2007年08月

今日は仕事の引継ぎもあって忙しく、残業もしたので、メールチェックが遅くなった。

帰宅前に携帯を見ると、翻訳会社2社からメールと電話で、ドイツ語和訳の依頼があった。

一つはクライアントが関係するニュース記事の和訳、もう一つは36年も前の医薬関係特許である。

ニュース記事は200ワード程度の短いもので、週明け月曜日が納期だ。
1ワード15円と標準的な単価で、3000円強の料金となる。
もう一つの翻訳もあるので、明日の午前中に終わらせたいものだ。

でも疑問なのは、クライアントは世界的に有名な企業なので、ドイツ支店もあるはずだし、
もしそうであれば、ドイツ語が理解できる日本人社員がいてもよさそうなものだ。

たった3000円でも、収入は増えるし、勉強にもなるので、そんなことは気にせずに翻訳しよう。


医薬関連特許は5ページと短いので、3週間後の納期には確実に間に合うはずだ。
内容もそんなに難しくはないので、大丈夫だと返事をしておいた。

ただ、この翻訳会社はいつも、単価が低く設定されているようで、1ワード12円だ。

私は本業の収入があるが、翻訳専業の人にとっては、1ワード3円の差は大きい。
5ページの特許だと、4千円は違うのではないだろうか。


以前は、もっと厳しい納期で同時受注したこともあるが、納期がずれているので対応可能だ。
それでも楽観しないで、集中して取り組もう。

8月26日からドイツ・ミュンヘンで、ボートのワールドカップが開催されている。

ロシアの3選手がドーピング検査で陽性で、2年間の出場停止処分になったというニュースがあった。


ところで、このワールドカップは、来年の北京オリンピックの出場権を賭けた大事な大会である。

日本からも各種目に参加しており、例えば実業団チームのブログは次のとおり。
http://www.irisohyama.co.jp/company/socialactivity/boat/blog.asp

スポーツ新聞のサイトでは、試合結果のみが簡単に報道されている。
オリンピック出場権を取らない限り、テレビニュースで取り上げられることはないだろう。

日本での関心事は、ボートよりも朝青龍だし、世界陸上での新記録誕生だ。

タイムを競うことは同じなのに、メダルが期待されて視聴率のよい、陸上や水泳ばかり放映される。


日本でのボート競技の歴史は古く、特に大学を中心にして発展してきた。
イギリスのエリート教育を導入したためで、ボートとラグビーが大学スポーツ(対抗戦)の華である。

私の出身大学でもオリンピックに出場したことはあるし、アジア大会でメダルを取ったこともある。

ただし他の競技と同様に、大学卒業後に選手として受け入れる企業は少ない。
体育大学では大学院に進学して続けることもできるが、強化選手でもないと難しいだろう。

こういうときにNHKが、マイナー競技も公平に放送すべきだと思う。


追記:
体操の日本男子チームの直前合宿について報道された。
やはりメダルが期待される競技は、まだ練習なのに扱いが違う。

(最終チェック・修正日 2007年08月30日)

ヨーロッパには、面積だけでなく、人口も少ないという小国が多数存在する。

ソビエト連邦から独立したエストニアもバルト海の小国であり、人口は135万人(2005年)だ。

在日エストニア共和国大使館のHPは次のとおり。
http://www.estemb.or.jp/

民族構成も紹介されているが、なんと国民の約3分の1がロシア系だ。

ロシアと国境を接していることもあるが、ソ連時代から住んでいるのだから、多くても不思議ではない。
まあ、見方によっては、ファシズムからの解放ではなく、ソビエト軍による占領だったわけだが。

エストニア人がショックだったのは、ソビエト兵士の銅像を撤去したときの騒ぎで、
「ロシア、ロシア」 と叫んで抗議する十代の若者たちを、テレビで見たことだという。

ロシアは大国だが、エストニア国内のロシア人は、少数民族として人権が尊重されるという矛盾もある。



そんな状況下、S??ddeutsche Zeitung 8月27日号の16面に、エストニアの教育に関する記事があった。

9月の新学期から徐々に、これまでロシア語で行ってきた授業を、エストニア語に切り替えるとのことだ。

今回は10年生のクラスで、文学、地理、音楽、歴史について、エストニア語での授業を始めるそうだ。
そして2011年からは、学校教育終盤の3年間は、60%の授業をエストニア語で行う予定。

ただしこの教育制度改革は、ロシア語を学校から追放するのではなく、
教育と労働に対して、若者によりよく準備させるのが重要だという。

エストニア語で授業をすると言っても、ロシア人ばかりの地域もあるので困難だ。

例えばロシアとの国境そばの Narva(ナルヴァ)では、人口7万人のうちエストニア人は3%のみ。
首都タリンよりも、サンクトペテルブルクの方が近く、住民はロシアのテレビを視聴している。

また、エストニア東部の大学では、ロシア語で講義が行われているから、ロシアの一部のようなものだ。


エストニア語普及のためか、ロシア語が母語の教師が、エストニア語で授業をすれば、昇給するという。

そして、ロシア語を母語とする生徒には、エストニア語の教材が無償配布される。
この教材には付録としてCDがあるので、周りにエストニア人がいなくても、容易に学習できるという。


2004年にはラトビアで同様の教育制度改革が行われたが、
このときは教師が抗議のために、ハンガーストライキをしたそうだ。

エストニアでも同様の状況になるのかどうか、改革の今後が注目されている。


ところで、学校教育を外国語であるロシア語で受けるというのは、屈辱的な感情を産むのではないか。

確かに、高等教育を受けたり、就職するには、ロシア語が有利になる一面もあっただろう。
しかしそれでは、自国の文学や芸術も育たない危険性がある。

日本人の中には、「子どものときから英語のみで教育してほしい」 と願う親がいるそうだ。

まあ0.1%くらいは、そんな日本語を捨てた日本人がいても、私は気にしないので勝手にやってくれ。

ただし日本国内で、日本語だけで高等教育が受けられ、就職もできるのが幸せなことだと、理解して上で。

調査捕鯨について検索していたら、7月3日に「第三勇新丸」という海洋調査船が進水式をしたとあった。

「せとうちタイムズ」 という週刊新聞の、7月7日号掲載の記事である。
http://0845.boo.jp/times/2007/07/07001533.php

[内海造船(株)瀬戸田工場で建造中の調査船「第三勇新丸」が3日、進水した。
10月上旬完工後は、南氷洋、北氷洋などで漁業、海洋生物の調査に従事する。

全長=69.61メートル、幅=10.8メートル、深さ=5.3メートル、総トン数=750トン
乗組員=25人、速力=17ノット]


西日本新聞の8月15日朝刊では、来年4月に開催される 「くじらフェスティバル」 が紹介された。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/kagoshima/20070815/20070815_002.shtml

[計画では、11月から南極海でクジラ資源を調べる調査捕鯨船団が来年4月、鹿児島市に寄港。
鹿児島港北ふ頭で調査母船「日新丸」と調査兼取締船「第三勇新丸」を一般公開する。
第三勇新丸は現在建造中で、公開は初めて。]

「海洋調査船」 や 「調査兼取締船」 という表現では、水産資源調査を実施する船のように思えるが、
「南極海でクジラ資源を調べる調査捕鯨船団」 とあるから、実際には捕鯨船だ。


ここで私が疑問に思うのは、第三勇新丸の建造開始時期である。

新聞報道にあるように第三勇新丸は、南極海などでの調査捕鯨(鯨類捕獲調査)で使われる。
つまり、調査捕鯨の実施が決まっていないと、建造の発注はできないはずだ。

トラックバックしたように、調査捕鯨は、去年までは日本鯨類研究所に随意契約で発注されていた。
しかし今年度秋からの南極海調査捕鯨では、公募によって委託先を決定することになった。

(追記・訂正: 公募になったのは 「鯨資源調査等対策委託費」 という生態調査やDNA分析であり、
「鯨類捕獲調査(調査捕鯨)」 ではなかった。

「鯨類捕獲調査」 は、平成17年から21年まで、随意契約で5年間継続する予定。

ただし「鯨資源調査等対策委託費」 は、「鯨類捕獲調査」と一体化して実施されており、
今年も日本鯨類研究所が採用されているから、八百長公募には変わりない。)



公募とは言っても、過去記事で指摘したように、「八百長公募」 の疑いが高い。

応募するための条件が厳しいので、日本鯨類研究所と共同船舶以外が、公募に勝つわけがない。

審査結果については、まだ資料を見つけていないのでわからないが、
捕獲調査提案書が採択される前に、第三勇新丸の建造発注があってはならないだろう。

これについては、後で水産庁に質問メールを送ってみよう。

ただ、第三勇新丸のことを捕鯨船ではなく、海洋調査船という名称で発注し、
公募に受かった後で、捕鯨船に改装したと言えば、追及から逃れることもできそうだ。

とにかく、日本が民主国家だと言うのなら、情報公開をし、「八百長公募」 は根絶してほしいものだ。

(最終チェック・修正日 2007年09月07日)

アイスランドが商業捕鯨を中断するというニュースを読んだ後、
アイスランド政府のHPを、在日アイスランド大使館から探してみた。

それは記事中にある大臣の名前が、英語のロイター記事中では "Guofinnsson" だったが、
あるドイツ紙では "Gudfinnsson" と異なった表記だったので、確かめたくなったから。

ちなみに、"Gudfinnsson" で検索すると、アイスランドに関する記事がたくさんヒットする。
それに国際会議参加者名簿でも、大臣は "Gudfinnsson" だ。

"Guofinnsson" で検索しても、ロイター記事の引用ばかりなので、つまりロイターのタイプミスだろう。


アイスランド政府の公式HP(英語版)は次のとおり。
http://government.is/

ここから水産省のHPに行き、そして大臣の経歴を見ると大臣の名は、
"Einar Kristinn Gu??finnsson" で、独特な文字の ?? が使われている。

Wikipedia での解説は次のとおり。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%C3%90

通常のラテン文字で置き換えると、似た発音に聞こえそうな "d" の方がふさわしいと思える。
これを "o" で置き換えてしまうと、発音が全く異なって、違う人名になるだろう。


また、大臣の経歴を見ていると、"Einar Kristinn" とだけ書いている部分がある。

それに、両親の名前もあったが、どうも家族姓がないように思えた。
父親が "Gu??finnur Einarsson" で、母親が "Mar??a K. Haraldsd??ttir" である。

アイスランドの人名について調べてみると、元々家族姓はないとのことである。
そして父親の名前の後に、息子なら "son" を、娘なら "d??ttir" を付けるそうだ。

つまり大臣は、「Einar Kristinn、Gu??finnur の息子」 というわけだ。
まるでクリンゴン人の名乗り方のようだ。

アイスランドは地理的に隔離されているから、古代の命名法が残ったのかもしれない。

日本のメディアも、名前の一番後ろを姓だとして、「○○首相」 と紹介したそうだから、
失礼に当たらないように、事前に大使館や外務省に問い合わせをすべきだろう。


ところで今回も、ドイツ語と英語の報道で、人名のつづりが違ったので気が付いた。
英語だけ知っていればいいと主張する人は、ロイター配信記事しか読めないので、損をするだろう。

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