2010年05月

ab|berufen* berief ab/abberufen
他 (h)
1 ((jn.)) (任地などから)呼び戻す

Ankara berief den türkischen Botschafter4 aus Israel ab und annullierte drei Militärabkommen
mit Israel, wie der türkische Vizeministerpräsident Bülent mitteilte.
トルコ副首相ビュレントが伝えたように、トルコ政府はトルコ大使をイスラエルから召還し、イスラエルとの3種類の軍事協定を無効とした。
("Angriff auf Gaza-Konvoi: Israel schockt den Nahen Osten", Süddeutsche Zeitung, 31.05.2010,
www.sueddeutsche.de/politik/israel-tuerkei-warnt-israel-vor-irreparablen-folgen-nach-flottilleneinsatz-israelischer-mini-1.951983

日本は国策として、プルトニウムを利用する核燃料サイクル構想を実現しようとしている。
最近話題となった高速増殖炉もんじゅの運転再開も、プルトニウム利用計画の基本路線の一つである
この国策事業を推進する研究機関の一つが、独立行政法人 日本原子力研究開発機構である。
http://www.jaea.go.jp/index.shtml

プルトニウム利用に関する書籍は多いが、ここでは最近の新書の中から次の一冊を挙げておこう。
原発とプルトニウム パンドラの箱を開けてしまった科学者たち」(常石敬一著、PHPサイエンス・ワールド新書)
http://www.php.co.jp/bookstore/detail.php?isbn=978-4-569-77562-3

危険なプルトニウムと心中するような国策を進めるのは、日本はエネルギー資源に乏しいことが一因である。
半永久的に利用可能なプルトニウムを含む使用済み核燃料を、貴重な資源と考えているのだ。
最近は自然エネルギー利用が注目されているが、なぜか日本はプルトニウム利用にこだわっている。

現時点で話題となっている核燃料サイクル構想は、ウランとプルトニウムに焦点を当てているが、
使用済み核燃料廃棄物を希土類元素・レアメタルの資源と考える、「新核燃料サイクル構想」 も研究されている。

レアメタルは最近注目の元素で、半導体や自動車などの重要産業では必須元素となっている。
しかし産出地の地理的偏在により、例えば中国が輸出禁止にすると、日本の産業が倒れるとまで言われている。
そのため、使用済み核燃料から希土類元素が抽出できれば、自前の資源が確保できるというわけだ。
核燃料から抽出した希土類元素を、原子力レアメタルとも呼ぶ。

その新核燃料サイクル構想に関連する今年の学会発表として、第27回希土類討論会のプログラムを示しておこう。
次のPDF文書の7枚目、講演番号2C-08である(発表者などは要旨集から補足した)。
http://www.kidorui.org/doc/program27.pdf

【2C-08 核燃料サイクルにおける希土類戦略
(原研)○小澤正基、(東工大)鈴木達也、(若狭湾エネ研)篠田佳彦、(東海大)高木直行】

発表者の関連サイトは、順番にそれぞれ次の通り。
http://www.jaea.go.jp/04/tokai/
http://www.nr.titech.ac.jp/Graduate/Japanese/Laboratories/Data/tasuzuki.html
http://www.werc.or.jp/kenkyukaihatsu/gaiyo/kenkyuin/index.htm#enezai
http://www.ex.u-tokai.ac.jp/takaki-labo/

私はこの講演を聞いていないが、要旨集を入手しているので、簡単に内容をメモしておこう。

発電用原子炉内での核分裂生成物のほとんどが、有用なレアメタルであるが、
現在のシステムでは廃棄物扱いであり、回収対象元素とはなっていない。

高速炉使用済み燃料中には、白金族の他に、軽希土類の生成量が多く、例えばネオジムは 16 kg/tHM。
他の希土類で多いものは、セリウム、サマリウム、ランタン、プラセオジムである。
燃焼度の低い軽水炉使用済み核燃料では、生成量が減るものの、約 10 kg/tHM とプルトニウムとほぼ同量。

そして硝酸・メタノール混液などからの完全精密分離が可能であり、希土類資源として利用できると期待している。

燃料の冷却期間などの課題もあるが、プルトニウム利用を推進するためにも、
副産物とも言えるレアメタル利用を、推進派はこれから強調するのかもしれない。

panschen
I
他 (h) (飲み物,特に酒に)水を割る,混ぜ物をする

Mit Blei gepanschter Wein soll den Komponisten Ludwig van Beethoven einst umgebracht haben
- dachten Wissenschaftler.
鉛を混ぜたワインが作曲家ルートヴィヒ・ファン・ベートーベンをかつて殺したのだろうと、科学者は考えていた。
("Doch keine Bleivergiftung?: Neue Rätsel um Beethovens Tod", SPIEGEL ONLINE, 29.05.2010,
www.spiegel.de/wissenschaft/medizin/0,1518,697529,00.html

統計では、日本でも大腸がんが増えており、食生活の欧米化に起因していると言われている。
また、牛肉など赤肉をたくさん食べると、大腸がんリスクが高まるとも指摘されている。
ただ、赤肉摂取量と大腸がんリスクの因果関係は、現時点では不明瞭である。

2008年ノーベル賞受賞者の Harald zur Hausen 博士は、ウイルスががんの原因と疑い、研究を続けている。
博士は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が子宮頸がんの原因になると確認し、ノーベル賞受賞となった。
そして以前から、他のがんの原因もウイルスと考え、牛肉に含まれているという仮説を立てて探しているそうだ。

Die ZEIT の記事は次の通り。
http://www.zeit.de/wissen/2010-05/krebs-viren-zurhausen?page=all

肉汁の多い牛肉ステーキをよく食べる国で、乳がん、すい臓がん、肺がんが多発していると報告されている。
その国とは、アルゼンチン、アメリカ、ニュージーランドである。

多数派の仮説は、加熱調理時に生じた化学物質が発がん性である、というものだが、
これは調理法を問題としており、牛肉で発がんリスクが高いことを説明できていないとして、
ウイルス原因説を唱えるツア・ハウゼン博士は、この仮説には納得していない。

肉汁が多いステーキ、つまりレアでは、肉内部は50℃まで上がらず、
もし原因ウイルスがあるならば、この温度では死なずに人間は摂取してしまうと考えている。

ただ、よく加熱しても、内部温度は70℃までにしか達しないと博士は考えており、リスクは残っているという。
ポリオーマウイルスであれば80℃で30分加熱しても生き延びるそうで、パスツール殺菌の牛乳も危険だという。

しかし、牛肉・乳製品に接触していない対照群を得られず、ウイルス仮説の疫学的検証は困難である。

そこでウイルスがあるとして、その病原体との接触を避けるような飼育方法を考えているようで、
また、ワクチン接種という方法もありうるとのことだ。

HPV研究が子宮頸がんワクチンにつながったので、ツア・ハウゼン博士はウイルス原因説にこだわるのかもしれない。
多様な仮説が出ること自体はかまわないが、ノーベル賞学者の仮説だからといって、無批判に信じないようにしたい。

毎年IWC年次会合が近づくと、捕鯨関係の報道も増えるような気がする。

毎日新聞でも、5月15日発売の月刊誌 「ニュースがわかる」6月号で、
「どうなる日本のクジラ捕り」 という解説記事を書いている。
http://mainichi.jp/enta/book/wakaru/

特に気になったのは4つ目の 「人間との共存を探る」 で、いわゆる「クジラ食害論」を元に、捕鯨の必要性を説いている。
http://mainichi.jp/select/wadai/wakaru/life/archive/news/2010/20100521org00m040006000c.html

A:日本が捕鯨を主張する理由の一つは、クジラが魚を大量に食べるため、漁業に打撃を与えるとされる点だ。増えすぎたクジラはきちんと間引かなければ共存できないというんだ。

B:クジラって、絶滅しかけているんじゃないの?

A:日本捕鯨協会の資料によれば、絶滅にひんしているクジラはいない。昔、乱獲されて激減したシロナガスクジラやセミクジラ(平均体長約15メートル)も絶滅の危機を脱した。ミンククジラ、ニタリクジラなど増えた種類もある

B:でも、牛やブタの肉でも魚でもお店ではたくさん売っているよ。外国ともめてまでクジラを食べなくたっていいと思うな。

A:今の日本の食卓は豊かだが、世界の人口69億人のうち10億人近くが飢えている。昨年11月に行われた食料サミットで、2050年に世界の人口は90億人をこえ、食料確保には農業生産を今より70%増やさなくてはならないと指摘された。クジラをはじめとする海洋資源を適切に管理して食用にしたいと考えている発展途上国は多いんだ。


日本鯨類研究所の調べによると、すべての海域でクジラが食べる量は年に約2億8000万~5億トン。世界の漁獲量は約9000万トンだから、クジラは人間の3~5倍もの魚を食べていることになる。

日本の場合、夏に北海道太平洋沿岸でカタクチイワシ16万トン、サンマ26万トンが水揚げされるが、この海域でミンククジラはカタクチイワシ4万~5万トン、サンマ6万~9万トンを食べてしまう。これは漁獲量のそれぞれ30%にも及び、ミンククジラと人間との間に魚の奪い合いが生じていることがわかる。】

こういった記事を書くときは、通常は水産庁に問い合わせをするものだが、
なぜか日本捕鯨協会と日本鯨類研究所の資料を用いて、「クジラ食害論」 の宣伝記事を書いている。

特にサンマは、価格維持をするために休漁するほど豊富にある。
イワシが減ったことを、クジラが原因としたい捕鯨サークルだが、これはレジームシフトで説明可能だ。

この雑誌は、小学校高学年から中学生向けとのことだが、子どもたちに怪しい仮説を刷りこもうということか。
学校給食への鯨肉導入も含めて、先入観がないうちに、捕鯨サークルに都合のよい子どもにしようということか。

「クジラ食害論」 という仮説を提示することは捕鯨サークルの自由ではあるが、
これが唯一の有力な仮説であるかのように、子どもたちに誤解させてしまうのは、非常に危険なことだ。

ニュース解説を目的とするならば、他の仮説も含めて、多面的な説明をしてほしい。


また、「鯨食文化を守る会」 の小泉武夫会長が最近、「鯨は国を助く」 という本を出した。
書店で立ち読みしたのだが、新しい話はほとんどなく、資料として手元に置く価値はないので購入しなかった。
http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784093878975

この書籍の紹介記事でも、「クジラ食害論」 は健在である。

【反捕鯨派は「クジラは絶滅の危機に瀕している」「地球の環境保護のシンボルだから捕るな」「牛豚を食べれば良い」と主張する。だが、クジラは絶滅の危機どころか、実際は長年のモラトリアムで増えすぎていることがわかってきた。クジラが食べる魚の量は全人類の食べる量の4,5倍に達している。世界中の漁民が増えすぎたクジラの食害に悲鳴を上げ始め、国連食糧農業機関も鯨類の過剰保護に警告を発した。】

(最終チェック・修正日 2010年05月30日)

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