2012年08月

5月の連休明けにデータベース翻訳を納品してから約1か月後、新規案件の依頼が来た。
しかし見積書を提出した後で、クライアントの予算の都合ということで延期となり、約25万円の収入増を逃してしまった。
このデータベース翻訳は、翻訳会社を通さない直接取引のため、ワード単価は20円を超えるので残念だ。

延期ということだったので、8月になれば依頼が来るかと思ったが、期待に反して何もなかった。
5月の連休や、8月中旬と年末年始は、本業の休暇期間全てを翻訳に使えるので、このタイミングで受注するのが理想だ。

この様子だと10月頃まで何も来ないと思っていたら、ある翻訳会社から英文和訳の案件について、問い合わせメールが届いた。
報告書の和訳で至急とのことだったので、まずは原稿の内容を把握したいと返信した。
そして帰宅時に駅まで歩く途中、スマートフォンでワードファイルをダウンロードして、報告書の内容と難易度を、ざっと確認した。
機種変更したIS15SHが、翻訳受注で活躍した最初の事例となった。

この内容ならば納期に間に合うことと、希望ワード単価の範囲(7円から10円)を伝えた。
あまり高い単価を提示しても受注を逃すし、クライアント側の予算もあるだろうから、上記範囲内で決めてもらった。
すると、9円/ワードという回答があり、税込で約3万円の翻訳料金となった。

まあ、本業の収入があるので少なくても我慢しよう。
そしてこの翻訳料金は、雑誌の年間購読料に充当すればいいと考えることにしよう。

ワード単価下落の理由に、今でもリーマンショックを持ちだすことには違和感があるが、実際に10円を超えることは珍しくなったようだ。

10年前のワード単価は、今回のような専門分野の報告書ならば、英文和訳でも12円以上は取れた。
至急翻訳となると、15円くらいになっても不思議ではなかった。
特に政府関係機関や独立行政法人の案件では、年度末の予算消化のためなのか、翻訳会社を通しているのに高額だった。

その後は政府関係機関の翻訳でも、随意契約ではなく、入札制度を取り入れることが増えた。
すると予定価格よりも、かなり低額で落札されることがあり、そうなると翻訳者の取り分も減ってしまう。
実際に私が参加した英文特許和訳案件では、ワード単価は7円であった。
まあ、特許では同一表現の繰り返しが多いので、7円でも仕方ないかと感じた。

単価は下がったものの、特定の分野では、翻訳案件数が増加していると言われている。
自動車関連では、クリーンディーゼルやハイブリッドなどの新しいエンジンや、電気自動車もあるので仕事はなくならない。
環境関連も増えているのは、EUなどでの規制が強化されたため、製品を輸出するには毒性試験報告書などが必要だから。

それでも、語学以外の専門知識が要求される産業翻訳では、コスト削減よりも、質の維持のためにもワード単価は上げてほしいものだ。

その理由の一つは、今回の報告書でも、原文の英語に間違いがあるためだ。
単なるタイプミスのことも多いが、実在の単語になっている場合は、確認作業や判断するための時間が取られるので、少々嫌になることもある。

いくつかあったが、1つだけ示しておこう。
表にまとめた数値の説明で、「As indicated in Table 1」となるはずが、「As indicted in Table 1」になっていた。

この「As indicted in Table 1」を Google 翻訳に入力すると、「表1に起訴」と和訳される。
ただし他の候補として、「もしかして: As indicated in Table 1」が表示されるので、このくらいのタイプミスならば、人間の判断は必要ないのかも。

人間による翻訳が生き残ることを祈りながら、次の案件を待つことにしよう。

今日の午前中の買い物はイオンまで行った。
決算謝恩お客様感謝デー」ということで、WAONカードで支払うと5%引きになるから。


ネットでチラシを見たところ、それに加えて朝10時までの朝市の特典として、さらに価格が5%引きで、ポイントも2倍になる。
イオンモールの一部専門店でもポイントが2倍になるので、ABC MART でナイキのトレーニングシューズ(29cm)を購入した。
29cmのシューズというのは、いつでも在庫があるわけではないし、好きな色やデザインがないことも多い。
それに横幅や硬さの他にも、つま先の形が少しずつ異なるので、足に合うシューズはチャンスを逃さず絶対に買わねばならない。

シューズを確保して安心した私は、最後に食品売り場に移動して、朝市の安売り商品を物色した。
するとパン売り場では、Pasco(敷島製パン株式会社)の新商品が展示され、おばちゃんが試食を勧めていた。

その新商品とは、チョコミントアイスをイメージしたという「チョコミント蒸しケーキ」である。
www.pasconet.co.jp/system/bread/index.cgi

【チョコミントアイスをイメージして作った蒸しケーキです。チョコを入れたペパーミントの蒸しケーキにバニラホイップクリームを入れて、食べやすく仕上げました。そのままでも冷やしてもおいしく、冷やすと違う食感が楽しめます。夏季限定商品です。】

試食してみると、ミントの風味がほどよく、そして夏季限定商品ということもあって2個買うことにした。

予定外の試食があったので、チラシで見た衣類用洗剤を買うのを忘れて帰宅してしまったが、まあこれは次の機会でいいだろう。

帰宅して昼食後に袋をあけて見ると、形は蒸しケーキというよりも、なんとなくカップ入りチョコミントアイスに見える。
冷やしてあってもミントの風味はしっかり感じられ、バニラクリームやチョコの分量も、甘すぎない程度でちょうどよかった。
フレーク状のチョコの大きさも、この商品の食感を良くしているのではないかと思う。

猛暑ということでミントの清涼感をアピールしているわけだが、好みの味に変えたいならば、例えばココアパウダーをかけてみてもよいだろう。

公正な評価として、一つくらい難点を挙げておこう。
「チョコミント味の蒸しケーキ」と知らされずに、目の前に突然出されたら、水色の中に小さな黒い粒がある外観は、少々奇異に感じるかもしれない。

残暑の間にどのくらい売れて、今期の収益に貢献するのかどうかはわからないが、こういった季節限定品を投入することで、Pasco のブランドを定着させ、そして新商品開発能力をがあることをアピールできるのはメリットだ。


ところで、今回の商品を食べて、チョコチップ製造装置のドイツ語特許を翻訳したことを思い出した。
薄くスライスした形状のチョコチップでは、角のところでゴツゴツした食感となるので、好ましくないこともあるとのことだ。
その発明によると、球状のチョコチップを任意の直径で作成できるという。
球状なので食感は非常に向上し、滑らかな感じになるそうだ。


とにかく、新商品発売時は割引価格になることが多く、支出がそんなに増えないので、気になるものがあれば今後も買ってみよう。

医薬メーカー子会社で研究員をしている私が言うのも変だが、欧米巨大医薬メーカーの商売のやり方は悪質だと思ってしまう。

最近流行したブタインフルエンザ(H1N1-A型インフルエンザ)のワクチンを売る時、最初の契約書には返品拒否の他に、副作用への責任を負わないなど、いろいろと不公平な条項があって問題となった。

また、新薬の大型治験の実施場所にインドなどのスラム街を選び、自分の名前も書けないような人が同意したことにしている。
子どもへの使用が禁じられている医薬品を、人道的援助と称してアフリカに送り、人体実験まがいのこともやった。
都合の悪いプラセボのデータを隠ぺいして申請し、全く効果がない物質を新薬として発売したこともある。

悪事の発覚後に、多額の賠償金が課されることもあるが、巨大医薬メーカーが潰れないのは、政界へのロビー活動の成果なのだろうか。
一番不思議なのは、サリドマイドを開発・販売したドイツの製薬メーカーが、今でも存続し、しかも何も責任をとっていないことだ。
【追記:2012年09月01日:サリドマイドを開発・販売したドイツの Grünenthal 社が、8月31日に公式に謝罪を表明した。また、これに先んじて3月からは、薬害犠牲者個人に対する補償について決定していた。
www.contergan.grunenthal.info/grt-ctg/GRT-CTG/Stellungnahme/Rede_anlaesslich_Einweihung_des_Contergan-Denkmals/224600963.jsp
www.contergan.grunenthal.info/grt-ctg/GRT-CTG/Unterstutzungsangebot/Offer_for_support/205000004.jsp;jsessionid=A91BC0DFDE812E1AB59444C7023D0CA2.drp2

今回取り上げる Genzyme(ジェンザイム)社は、Sanofi(サノフィ)グループ傘下のバイオ医薬品メーカーで、日本支社もある。
www.genzyme.com/Company.aspx
 
抗体医薬品の Alemtuzumab(アレムツズマブ)は、抗がん剤として2001年から、慢性リンパ性白血病の治療に使用されてきた。
実際には、他の抗がん剤を用いた通常の化学療法では効果がない場合の、第二の選択肢という位置付けである。

10年以上の実績がある Alemtuzumab だが、Genzyme社は市場から回収することを決定した。
副作用問題でもなく、効果がないからでもなく、供給能力の問題でもない。
多発性硬化症にも効くことが判明したため、この治療薬として再申請するためのようだ。

この販売停止に関するドイツ語報道を引用しよう。
www.sueddeutsche.de/gesundheit/preistreiberei-der-pharmabranche-wie-man-ein-medikament-drastisch-verteuert-1.1444186
www.aerztezeitung.de/medizin/krankheiten/krebs/lymphome/article/819675/strategischen-gruenden-leukaemie-arznei-markt-genommen.html

販売停止後の入手方法について、英語の情報は Sanofi UK で見つけた。
www.sanofi.co.uk/l/gb/en/layout.jsp

Genzyme社はこの決定について、アメリカのFDAやヨーロッパのEMAに事前に通知していた。
しかし、特にEMAや血液がん専門の医師たちは、受け入れられないことだと反発している。
Genzyme社と契約すれば入手可能ではあるが、なんとも勝手な決定だと感じる。

Genzyme社は Alemtuzumab について、多発性硬化症での臨床試験に専念する予定だ。
慢性リンパ性白血病では第一選択薬ではなかったが、多発性硬化症ならば、より多用してもらえると期待できる。

慢性リンパ性白血病と臓器移植での使用で、アメリカでは1年間に1億ドル以上を稼ぐブロックバスターの地位にあるが、さらに儲けたいということか。

慢性リンパ性白血病の治療に Alemtuzumab を使うと、ヨーロッパでは患者一人当たり年間約4万ユーロになるそうだ。
多発性硬化症では年間約3万ユーロと少し減少するものの、適用拡大によってブロックバスターであり続けるだろう。
また、効能追加で再申請して、より高い価格設定が認められれば、さらに儲けることができる。

抗体医薬品は元々高価である上に、一定期間継続して投与する必要があるため、患者の経済的負担は大きいものの、その分、メーカーが儲かる仕組みになっている。
開発費などを回収するために適切な価格になっているのだろうが、ここにもロビー活動が影響しているのかもしれない。

病気が治るのならば、どんなに高価な薬でも使いたいというのが患者の心理である。
患者を救いたいという気持ちから開発しているのか、それとも金持ちになりたいから開発しているのか、本音はどちらなのだろう。


(最終チェック・修正日 2012年09月01日)

私は3年前から3種類の薬を処方されて、毎日飲み続けている。
病名や処方薬について詳しくは触れないが、睡眠の質が悪くて受診したと言えば、まあだいたい推測できるだろう。
この薬のおかげで、夜中に目が覚めてしまうことがほとんどなくなった。
そしてあの東日本大震災で故郷が破壊され、知人の訃報が届いた後でも、私の精神状態がなんとか持ちこたえたのも、薬のおかげだ。

私は医薬メーカー子会社の研究員として、新薬開発のごく一部を担っているに過ぎないが、実家の家族も含めて、患者の立場からも考えることができるので、毎日の仕事に責任感を持って取り組んでいる。
ただし客観的に考えてみると、仕事への責任感で精神的に疲れ、そのために薬を飲んでいるというのは皮肉なことだ。

3種類の薬のうち、1種類は既にジェネリックになっていたが、前年度の金額は毎月 1,930円(3割負担)だった。
年間 23,160円で、高額という印象はないものの、確定拠出年金(個人型)の拠出額1か月分とほぼ同じと考えるともったいない。
ということで残り2種類の薬も、入手可能になってから、ジェネリックに変更する方針とした。

そのうち一つは、実は自社製品だったのだが、健康保険組合の経費削減方針もあって、ジェネリックに変えることにした。
ただ、用量も少なかったこともあり、月 1,890円と、わずか 40円の節約だけ。
それよりも、ジェネリックに変更したことで副作用が出るかどうかなど、体の反応をチェックする方が大切だ。

2か月ほど様子を見て、何も変化がなかったことから、残り1種類について、ジェネリックが出るまで待つことにした。
そしてようやく薬価収載となったため、先月からジェネリックに変更した。
これは用量も多めで、先発品の薬価も高い方だったので、変更後は月 1,550円と、さらに 340円の節約になった。

ところが今月は、なぜか 50円増えて、1,600円になってしまった。
薬局の壁に貼ってある通知には、「後発医薬品調剤体制加算」について書いてあった。

この「後発医薬品調剤体制加算制度」については、厚生労働省のHPに説明がある。
社会保障費の見直し政策の一つとして、ジェネリックの使用率を上げることが目的か(民主党内に反対者もいるが)。
www.mhlw.go.jp/seisaku/2012/03/01.html
III さらなる使用促進に向けて
1.平成24年度診療報酬改定における環境整備
(1) 保険薬局の調剤基本料における後発医薬品調剤体制加算の見直し

今年度に入って、様々なジェネリックが薬価収載されるようになり、この薬局でも取扱量が増えたと思われる。
しかも私が変更した薬が、受診している病院でよく処方しているものなので、近くにあるこの薬局でも取扱量が増えるわけだ。
ということで、後発医薬品調剤体制加算ができるほどになったようで、届出をしたとのことである。

安価なジェネリックを増やすと薬局の収入が減るから、少しでも加算をして経営を助けるということも、一つの考え方ではある。
患者としても、いつも同じ薬局の薬剤師に相談したいので、薬局の経営が安定する方が好ましい。

今月から支出が少し増えるものの、先発品だけのときよりは節約できているのだから、これでよしとしよう。

ところで、ジェネリック品が先発品と同等とのデータがあっても、薬への反応には個人差がある。
変更後に発疹が出たなど、体調の変化を観察するように、医師も薬剤師も服薬指導をしっかりしてほしいものだ。


私がドイツに留学した10年以上前、ナチスによるウクライナでの大量虐殺を批判する特別展示会が開催された。
私が住む街での展示であり、興味があったのだが、左派と右派のデモ隊が会場付近に集結するという情報があり、外出を控えた。
加えて、外国人研究員が住む大学ゲストハウスの郵便受けにまで、「スターリンの謀略だ」と主張する右派勢力のチラシが入っていたので、何か事件が起きると直感した。
実際に会場前で両派のデモ隊が入り乱れて殴り合いとなり、制止のために警官隊が投入され、多数の負傷者と逮捕者が出た。
その展示会は、安全が確認できた翌日に見学した。

その後も、反ユダヤ、反ロマ、外国人排斥を主張するネオナチなどの右派勢力は増大している。
ヨーロッパの中では、なんとか経済がもっているドイツでも、旧東ドイツ側の失業率は高く、外国人が襲撃される事件が続いている。
また、ナチス幹部だったルドルフ・ヘスを埋葬した教会がネオナチの巡礼聖地になったため、墓地賃貸契約期間の終了に合わせて、ヘスの遺族が極秘に墓を移動することになった。

最近は反EUや反イスラムも加わって、特に東ヨーロッパで極右勢力の台頭が目立っており、国会でも議席を獲得するようになった。

参考として、日経ビジネスオンラインの翻訳記事(The Economist)を引用しておこう(元記事のリンクも掲載した)。
欧州で極右勢力が台頭 - 移民排斥、反イスラムなど過激思想】
business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120816/235610/
www.economist.com/node/21560294 (The Economist の英語記事:8月11日)

EUは多文化尊重主義をとっているが、考え方は人それぞれなので、反外国人感情を持つ人がいることは事実だ。

極右勢力の台頭の理由として一般的には、不景気による失業問題といった不満がよく挙げられる。
ただし、経済問題が極右政党の支持に直接結びつくのではなく、外国人や移民、非キリスト教者への敵視感情が根底にある。

オランダでは9月12日に総選挙が行われるが、世論調査では反EUの社会党が第一党になる勢いとのことだ。
毎日新聞の記事は次の通り。
mainichi.jp/select/news/20120813k0000m030055000c.html
【…欧州連合(EU)に批判的な社会党が世論調査の獲得議席予想でトップを走る勢いを見せている。EU離脱を掲げる極右・自由党も3位に付け、債務危機を機にEUへの反発が噴き出した形だ。オランダのルッテ政権はメルケル独政権と連携して財政緊縮などの危機対策を進めてきた。社会党が勝利すれば欧州政治の流れを変える可能性もある。
…】

オランダの連立政権は、緊縮財政策について連立与党内で対立が起こり、政権が崩壊して総選挙となった。
選挙結果によっては、ドイツとの協力関係が困難となるため、ユーロ圏危機の再燃が懸念される。
右派勢力の経済政策案は未熟なのだが、反外国人・反イスラムといった感情を少し煽るだけで、大半の国民は政策の本質を見ようとはしなくなってしまう。

人権意識が高く、自由で福祉国家というイメージのある北欧諸国でも、移民が増えているために極右勢力が支持されている。
ノルウェーで爆弾・銃乱射テロが起きたのも、反移民・反イスラム思想が背景にある。
単独犯ではあったものの、ブライヴィーク容疑者の行動を支持する人たちがいることも事実だ。

ハンガリーでも、反ユダヤ・反ロマ主義の極右政党ヨッビクの人気が高まっている。
ヨッビク党は単なる極右政党ではなく、まともな経済政策も提案しているが、支持者はそんなことより反外国人感情で動いている。

ところで、記事で取り上げられたヨッビク党だが、人気政治家の Szegedi
Csanád (注:ハンガリーでは姓名の順)が、実はユダヤ人だと、6月に告白して大騒ぎとなっている。
ヨッビク党HPの英語版は現在閉鎖中なので、今のところはハンガリー語版や、他の報道で確認するしかない。
www.jobbik.hu/ (ハンガリー語)
www.jobbik.com/ (英語版)

母方の祖父母がユダヤ人であるため、子孫である
Csanád 本人も、ユダヤ人として扱われるとのことだ。
祖母はアウシュヴィッツ収容所からの生還者で、祖父は別の強制労働収容所に入れられていたという。

2010年頃から「
Csanád はユダヤ人ではないか」という噂があったものの、祖父母が子どもにも孫にも秘密にしていたため、Csanád 本人は今まで何も知らなかったそうだ。
第二次大戦後でもソ連影響下の東欧ハンガリーでは、ユダヤ人であることを家族にも言えなかったのだろう。
そして発覚するまでは、「ユダヤ人がハンガリーの土地を買い占めている」などと、反ユダヤ主義の主張を繰り返していた。

報道によれば、ユダヤ人ということで、ヨッビク党の全ての役職を辞め、そして離党することになったそうだ。
人気政治家の離党となったが、それでもヨッビク党は、反ユダヤ主義を掲げて活動を続けるとのことだ。
www.spiegel.de/politik/ausland/ungarn-jobbik-abgeordneter-szegedi-entdeckt-juedische-wurzeln-a-850342.html
www.independent.co.uk/news/world/europe/poster-boy-of-hungarys-fascist-right-quits-after-jewish-roots-revealed-8054031.html

留学や仕事でヨーロッパに住んでみると、短期の観光旅行では気付かない、ある雰囲気を知ることになる。
それは、「非ヨーロッパ的なもの・非キリスト教的なもの・非白人に対する警戒感」である。
日本人は居座らずに帰国するはずだと思われているので、好意的に接してくれることが多いが、ドイツでは特に、トルコ人と中国人を警戒しているとの本音を何度も聞いた。

反ユダヤ主義も反イスラム主義も、千年以上続くヨーロッパの暗い部分である。
日本の歴史にも、日本人の感情にも、同様に暗く醜い部分がある。
それを隠すことなく直視し、平和な未来のために考えていきたいものだ。

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