記事でも、「クロマグロ漁の妨害」 のまま。
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/100226/asi1002261146003-n1.htm


この表現の件について、NHKと産経新聞の両方に問い合わせた。
すると、NHKからは回答があった。

【…ワトソン船長は、NHKの取材に対して、「クロマグロが絶滅の瀬戸際にあることを国際社会に
知らせる必要がある」などと語り、密漁か否かに関わらず、クロマグロ漁を妨害する考えを明らかに
しています


このため、ニュースでは、シーシェパードの発表文をそのままお伝えするのではなく、より実態に即して、
「クロマグロ漁の妨害」との表現を使いました


なお、シーシェパードは、これまでも同じHP上で、調査捕鯨に関連して、「Our small boat crew
sent a strong (and strong smelling) message to these whale poachers」などと発表し、調査捕鯨に
ついても「密漁者」という表現を使っています
。】

NHKが直接取材をしたときに、「poacher(密漁者)」という単語を使わなかったのかもしれない。
ただしNHK側は、「密漁者だけを妨害するのか」 と質問していないので、推測が入っている。

「実態に即して」 と回答した根拠とは、SSCSが調査捕鯨のことを密漁と言っているためだろう。
抗議対象が合法か違法かは無関係に、SSCSは密漁だと決めつけているから、マグロも同様ということか。

産経新聞からは回答がないが、NHKと同様の判断なのだろう。
それでも、SSCSの主張を正確に翻訳した上で、コメントを付ける方が、誤解がないだろう。


「密漁の妨害」 としている報道:現時点でなし

「クロマグロ漁の妨害」 としている報道:産経新聞、NHK、日本テレビ、フジテレビ

(最終チェック・修正日 2010年03月01日)

私は東北地方の出身で、子どものときから学校では、1960年のチリ地震津波の話が何度もあった。
内陸地域の学校であったが、その被害だけではなく、対策として防潮堤のことや避難訓練の話も聞いていた。
小学5年のときには、太平洋岸の町での海浜学校があり、防潮堤なども実際に見ている。
その後も地震が起きるたびに、まず考えるのが津波の可能性であった。

ただしこの意識は、太平洋側では浸透しているが、日本海側では津波がないという誤解があった。
1983年の日本海中部地震では、津波警報が間に合わなかったこともあるが、津波での被害が大きかった。

このとき授業中の私のクラスでは教師が 「揺れが長いね。津波が来るかもしれない。」 と言った。
震源がどこかとは無関係に、「地震の次に津波が来る」 と、反射的に考えるのだ。
警報が出てからとか、避難勧告が出てからというのでは遅く、自主的に避難をすべきだと教えられている。

2月27日に発生したチリ南部での地震のニュースを聞いて、日本にも津波が来るはずだとすぐに考えた。
今は太平洋各地の観測データを見ながら予測できるが、まだ来ないからと安心してはいけない。
まずは避難してから、その避難先で最新情報を得るようにしたい。

朝日新聞の2月28日朝の記事は次の通り。
http://www.asahi.com/special/chile/TKY201002280078.html

【南米チリ中部沿岸で起きた巨大地震で、気象庁は28日午前9時33分、日本の太平洋沿岸全域に
津波警報を出した。青森県太平洋沿岸と岩手県、宮城県には最大で3メートルの津波が来る恐れがあると
して大津波警報を出した。大津波警報が出されるのは93年の北海道南西沖地震以来17年ぶり。同庁の
関田康雄・地震津波監視課長は「津波到達の時刻の前には高台に避難し、海岸には絶対に近づかないで
欲しい」と話した。

気象庁によると、津波の第1波は28日午後1時ごろから午後4時ごろまでの間に日本の太平洋沿岸に
到達するとみられる。津波の高さは三陸地方で最大3メートル、そのほかの太平洋沿岸では最大2メートル、
瀬戸内海沿岸などでも最大50センチ程度になると予想される。津波が陸上に来た場合には海岸線の
2~3倍の高さの場所まで到達することがあるため、同庁は「遅くとも30分前までには高台に避難して
もらいたい」としている。また、遠方で発生した地震の場合、最初に来る津波よりも後に来る津波の方が
高くなるため、到達予想時刻が過ぎた後も数時間程度は海岸線に近づかないなどの注意が必要になる。
2メートルを超える津波では木造家屋が全壊するとの専門家の報告もある。】


ところで、以前から心配されていたのが、海岸に面した原子力発電所への影響である。
大津波警報が出ている三陸海岸では、東北電力の女川原発と東通原発がある。
津波警報が出ている福島県では、東京電力の福島原発がある。

津波で浸水したり、潮位変化で冷却水が供給できなくなると危惧されていた。
関係団体の説明では、十分な高さに設置していること、引き潮でも冷却水は供給可能だとしている。
例えば、財団法人福島県原子力広報協会の説明は次の通り。
http://www.atom-fukushima.or.jp/qa/qa-173/anther.shtml

【津波や台風による波浪や高潮に対しても同様に、建設予定地等の過去の観測記録を調査して、
予測できる最大の津波でも発電所に影響がないように、海面から十分な高さをとって建てること、
波浪についても防波堤を造ることなど、設計についても安全面に十分配慮する必要があります。

原子力発電所の運転には、蒸気タービンを回した蒸気を水に戻すための大量の冷却水を必要とするなど、
大量の海水を使用していますが、津波が起きた場合は一時的に潮が引くため、海面の水位が下がり、
結果として冷却水が送れなくなることも考えられます。運転中の原子力発電所に冷却水が送れないと、
原子炉が冷やされないままとなり、安全をおびやかす要因となることがあります。

このため、津波の影響による引き潮の水位を考慮して設計され、津波の引き潮などで水位が低くなった
場合でも、冷却水が確保できるよう取水口が十分に低い位置に設置されていますが、万一、取水口を
下回る水位になった場合には、運転停止等の措置を講じることとされています。】

念のために運転停止をするのではなく、危なくなってから停止するそうだ。
あと数時間で結果が出るが、テレビニュースでは原子力発電所のライブ映像がないので心配だ。

出身県で人的被害が出ないことを祈りながら、今日はこのままニュースを見続けようと思う。


追記(3月4日):
養殖関係の被害はあったが、日本では犠牲者が出なかったことは幸いであった。
もし津波が夏に来ていたら、海水浴客などの避難誘導で混乱したことだろう。

ただ、全国の海岸で、津波警報を無視したサーファーの報告が相次いでいる。
これは自己責任というものではなく、無謀で身勝手な行動である。
この件については、朝日新聞の記事を参考にしてほしい。
http://www.asahi.com/national/update/0304/TKY201003030535.html

【南米チリの大地震による津波が心配された2月28日、全国各地の海岸では、海上保安庁や警察などの
避難指示にもかかわらず、波乗りを続ける人がいた。海に出ていたサーファーらは海保が確認しただけで
全国で約1100人。津波はサーフィンに適した大波とは形や威力が違い、極めて危険だ。無謀な行為に、
サーフィン愛好者からも非難の声があがる。】

(最終チェック・修正日 2010年03月04日)

durch|setzen1
他 (h)
2 (再帰) sich4 durchsetzen 自分の意志を押し通す;(困難に打ちかって)[世の中に]価値を認められる;
[スポーツ] (強力な相手に対して)勝利をおさめる

Die deutschen Eisschnellläuferinnen haben bei den Olympischen Winterspielen Gold in der
Teamverfolgung gewonnen. Am letzten Wettkampftag im Richmond Olympic Oval setzten sich4 Katrin
Mattscherodt, Daniela Anschütz-Thoms und Stephanie Beckert im Finale gegen Japan durch.
ドイツ女子スピードスケート選手たちは冬季オリンピックで、チームパシュートにおいて金メダルを獲得した。リッチモンド・オリンピック・オバールでの競技最終日に、カトリーン・マッチェロート、ダニエラ・
アンシュッツ=トームス、そしてシュテファニー・ベケルトは、決勝で日本に対して勝利をおさめた。
("Ohne Friesinger: Eisschnelllauf-Trio Olympiasieger", Süddeutsche Zeitung, 27.02.2010,
http://www.sueddeutsche.de/sport/weitere/ticker/olympia/topthema/iptc-bdt-20100227-673-dpa_24055984/

2月26日付けBBCに、「捕鯨は炭素放出を悪化させる」 という記事が出た。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/8538033.stm

アメリカ・ポートランドで2月22日から26日まで開催された、アメリカ地球物理学連合(AGU)の
Ocean Sciences Meeting で、Andrew J. Pershing 博士が発表した研究に基づく記事である。
http://www.agu.org/meetings/os10/program/index.php

講演資料が、JPEG 画像として公開されている。
計算式やクジラの種類ごとに計算された一覧表もあるので、内容を検討したい人には便利だろう。
http://www.seascapemodeling.org/seascape_projects/PershingSMMbiennial.jpg


Nature News でもこの発表を紹介している(再計算により、数字が訂正されている)。
http://www.nature.com/news/2010/100226/full/news.2010.96.html

有料記事のためか、この Nature News での訂正に言及しているメディアは皆無のようだ。
Pershing 博士自身による数字の訂正なので、その訂正のアナウンス部分を転記しておこう。

An earlier version of this story incorrectly stated that letting whale biomass recover would
sequester 105 million tonnes of carbon. Andrew Pershing has since recalculated this figure as
9 million tonnes of carbon.


BBCは博士に直接取材しているが、博士自身が再計算で訂正する前の数字を記載しているので、
混乱を避けるために、ここでは Nature News に出てくる数字だけを引用しよう。


講演のタイトルは、「Climate Impacts on Whales (and Vice Versa)」。
Pershing 博士は大型クジラを、「炭素を貯蔵する森林のようなもの」 と、比喩的に捉えている。
そして過去100年間の捕鯨は、大気中の二酸化炭素を増やしてきたとのことだ。

Pershing 博士が所属する研究所の紹介ページと、研究室のブログは、それぞれ次の通り。
http://www.gmri.org/science/biography.asp?ID=100
http://www.seascapemodeling.org/seascape_projects/

このブログでは、3月1日のエントリーについたコメントに対して、博士が回答している。
回答の中で博士は、計算の根拠なども説明しているので、報道の補足として参考になるだろう。
http://www.seascapemodeling.org/seascape_projects/2010/03/

博士は生態系モデルに関する研究をしており、タイセイヨウセミクジラもテーマの一つになっている。
海洋生態系における炭素循環を計算する上で、クジラが炭素を貯蔵するという仮説を発表したものだ。

大規模捕鯨が始まる前の1900年の状態に戻れば、クジラのバイオマスは900万トン炭素相当となる。
また1900年の状態ならば、自然死したクジラが深海に沈むと、年間20万トン炭素相当が隔離される
(博士のブログで、深海に沈む率を50%と仮定したと示されている。これまでの90%は多すぎるという。)

約1世紀にわたる捕鯨で、クジラのバイオマスが5分の1未満になったため、炭素固定能は激減している。
特にランプの油を得るための捕鯨は、油を直接燃やすわけだから、二酸化炭素増加に寄与したことになる。
ただし食用にした場合でも、固定した炭素を隔離できていないので、最終的に二酸化炭素排出となる。

ということで、捕鯨をやめてクジラが増加すれば、陸上の森林のように炭素固定に利用できると考えている。
つまり捕鯨というのは、燃料用に木を切ることと同じ行為だという。
1900年時点の900万トン炭素相当とは、温帯林ならば 11,000 平方キロメートルに匹敵するという。

「クジラは海の森林」 という比喩は、クジラの体重増加率や寿命を根拠にしている。
シロナガスクジラは毎年1-3%の体重増加率で、100年近く生きるため、大木に相当するという。


クロマグロなどの大型魚類も含めて、捕獲をやめた分を 「炭素クレジット」 とすることも提案されている。
この炭素クレジットは温室効果ガス排出権の国際取引に利用でき、そして自然保護にもつながるそうだ。


ただ、1900年当時の生息数に戻っても、900万トン炭素相当のバイオマスというのは少ない。
人為的に発生する二酸化炭素は、炭素換算で年間70億トン相当である。
つまりクジラが固定できる炭素は、1%にも満たない
のである。

捕鯨をやめても、温室効果ガス削減への寄与がほとんど期待できないことは明白だが、
海洋生態系における炭素循環を考える場合には、クジラを計算に入れることには意味がある。


ところで、数字が間違ったBBCの記事を引用したメディアも多く、そのまま信じている人が多いようだ。
既に翻訳記事も含めて10か国以上で報道され、間違った数字が流布してしまい、手遅れの感がある。
有料の Nature News を読む人は少ないためか、ネット上の議論はBBC記事を根拠にしているようだ。
この記事だけではなく、情報は常に最新のものに更新されていくので、できるだけチェックしてほしい。


追記(2月28日):
BBCの記事を引用して、ノルウェーでも報道されている。
http://www.nrk.no/nyheter/distrikt/nordland/1.7014159

この記事の後半では、WWFノルウェーの Rasmus Hansson 事務局長の発言が記載されている。
このアメリカでの研究成果について、「興味深く、示唆に富むものである」 と感じているそうだ。

ノルウェーは世界の森林保護に対して、年間300万クローネ(約4500万円)を投じているが、
森林での考え方を、他の自然や動物に適用することまで拡張すべきだと考えているそうだ。

ただし、訂正前の森林面積 13万平方キロメートルを根拠にしていることを、ここに記しておこう。

ところでクジラの話なのに、日本では食べることにしか関心がないのか、現時点で報道がないのは残念だ。
ただ、これから報道するならば、数字を修正した記事になり、日本人は一番正しい情報を得られるだろう。

追記(3月4日):
BBC以外では、例えば Discovery News と、EnvironmentalReserchWeb を参考にしてほしい。
http://news.discovery.com/earth/whales-carbon-climate-change.html
http://environmentalresearchweb.org/cws/article/futures/41872

追記(3月6日):
Pershing 博士が、「捕鯨が地球温暖化を引き起こしたのではない」 と説明している記事は、次を参照。
海洋生態系を理解する上で、クジラの炭素固定が重要であり、固定量から森林という比喩を使ったわけだ。
http://www.usnews.com/science/articles/2010/03/01/industrial-whalings-large-carbon-footprint.html

【Those emissions are small potatoes compared to the approximately 7 billion tons of CO2 emitted
by human activities each year. “Whaling did not cause global warming,” Pershing said.】

博士の研究は海洋生態系における炭素循環であり、その中で捕鯨の影響を計算したものである。
捕鯨による炭素固定能の低下には言及しているものの、捕鯨が温暖化の原因とは言っていない。
ところが報道とそれを引用する議論では、捕鯨と温暖化の関係ばかりが話題となっている。
元々の研究の目的を無視するというのは、○○ダイエットの話のようで、科学者としては残念に思う。


今回の記事とは無関係だが、熱帯雨林の保護をするために、捕鯨を推進しようという研究者もいる。
例えばインドネシアではパームオイル生産のために森林が破壊され、オランウータンが絶滅の危機にある。
洗剤向けなどの油脂原料を、以前のようにクジラの脂肪に求めれば、オランウータンの保護になるという。
以前あったパンダの話と同様に、自然保護政策のアンバランスを指摘したものである。
元記事を失念したので、後で探して、リンクを貼っておく予定。

追記(3月7日):
訂正された数字で報道している記事として、次の Postbulletin を参照のこと。
http://www.postbulletin.com/newsmanager/templates/localnews_story.asp?z=49&a=441774



(最終チェック・修正日 2010年03月07日)

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