目白大学の教授が、文部科学省の科学研究費補助金で観光旅行をしたため処分された。

毎日新聞の報道は次のとおり。
http://mainichi.jp/life/edu/news/20081001k0000e040048000c.html

【目白大(東京都新宿区)は1日、経営学部の教授(68)が文部科学省の科学研究費補助金を使って
05年と06年に海外出張した際、研究に直接関係のない場所も訪問するなどの不適切な補助金使用が
あった、と発表した。教授は旅費計約52万円を全額返還する方針。大学側は給与1日分減給と戒告の
処分
とした。

同大によると、教授は06年3月23日から9日間の日程でベトナムに渡航。企業の生産方式に関する
学会での報告を終えた後、予定になかったカンボジアの世界遺産「アンコールワット」を視察した。
教授が帰国直後に提出した出張報告書には、カンボジアを訪問したことは記載していなかった

また、05年9月18日から9日間のインド視察では、主な目的だった現地の学者との面会をして
いなかった。大学側は「研究目的外の不適切な使用」と認定した。

いずれも今年6月に内部通報があり、大学側が調査していた。教授は「カンボジア訪問は研究の一環の
つもりだった
が、不適切といわれても仕方がない。申し訳ない」と話しているという。】

アンコールワットが経営学とどのような関係にあるのか、ぜひ説明してほしいものだ。


所属する目白大学のHPは次のとおりで、今回の処分についてのリンクがある。
http://www.mejiro.ac.jp/

「科学研究費補助金の不適切使用について」 を読むと、懲戒処分と減給をしたとあるが、
報道にあるような 「給与1日分減給」 とは、どこにも書いていない。

違法行為であれば、「月給10分の1減給=3日分」 が普通なので、今回は軽い処分とも言える。


ちなみに、時事通信と朝日新聞では実名が出ている。

目白大学経営学部の教員紹介と、処分された門田安弘教授が運営する研究所のHPは次のとおり。
http://www.mejiro.ac.jp/univ/professor/frame_keiei.html
http://mondeninst.hp.infoseek.co.jp/


今回は発覚したから処分されたが、全員の行動を精査すれば、もっと科研費を返還することになるだろう。

海外に行けば誰にも見つからないと考えるのか、学会会場で一度も見なかった日本の大学教官がいる。
ポスター発表をする場合でも、貼ったままどこかに消えてしまうこともある。

学会開催地の博物館などを訪問して、新たな知見を得ようというならばかまわないが、
その街を離れて観光地に行ったまま、学会が終わるまで帰ってこない人もいる。

海外での学会参加後に、そのまま休暇を取れないことが、このような不正行為を生んでいるとも言える。
ただ、観光もしたいのならば、私費で学会参加をすればいいわけだし、教授の給料なら出せるはずだ。


この旅費52万円だが、往復航空券の代金としては高すぎるような気もする。
ベトナム・ホーチミンシティに、ANAのスーパーエコ割で行けば、その半額以下で往復可能だ。
ビジネス割引だって、52万円の金額にはならない。

ということは、文部科学省の旅費規程に従って、「ノーマル運賃の往復」 で購入したのだろう。
ただし、ディスカウントチケットを購入した場合は、実際の金額で申告してもよいことになっている。

科研費を節約して消耗品の購入などに充てたいならば、格安航空券を手配するものではないか。

文部科学省に提出した報告書には、航空券の半券を添付する義務はあるのだろうか。
提出義務がなければ、ごまかそうと思えば、割引航空券を購入して、差額を同伴者の旅費に流用できる。

旅費を返還したわけだが、実際の航空券の確認などを文部科学省には求めたい。

そんなことを言っても、科研費が自分の金だと思っている研究者もいるので、意識は変わらないかも。