2006年12月

今読んでいる、今月発売の岩波ブックレットは、森岡孝二・川人博・鴨田哲郎 共著、
「これ以上、働けますか?  労働時間規制撤廃を考える」 だ。

最近話題の、「ホワイトカラー・エグゼンプション」 を批判した本である。

これは偏見かもしれないが、岩波書店が発刊する図書だから、当然、労働者側の視点である。
戦前世代の母は以前、「岩波の本ばかり読んでいると、アカと呼ばれるから困る」 と私に言った。


内容は次のとおり。

はじめに - 労働時間規制が撤廃されると?
第一章 労働時間の過酷な実態を分析すると
第二章 日本版エグゼンプションが導入されたら



厚生労働省は、制度導入の法案を提出すると決めたので、もう手遅れなのか。

教育基本法改正や小学校英語必修化と同様に、審議会という 「やらせ・御用機関」 を利用している。
労働組合などの反対意見にも配慮したと言っているが、導入することに変わりはない。

厚生労働省は、少子化対策のためにも導入すると言っているが、こじつけとしか思えない。
今のフレックスタイムや、有給休暇の完全取得、1日8時間労働制の厳守で可能ではないか?

厚生労働省が、「アメリカ化」を望む財界寄りであることは否定できない。

労働基準法違反だとか、サービス残業の摘発だとか、過労死で労災認定だとか、
経営側にとって邪魔な規則は、全部なくしてしまえというのが本音だろう。

一体どのような日本にしたくて、こんなことを実施するのか、どうしても理解できない。


まず、「八時間労働制は、人権」 という原則を確認したい。

これは日本の労働基準法にも規定されていて、「最大労働時間」 だが、
いわゆる三六協定などで、本来は違法である時間外労働が可能になっている。


日本が、八時間労働制を含むILO条約の一部を批准していないことは、あまり知られていない。
戦後の復興を優先するために、国際人権規約の一部も批准していないくらいだから当然か。
こんな事実を学校で教えたら、「アカ教員・共産党員」 と攻撃されるだろう。


残業代さえ払えば残業時間は無制限でも合法だと言ったり、定時帰宅を罪悪視する職場は多く、
私のように個人の生活を守ろうとすると、重要な仕事から外される可能性もある。

また、本書では触れられていないが、1日8時間労働を始めた意外な人物がいる。
それはレンズなどの光学系研究者であるドイツ人のアッベである。

工場の職人に、1日8時間労働制と週休二日制を導入して、体調管理に配慮し、
常にベスト・コンディションで、レンズの研磨作業ができるようにしていた。

それは工場労働者(ブルーカラー)の話ではないか、と反論されそうだが、
管理職などホワイトカラーが、頭だけ使う、体力的に楽な仕事だとは思えない。

ホワイトカラー・エグゼンプションを、「自由な働き方の選択」 と宣伝しているが、
現時点で、自由な働き方を選択できるような労働者は、実在するのだろうか。

1日8時間では絶対に終わらない仕事量を課しておきながら、
残業するのは労働者の能力が低いからだ、と非難する頭の悪い経営陣。



「アメリカでは労働時間が長くなってきている。もっと残業しろ。」 と言った管理職もいたが、
アメリカのホワイトカラーが、解雇に対する恐怖から追い詰められていることを無視している。

それに労働時間の調査だが、統計発表は実は恣意的なものなので注意しなければならない。

年間労働時間が横ばい、あるいは微減のように報告されているが、
これはパートや派遣など、不安定な非正規雇用が増加した影響である。

雇用形態別や業種別、年齢層での違いなどは、報告書を読めば判明するのだが、
そこまで読む暇はないので、単純平均値を使って国民をだますことに利用される。


ただし、この制度の適用が望まれる人が、いないわけではないが、
その少数の対象者のために、全体が不利益を受けるのは避けたいものだ。

研究所には、土日でも正月でも夜中まで実験してしまう、不思議な社員が1人はいる。

ある会社では、その人を管理職にして残業代を払わなくても済むようにした。
本来は違法であるから、エグゼンプション制度によって合法化したいだろう。

実験が趣味の人もいるし、また、家族が相手にしてくれないので、夜中まで仕事をする人もいる。
有給休暇一斉取得日に申請書まで書いて出勤するのは、家族と一緒にいても苦痛だからのようだ。

他にも、あまり有名でない大学の出身でコンプレックスからなのか、
長時間労働で会社に貢献していることをアピールする社員もいる。

一体何と闘っているのだろうか。
そんな不健康な生活をしていて、もし病気にでもなれば、会社も保険組合も困るのに。


今の勤務先は、残業しなくても黒字なのだが、
今後この労働環境が、後戻りしないように期待したい。

(最終チェック・修正日 2006年12月28日)

今日の夕方納期のドイツ語翻訳は、問い合わせがないので問題はなかったのだろう。
翻訳料金の請求書は明日提出するが、今年の料金を振り返ってみたい。

月ごとの受注状況と、それぞれの翻訳料金(税込み)を列挙した。
手取額は、10%の源泉徴収後の金額となる。

1月品質保証検査関係○○32,400
2月教育制度関係○○○○39,435
○○○○学校制度関係○○○a54,900
○○○○EUの規則関係○○○83,430
3月地域経済関係○○○○18,390
○○○○教育制度関係○○○a21,240
12月IT関係契約書○○○○a42,360

小計○○○○○○○○○○○292,155

その他:データベース用入力○○87,464

○○○○○○○○○○○○379,619


本業の月収1ヶ月分を超えるという、最低限の目標は達成された。
年収の10%程度を翻訳で稼いでいるのだが、できれば20%まで増やしたい。

最初3ヶ月は順調な受注であり、特に2月は17万円を越える金額だ。
しかし、新年度になって顧客が減ったのか、私に依頼される翻訳もなくなってしまった。

やはり、土日しか翻訳できないため、納期に余裕があるものしか回ってこないのだろう。

毎回書いていることだが、バイオ・化学系で登録しているのに、
今年も教育や経済関係、IT関係の契約書など、専門外ばかりの翻訳だった。

それでも、構文が複雑な文書を読むことで、文法の解釈力も付くし、
単語の用例をネット検索などで調べることにも慣れるから、得をしたと考えたい。


年末年始は英語特許の翻訳2件をする。
2007年を、副収入増加で始められるのはうれしいことだ。

仮訳段階であったドイツ語契約書について、本日推敲して納品した。

今日は残業せず、買い物もせずに、すぐに帰宅したのだが、
19時近くになっていて、夕食を作る暇もなかったので、宅配ピザを頼んだ。

空腹を満たして血糖値が上がった後で、ネット検索と推敲を始めると、
なぜか昨日までの疑問点が、次々に解決した。

法律用語のサイトを見つけたからでもあるが、いくつかの単語や解釈について、
どうして昨日まで、こんな単純なことに気付かなかったのかと思うものばかり。

まあ昨日は、ファイルが壊れて消えた部分の訳を書き直していたので、
疲れたために、適切な訳を考える余裕がなかったのかもしれない。

これで来月末に税引き後の翻訳料金、約3万8千円が振り込まれる。
この金額は、本業での税込み月収の10%強に相当する。


来年からは確定拠出年金個人型と財形年金貯蓄で、月2万8千円必要なので、
できれば毎月、最低でも3-5万円程度の副収入はほしいものだ。

後で今年の翻訳料金を一覧表にしておこう。


追記:
依頼主から翻訳内容について質問があった。
具体的な話はできないが、ドイツと日本での生活体験の違いで生じる質問としておこう。

今思えば、ドイツに住んでいれば当然と感じることでも、
日本では 「これは○○のことなのか、それとも△△のことなのか」 と感じるのだ。

ここは訳注に入れなかったが、こうした質問があると、次は注意しようと意識できる。

(最終チェック・修正日 2006年12月27日)

昨日の夜に、ワードのファイルが壊れて慌てたが、なんとか午後5時に翻訳(仮訳)が終わった。

これで食料品の買い物に行けるし、睡眠も取れるので本業に影響しない。

ただ、まだ完成ではなく、単語の意味に不安があるものは調査を続け、そして推敲をする。

26日納品と時間があるので、お金をもらっても恥ずかしくない翻訳にはなるだろう。


今回はIT関連の契約書だったため、IT用語と法律用語の両方で苦労した。

まあIT用語は、英語のままや略語が多く、英和辞典で見つかったから楽か。

私は化学者なので、決して法律用語を厳密に定義して使い分けているわけではない。
訳語や文体の統一はできるのだが、自信がない部分が残ってしまう。

それに契約書では、特許よりも複雑な構文が続き、関係節で名詞を修飾するだけではなく、
関係節中の他動詞の目的語が zu不定句で続いていたり、構文解釈は面倒だ。

「および ・ ならびに ・ または ・ あるいは ・ かつ/または」 などの使い分けも必要だし。

これから夕食をとって、シャワーでも浴びてから、推敲しよう。



以下、翻訳から脱線。

それにしても懐かしいのは、ドイツ人の労働時間の規定である。

月曜から木曜日は8時から16時まで、金曜日は8時から14時半まで。

平日は商店が18時に閉まるので、16時に業務をやめないと困ってしまう。
(木曜日は20時まで開ける店もあるが)

それに金曜日は、昼食後はもう週末のことで頭がいっぱいで、仕事にならない。

日本は土日に夜まで買い物ができるので楽だが、それが平日の長時間労働を生んでいるのかも。
日曜日に営業するかどうかで、失業率はどのくらい変わるものなのか、調査してみようか。

ドイツ語翻訳があと残り1ページというところで、突然エラー発生となった。

あまり覚えていないが、「重大な...○○を保存できません」 と、
テンポラリファイルの自動保存ができないとのこと。

そして、表が壊れて何も読めなくなった。

「表の解除」 をするようにメッセージが出るのだが、
文書には 「………」 が表示されるだけで、表の選択すらできない。


月曜日にならないと、電話で問い合わせができないので、本当に困った。

納期は26日だから、これから書き直せば間に合うだろうが、
一番面倒な契約条件の部分で、今日1日の翻訳作業が失われた。

まあ、一度訳した部分は、構文解析も済んでいるので、なんとかなるかもしれない。
ただ、時間と労力がもったいない。

翻訳は3つの文書に分けて行っていたので、修復できないのは2ページ分で済んだ。

途中で印刷しておけば、もしファイルが壊れても、タイプしなおしで済んだが、
寝る直前に印刷しようとしていたのが、不運の元だったのか。

とにかく今日は寝て、明日またすっきりした頭で再度翻訳しよう。


追記:
午前中になんとか、昨日まで翻訳していなかった部分を訳した。
後は昨日翻訳した個所を、思い出しながら再度翻訳する。
納品は間に合いそうだ。

(最終チェック・修正日 2006年12月24日)

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