私は有機合成化学分野の研究職を探している元ポスドクで、
博士号取得後に奨学金を得てドイツに2年間留学した(納税者の方に感謝)。


帰国の4ヶ月前に、助手採用の話は最終段階で逆転・白紙撤回されたため
(「白い巨塔」の助手人事版) なんとか見つけた私立大学のポスドクとなった。

教授との対立で最後の3ヶ月は出勤せず、
宅配便などのアルバイトで食いつないだ後、
国立大学ポスドクを経て、民間派遣会社に登録した。

「有機合成支援」という業務名の研究補助を5年間行い、
4ヶ所での勤務を経験した(時給2,000 - 2,300円)。

自分の性格に向く仕事は、特許・文献の再現やスケールアップなどでの合成法改良と考え、
受託合成事業のある化学メーカー(A社)に応募した。

転職のために登録した人材紹介会社(B社)から、A社の部長を紹介された。
A社の悪口ばかり言うことが気になったが、業務内容は希望していたものであり、
しかも中途採用枠を増やすようにA社役員を説得すると約束してくれたため、
A社で働くことを希望した。

転職前には仕事の方針について十分な説明がなく、勤務開始後に知った無茶な業務量、
暴言、人権侵害、安全文化の軽視などで、不安に起因する不眠となった。

心療内科を受診したため「うつ病」と決め付けられたことからも、他部署への異動を願い出た。


異動後の仕事は順調であったと感じていたが、A社役員会では何だかんだと理由をつけて、
私を本採用しないことを既に決定していた。

この退職勧奨は、人材のミスマッチが原因というよりは、
就業規則違反をした部長の処分を実施するための政治的取引だと感じている。
私が在籍していると、部長への審問がやりにくいとのことだった。

実は部長は、B社の取締役であることを隠してA社に転職していたことが発覚した。
加えて、1年間で同一部署から私を含めて3人が退職している事実を利用すれば、
気に入らない部長を処分できるというのが役員たちの本音だと思う。



この退職が、今後の再就職でマイナスにならないことを祈るのみである。
ポスドク4年、派遣社員5年、正社員3ヶ月という一般的ではない経歴は、
やはり警戒されるのだろうか。


これから、転職活動などに伴う労働問題に加えて、
ドイツ語フリー翻訳家としての仕事や書評など、
日々思いついたことを記していきたいと思う。

(最終チェック・修正日 2005年11月26日)