ドイツ語学習者にとって、ルター聖書は、ドイツ語の歴史を学ぶための教科書とも言えるだろう。
ドイツ語の様々な表現が、ルター聖書から生まれている。

へブル語の旧約聖書とギリシャ語の新約聖書からドイツ語に翻訳する作業は、ルター1人ではなく、メランヒトンなどの専門家を加えたチームで行ったものの、宗教改革者ルターの貢献度は大きいので、ここでもルター聖書と呼ぶことにしよう。

ルター自身による改訂版が1545年に出版されてから、大きな改訂としては、1912年版と1984年版がある。
1984年版では、表現を平易にするためなどの理由で、あまりにも変更してしまったため、批判が相次いだ。

そのためなのか、宗教改革500年記念のプロジェクトとして行われた今回の改訂では、ルターらしさを取り戻した表現にしたという。
また、ヘブル語やギリシャ語の最新の研究成果を反映して、ルターの翻訳とは異なる解釈の部分もあるという。

2015年9月に改訂作業が終わり、当時のドイツメディアで主な改訂内容が報じられた。
特に、マタイによる福音書第8章24節で、「
Sturm(嵐)」が「Beben(振動・地震)」に変わったことが注目された。

私の教会はカルヴァン主義なので、ルター聖書の勉強をすることはほとんどないが、ドイツ語翻訳者としても資料として手元に置きたい。
また、神学生にドイツ語を教えるときにも話題にできるので、今回の改訂版は既に4月に、紀伊国屋書店で予約注文した。

そして10月19日にドイツで発売されたものの、入荷は来月になると思われる。

じっくり待てばよいのだが、ルター聖書のアプリをダウンロードしてスマートフォンで、数か所を読んでみた。

ドイツの聖書協会のサイトでのアプリの紹介は次のとおりで、ダウンロードサイトへのリンクもある。
www.die-bibel.de/ueber-uns/unsere-uebersetzungen/lutherbibel-2017/lutherbibel-2017-als-app/

また、スマートフォンを使わない人は、次のリンク先で、テキスト全文をウェブで読むこともできる。
www.die-bibel.de/bibeln/online-bibeln/lutherbibel-2017/bibeltext/

このアプリは、宗教改革500年記念日の2017年10月31日まで無料である。
神学生にも紹介してみよう。