2012年03月

USA Today の記事によると、スターバックス(アメリカ)のストロベリーフラペチーノに、昆虫由来の色素が食品添加物として使われていることに完全菜食主義者が抗議しているそうだ。
www.usatoday.com/money/industries/food/story/2012-03-28/starbucks-strawberry-frappuccino-beetle-juice/53839006/1

この色素は、E120 またはカルミン、コチニールとも呼ばれ、認可された食品添加物だが、この記事を紹介している 
ABC Nes のブログでは、昆虫由来なので言葉遊びのように、スターバックス(Starbucks)のことを Starbuggsと書いている。
abcnews.go.com/blogs/business/2012/03/starbuggs-strawberry-frappuccino-colored-by-insects/
(注:「虫」は bug なので Starbugs としている記事もあるがが、文字数を合わせるために buggs にした思われる。または、もしかすると訴訟リスク回避のために、わざと buggs としたのかもしれない。)
 
この記事はドイツのメディアでも引用されている。
www.sueddeutsche.de/wissen/lebensmittel-starbuggs-ein-lausiger-skandal-1.1322500

スターバックス(アメリカ)のHPにある、対象製品の説明は次の通りだが、食品添加物については認可されたものを使用しているとだけで、コチニールが入っているとは書いていない。
www.starbucks.com/menu/drinks/frappuccino-blended-beverages/strawberries-and-creme-frappuccino-blended-creme


アレルゲンについての情報を知りたい人は、店舗のバリスタに直接質問するか、または電話で問い合わせることになる。
【Allergen information is currently unavailable online for our beverage selections. We are actively working to bring that information to you. If you have an allergen concern, please feel free to ask our baristas to check the ingredient labels or call 1-800-235-2883 for more information. 】

また、プレスリリースには、この記事に関して何も出ていない。


食品添加物として認可されているものの、いかなる動物由来製品をも避けたい完全菜食主義者や、過去にアレルギー症状を経験した人たちは、「スターバックスの食品スキャンダル」と感じている。

日本のスターバックスコーヒージャパンに電話したところ、日本で販売予定のストロベリーフラペチーノには、コチニールを使用しない、との回答があった。

他のフード類では、コチニールを使用している可能性があるため、公表できるかどうかも含めた調査を依頼した。
このブログでは調査結果を書かないつもりなので、この色素が気になるならば、個別に問い合わせてほしい。

また今回はアメリカでの話であって、しかも、完全菜食主義者の人たちが動物由来製品を使っていることに抗議しているのであり、「虫を使ってフラペチーノを作った」などという変な噂に惑わされないでほしい。

Daily Mail Online の記事の見出しが、わざとセンセーショナルな表現になっているので、誤解が生じているようだ。
www.dailymail.co.uk/femail/article-2120796/Starbucks-admits-Strawberry-Frappuccino-contains-crushed-bugs.html


この色素は、中南米原産の昆虫、エンジムシ(コチニールカイガラムシ、Dactylopius coccus Costa)のメスを乾燥させてから、温水などで抽出して得る。
インカ帝国の時代から繊維用染料として利用され、その後ヨーロッパに持ち込まれ、繊維産業の他にも食品添加物として用いられている。

欧米では認可されているが、アレルギー症状の報告もあるため、日本では食品安全委員会で審議されていた。
www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20110726te1 (カルミンに係る食品健康影響評価について)


ところで、スターバックスに限らず食品業界や洗剤業界などは、やたらと「天然素材」という、心地よい響きのキーワードを多用するようだ。

ストロベリーフラペチーノの色が人工着色料ではなく、「昆虫から抽出した天然色素」と聞いた後でも、「カイガラムシの色素だけど、天然由来っていいよね」と、感動する人はどのくらいいるのだろうか。

「天然着色料」というくくりで、ぼかして書くことで、誤解を生じないようにしているのだろうか。

虫が嫌いなら E120(カルミン)を人工的に合成すればいいが、すると今度は、「石油から作った人工着色料は体に悪い」と言って反対する人が出てくる。

化学的には同一の構造で、色も性質も変わらないのに、天然由来なのか合成品なのか、植物由来か動物由来か、そして消費者それぞれのポリシーによって受け取り方は様々だ。

添加物以外でも、それぞれ個別に検討することが必要で、天然色素だから安心だとか、エコラベルが付いているから環境にやさしいとは必ずしも言えない。
気にしすぎると精神的に疲れてしまうが、放射性物質の汚染問題も含めて、自分自身の考え方を決めておきたいものだ。


追記(4月1日):
日本語で内容を知りたい人には、ニューズウィーク日本版を参照してほしいが、やはり記事のタイトルが気になる。
www.newsweekjapan.jp/stories/us/2012/03/post-2488.php

追記2(4月7日):
赤色天然着色料であるコチニールを使用した製品について、電話で回答があった。
5品目以上に使われており、しかもペイストリー類だけではなかった。
コチニールの使用は認可されているものの、アレルギー症状が出た事例も少数ながら報告されているので、食後に違和感があった場合は、すぐにスターバックスに電話をして、添加物を調べた上で、専門医に相談してほしい。

(最終チェック・修正日 2012年04月07日)

3月11日にアフガニスタン南部で、アメリカ陸軍の Robert Bales 2等軍曹が銃を乱射して、民間人16人を殺害した。
この軍曹は現在、アメリカ本土の基地内にある収容施設に移送されている。
今後は軍事法廷において、殺人容疑で起訴されることになったが、弁護側はPTSDなどの精神疾患を主張している。

例えば、朝日新聞の記事は次の通り。
www.asahi.com/international/update/0311/TKY201203110352.html (3月12日、乱射事件の記事)
www.asahi.com/international/reuters/RTR201203250001.html (3月25日、訴追の記事)
【[カブール 23日 ロイター] 米軍は23日、アフガニスタン南部カンダハル州で地元住民17人を射殺したなどとして、殺人と殺人未遂の容疑でロバート・ベイルズ2等軍曹(38)を訴追した。有罪となれば、死刑の可能性もあるという。

…司法手続きは所属地であるワシントン州タコマ近郊のルイス・マッコード基地で行われる予定。

弁護士は容疑者が「事件を覚えていない」としており、裁判では4度にわたるイラクなどへの派遣で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患ったと主張するとみられている。】

海外メディアでは、抗マラリア薬(Mefloquine、メフロキン)の副作用の疑いがあると報じている。
www.dailymail.co.uk/news/article-2120577/Was-Staff-Sgt-Robert-Bales-given-anti-malaria-drug-known-cause-psychotic-episodes-Afghan-massacre-Pentagon-ordered-emergency-review-drug-days-shooting.html
www.sueddeutsche.de/wissen/amoklauf-in-afghanistan-wahnvorstellungen-als-nebenwirkung-1.1319342

この抗マラリア薬は以前、Lariam(ラリアム)という名称でロシュが販売していたが、重篤な副作用問題のため撤退した。
今はジェネリック医薬メーカーが製造・販売している。
例えば日本では、久光製薬がメファキンの名称で販売しており、添付文書は次の通り。
www.hisamitsu.co.jp/medical/data/mephaquin_t.pdf

めまいや嘔吐だけでなく、深刻な事例としてパニック発作や錯乱、自殺願望などが報告されている。

以前にも、ソマリアに派遣されたカナダ軍兵士に、異常行動があったと報告されているし、米軍基地内で家族を殺した兵士の事例もあった。
www.cbsnews.com/2100-500164_162-538144.html


米軍では特別な場合を除いて投与しない方針となったが、アフガニスタン派遣軍では、マラリア感染予防として、毎週メフロキンを兵士に服用させていた。
しかし原則として、今回の軍曹のように、外傷性脳損傷を受けた兵士には投与しないことになっていた。

どんなに優れた医薬品でも、必ず副作用を伴うことを再認識すべきだ。
100年以上も販売が続くアスピリンであっても、胃粘膜損傷という副作用があるため、別の薬を同時に服用する必要があるくらいだ。

裁判がどうなるのか気になるところだが、医薬メーカーに勤務する研究員としては、副作用についてどのように取り上げるのか、続報をチェックしていきたい。


現在作業している外資系メーカーのデータベース翻訳は、受注後に担当するファイルが追加されたこともあり、4月末までかかる予定だ。
この翻訳プロジェクトは、英語で書かれた製品カタログなどの内容を、すべて日本語に翻訳するものだ。
カタログは毎年改訂されるし、新製品も次々と出てくるので、この仕事は終わることがないだろう。

いくら外資系メーカーとは言っても、日本支社では日本国内の企業や研究機関などが主要顧客のため、カタログや新製品紹介パンフレットを日本語で作成する方が望ましい。

研究機関には外国人留学生やポスドクがいるし、日本企業でも日本人だけが働いているわけではないが、「日本支社」なのだから、HPも含めて日本語での情報発信が求められる。

このプロジェクトの納期はのんびりしているし、直接契約のためワード単価も高いので、大量の案件でも優先して受注している。見積もり段階では、主にワード総数をまず見て、次にファイルの一部をざっと見て、翻訳内容のレベルを確認している。
そして納期までに翻訳可能だと判断すれば、受注の意思があることを伝える。

私は有機化学の研究者なので、実験であまり触れることがない、無機化学や高分子化学、生化学の知識が足りないと感じている。
それでも博士号取得者なのだから、参考書を読むなどして補強し、原文英語に疑問点があれば、複数の論文で確認することもある。

専門用語のチェックのために、生化学辞典や生物学辞典などを調べるのは当然だが、原文英語が間違っているときは、推測や調査に時間がかかることがあるので困る。

タイプミスも含めて、英語の間違いを日本人が指摘するというのは、なんだか変な話だが、まあこれも翻訳者の仕事の一部だと割り切って考えている。
ワード単価が一番低い7円の案件のときでも、化合物名や病名のスペルミスなどの他にも、英語で申請した特許なのに、フランス語やドイツ語の単語が混ざっていることまで指摘したことがある。
副業ということで余裕があるからかもしれないが、信頼してもらうためにも、
細かい配慮をしているとい 姿勢を示すことは大切だ。

メーカーのカタログであっても、説明文の入力作業や推敲作業を研究者がやっているわけではない。
そのためか、化合物名や専門用語のタイプミスに気付かないのか、今回のデータベースファイルには、間違いがたくさんある。

単純なタイプミスの場合は、主に近くのキーを間違えて押したものであり、これは少し考えれば推測できる。
例えば、organic が proganic になっていても、前後の単語も含めて考えればタイプミスだとわかる。



ただ、asirizine という単語を見たとき、「こんな新しい化合物ができたのか」と思った。
念のため参考文献を見ると、「アシリジン」などという化合物は存在しなかった。
これは、正しくは aziridine「アジリジン」であり、s と z のキーが互いに近くにあるためのタイプミスだろう。

他のタイプミスも、参考文献を見れば、実際の化合物名や酵素名などがわかるので、調査時間はかかるが正しい和訳に修正できる。



判断に少し時間がかかったのは、black current であった。
この単語自体はこの世に存在するもので、これは海流の「黒潮」である。
しかし、植物から抽出した成分の説明なのに、海流の黒潮が出てくることが不自然だと、翻訳者でなくても気付くだろう。
それでいろいろと調べてみると、植物名の black currant(クロフサスグリ)が正しいと判明した。

同様の例として、choline「コリン」も実在する物質名だが、文意に合わないので文献を調べると、chlorine「塩素」が正しかった。



別のタイプミスとしては、定冠詞 the が代名詞 they になっていたり、名詞が複数形なのに不定冠詞 a がついていたり、そして動詞 produce になるべきなのに名詞 product になっていたり。
他にも、前置詞 of が必要と思われるのに欠落しているなど、今回の原文英語のレベルは低いものである。
原稿を用意した人が間違えたのか、タイプした人が間違えたのか、それはわからないが、カタログのデータを登録する前のチェックが甘いと思われる。

まあ、日本人の書いた日本語文章でも、誤字脱字がいくらでも見つかるので、英語ネイティブでも間違いに気付かないままで印刷に回してしまったのだろう。
逆に非ネイティブだからこそ、原文をじっくりと確認しているので、細かいミスにまで気付くのかもしれない。

ただし今回は、学名やラテン語由来の語句をイタリック体にしていないことや、αが a になっていたりと、原文の修正項目が多く、和訳作業だけに集中できずに疲れている。
原文の修正をしながらの翻訳作業は、あと1か月も続くが、疲れをためないようにして、楽しい連休を迎えたいものだ。


東京電力福島第一原発の事故に由来する放射性セシウム汚染問題は、今後何十年も続く環境汚染である。
首都圏ではいくつかの自治体で、ごみ焼却灰における高濃度汚染に悩んでいる。
土壌汚染の測定結果や除染などについて、緊急シンポジウムを追加開催している学会もある。

昨年夏には、被災地の松を燃やすかどうかで、賛否両論入り乱れての一騒動があった。
今週は秋田で、ペレットストーブの灰から放射性セシウム137が検出されたことが騒ぎとなっている。

地元紙の秋田魁新報の記事と、秋田県横手市森林組合公式ブログを引用しておこう。
www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp (3月18日の記事)
www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp (3月20日の記事)
hshinrin.blog14.fc2.com/blog-entry-739.html (森林組合のブログ記事)

【大館市の木質ペレット製造業者が市内の事業所などから回収したペレットストーブの焼却灰の一部から、1キロ当たり千ベクレルを超える放射性物質が検出されたことが17日、分かった。

業者は、ペレットに放射性物質が含まれていた可能性があると指摘。「原料の一部に北欧産の輸入材を使ったおがくずが含まれていた。その中に(1986年の)チェルノブイリ原発事故で汚染されたものがあった可能性がある」としているが、どの製造工程で混入したか不明。回収した灰は数キロ程度で、業者が市内のペレット製造施設内で保管している。】

【大館市の木質ペレット製造業者の製品の焼却灰から1キロ当たり千ベクレルを超える放射性物質が検出された問題で、市は19日、汚染の可能性があるペレットが本年度400トン生産され、県内11市町で既に販売されていたと発表した。原因は原料に使われていたスウェーデン産のアカマツであることも分かった。業者が製品と灰の自主回収を進めている。】

大館市のHPでは公式ツイッターも含めて、3月21日時点で、残念ながら何も情報はない。
www.city.odate.akita.jp/

具体的な数値(1300 Bq/kg)については、河北新報の記事を引用しておこう。
www.kahoku.co.jp/news/2012/03/20120320t43014.htm
【秋田県大館市は19日、暖房の燃料に使われる木材加工品「ペレット」の焼却灰から1キログラム当たり1300ベクレルの放射性セシウム137が検出されたと発表した。

国の基準では、1キログラム当たり8千ベクレル以下なら通常のゴミと同じように埋め立てが可能。肥料などとして使用する場合の暫定許容値は同400ベクレル。】

問題のペレットを製造販売したのは、北秋容器株式会社である。
会社のHPには、木質ペレットの製造工程の他に、ペレットを利用するストーブやボイラーの紹介ページがある。
www.hokusyu-yoki.co.jp/index.htm
www.hokusyu-yoki.co.jp/pellet.htm

木質ペレットの原料には間伐材や端材などを有効活用できるので、森林の適切な管理に役立つと期待されている。
また、バイオマス利用ということで、二酸化炭素排出量を相殺できるとみなされ、重油やガスを使うボイラーよりはエコだと言われている。


ペレット原料の選択理由は会社に聞いてみないとわからないが、原料アカマツをスウェーデンから輸入していたとのことだ。
生産を始めた2009年から使っていたのか、日本の木材と混ぜていたのか、現時点ではよくわからないため、追跡調査中のようだ。

スウェーデン産アカマツということで、今回検出された放射性セシウム137は、なんと25年前のチェルノブイリ事故由来である。
確かに今でもヨーロッパでは、自生キノコや野生イノシシの肉などから、基準値を超えるセシウム137が検出され続けているから、21世紀中はずっと監視していなければならないだろう。

ストーブ用の木質ペレットと言えば、2009年にリトアニア産のペレットからセシウム137が検出されて、イタリアなどで騒ぎとなった。
www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5goYteynhsH7xwCovzDSezXKc7fvQ (AFP英語記事 2009年6月14日)

25年前のチェルノブイリ事故の影響が今でも残っているのだから、福島第一原発事故で汚染された地域に、今年から戻ろうなどというのは無茶な考え方のように思える。
避難している人たちが右往左往するようなことを、無責任にあれこれ言うのはやめて、今後○○年は住めない、と決断する方がまだいい。
しかし、「すぐに人体に影響が出るレベルではない」と言い続けたため、うやむやにすることしか考えていないのだろうか。


今朝もデータベース翻訳を始めたが、1時間くらいで疲れてしまい、休憩することにした。

昨日19日から福井大学で、日本原子力学会の春年会が開催されているので、関連ニュースを探してみた。
すると、福島第一原発事故の特別セッションで東京電力が発表していたことを知った。
www.aesj.or.jp/meeting/2012s/j/J12Spr_TOP.html (学会の案内)
www.aesj.or.jp/meeting/2012s/j/J12Spr_specialsession.html (3月19日、福島第一原子力発電所事故特別セッション)
【第2部 福島第一原子力発電所事故対応の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(東京電力)福田俊彦

第3部 福島第一原子力発電所事故対応技術セッション(その1)
(1)福島第一原子力発電所事故 1)事故後の取り組みと今後の中長期計画 ・・・・・・・・・・・・・・・(東京電力)山下和彦 
(2)福島第一原子力発電所事故 2)地震・津波の影響について  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(東京電力)土方勝一郎 
(3)福島第一原子力発電所事故 3)事故時の対応状況とプラント挙動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(東京電力)宮田浩一 】

この特別セッションの内容について、福井新聞の記事から抜粋しておこう。
www.fukuishimbun.co.jp/localnews/earthquake/33698.html
【…東京電力福島第1原発事故を受けた特別セッションでは、東電が福島での事故対応や事故時のプラントの動き、地震・津波の影響などを報告。「想定したシビアアクシデント(過酷事故)を超える事故に対する備えが十分ではなかった」と謝罪した。同学会は6月末を目途に、福島事故の進展を技術的な見知からまとめる方針を示した。

…特別セッションには会員や一般聴衆ら約500人が参加。東電の福田俊彦原子力品質・安全部長はプラントパラメーターの解析結果などから「地震発生から津波到達までの間、プラントの安全性は維持できていた」と指摘。過酷事故に至った主な原因は地震ではない―とあらためて説明した。

一方、燃料損傷に伴い被覆菅の金属ジルコニウムと水蒸気が化学反応し発生した水素が、原子炉格納容器から原子炉建屋内に漏れて水素爆発を起こすことは予想していなかったと強調。想定を超える重大事故への備えが不十分で、安全対策に不備があったと認めた。
…】

東京電力は原子力ムラ代表として、原発推進派・所轄官庁の意向を尊重しているのか、「津波が原因で過酷事故に至った」という主張を繰り返している。
旧式の原発が地震動で壊れたと認めてしまうと、推進派にとっては非常に困った事態となるためだ。

同じプラントパラメーターを用いて、強い地震動で既に配管などに損傷が起きた、というシミュレーション報告もあるのに、講演者として招待していない(田中三彦、「科学」、2011年5月号0420~0425ページ、岩波書店)。

田中三彦氏は以前、福島第一原発4号機の圧力容器の設計を担当したのだから、関係者として招待してもよかったはずだ。
しかし、圧力容器製造時の変形について、不適切な補修を行ったことを告発したためか、原子力学会からは無視されているようだ。

一般の人たちが持つ学会のイメージとしては、様々な意見を持つ研究者たちが、自説をぶつけあって熱い議論をする場であろう。
確かに新説に対して反論があったり、座長が司会できないほどの応酬合戦となることもあるが、日本原子力学会の主流派は原発推進派で占められており、反対派をわざわざ招待することはありえない。

まあ、学会として報告書をまとめるそうだから、どの程度偏った内容になるのか、その発表を待つことにしよう。


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