自民党公報がツイッターで、ダーウィンの進化論を誤用した言い回しを使って、憲法改正の必要性を訴えているそうだ。
そして多くの人々が、その無知を批判する投稿をしている。

朝日新聞の取材によると、「憲法改正について、国民の皆様にわかりやすくご理解していただくために、表現させていただきました」とのことだ。
www.asahi.com/articles/ASN6Q6674N6QULBJ00V.html

しかし、生物の進化や多様性を考えるための学説が、どうして憲法改正に関係するのか、その説明はないようだ。

自民党としては小泉郵政改革の頃から、知的レベルが低いと分類された層、いわゆるB層をターゲットにして世論誘導をしているようなので、詳しい説明などせずに有名な科学者の名前で権威付けして、なんとなくそんな感じだという雰囲気づくりをしているだけだろう。

私が好きな岩波書店は、そのような勘違いをしてしまう人向けに、進化論についてわかりやすく解説した絵本を紹介している。
以下に示したツイッターを参照してほしい。



勝手な推測で申し訳ないが、安倍晋三首相は嘘ばかり言うし、憲法の勉強もしていないし歴史も知らないし、読めない漢字も多いようなので、自分で専門書を読んで進化論を勉強したことはないだろう。

いきなり難しい進化論の専門書を読んでも理解できそうにないので、岩波書店が親切に推薦してくれた、小学3年生からおとなまで楽しめる絵本、
ダーウィンの「種の起源」を誰かプレゼントしてはどうだろうか。
www.iwanami.co.jp/book/b442802.html

原著を読まなくても、優良な解説書が入手できるのは幸せなことだ。
それに、海外で出版された外国語の書籍であっても、翻訳によって日本語で読めるのも幸せなことだ。

翻訳者のおかげで日本語で様々な知識を得られることを、日本人はもっと感謝してもよいのではないか。
「日本はすごい」と言いたいなら、誰かが主張する「民度」ではなく、世界中の知識に日本語でアクセス可能にしていることを挙げてほしい。

通常国会も終わって日曜日は自宅にいるようだから、安倍首相はゴルフに行かなければ、本を読む時間がたくさんあるだろう。

念のために明記しておくと、この本はおとなも楽しめる絵本であり、決して安倍首相が小学3年生レベルだと言いたいわけではない。

追記(6月23日):
自民党の二階幹事長が記者会見で、進化論の誤用に対する批判をけむに巻いたそうだ。
東京新聞の記事は次のリンクから。
www.tokyo-np.co.jp/article/37391

【自民党の二階俊博幹事長は二十三日の記者会見で学識のあるところを披瀝したのではないか。ダーウィンも喜んでいるでしょうと語り、批判をけむに巻いた。】

自説を無関係なことに悪用されて、喜ぶ科学者などいない。
正しい情報を伝えようとした人たちを、「学識のあるところを披瀝した」かった程度の者だとからかっている。

自民党幹部は揃って反知性主義のようだ。
エリート嫌いというのか、アカデミックで知的な話をする人は嫌いなのだろう。

義理と人情の二階幹事長は読まないかもしれないが、理解しやすい絵本を贈って、基礎から学んでもらう方がよいだろう。

追記2(6月24日):
自民党がこの誤用ツイッターを削除できないのは、小泉内閣時代の国会所信表明演説に出てくるからではないのか。
2001年9月27日の第153回国会における所信表明演説の内容は次のリンクから。
www.kantei.go.jp/jp//koizumispeech/2001/0927syosin.html

(むすび)のところに以下のように出てくる。

【いよいよ、改革は本番を迎えます。我が国は、黒船の到来から近代国家へ、戦後の荒廃から復興へと、見事に危機をチャンスに変えました。これは、変化を恐れず、果敢に国づくりに取り組んだ国民の努力の賜物であります。私は、変化を受け入れ、新しい時代に挑戦する勇気こそ、日本の発展の原動力であると確信しています。進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」という考えを示したと言われています。
 私たちは、今、戦後長く続いた経済発展の中では経験したことのないデフレなど、新しい形の経済現象に直面しています。日本経済の再生は、世界に対する我が国の責務でもあります。現在の厳しい状況を、新たなる成長のチャンスと捉え、「改革なくして成長なし」の精神で、新しい未来を切り開いていこうではありませんか。】