2008年01月

昨日の夜11時頃に、短いドイツ語和訳を納品した。
クライアントにはそのまま納品したそうで、何も問題はなかったようだ。

この翻訳会社はドイツ語のみで登録しているが、平均すると2ヶ月に1件の頻度と少なめだ。

ドイツ語特許や論文の和訳だと、1件当たり3万円から9万円くらいになるが、
A4で1ページくらいの翻訳も多く、5千円から1万円くらいのこともある。

本業に影響しない範囲での翻訳であったが、収入を増やしたいという欲求はやはり強くなる。

この翻訳会社ではドイツ語専業で登録したのだが、英語でも登録すれば仕事が増えると期待している。
そこで今日は帰宅後に、英語特許和訳の案件はドイツ語より多いかどうか、問い合わせしようと思った。


すると帰宅時に、英語特許和訳を受注しているいつもの翻訳会社から、新規案件の打診があった。

ここは単価が安いので、毎月2件は処理しないと、希望する収入レベルに達しないことが難点だが、
それでも納品すると1週間以内に次の案件が来るので、クレジットカードの支払いでも助かっている。

原稿を確認すると、「制汗剤・デオドラント剤」 の組成に関する特許だった。
様々なエステル類やアルコール類を混合しているから、化学者の私が担当するのだろう。

今日は翻訳作業はせず、明日から早めに帰宅して作業を始め、2月の連休には終わるようにしたい。

昨日は英語特許和訳を翻訳会社Aに納品し、夜にはトライアル課題を別の翻訳会社Bに提出した。

すると今日の帰宅途中、携帯電話に翻訳会社Cから連絡が入った。
乗り換え駅のホームで改めて電話すると、500ワード弱のドイツ語和訳を依頼したいという。

納期は明日の13時だが、ワード数から今夜のうちに作業は終わると判断した。
翻訳料金は7千円程度で少ないように思われるが、わずかでも収入が増えるのは良いことだ。

帰宅してメールに添付された原稿を確認した。

今回の案件は、医学専門誌のドイツ語抄録である。
検索したところ、この専門誌の出版社のサイトでは、英語の抄録も併記してあった。

抄録が英語でも読めるのに、どうしてドイツ語の部分の和訳を依頼してきたのだろうか。
クライアントは国立大学医学部付属病院だが、今の医師はドイツ語がわからないということか。

医学部に入るくらいの頭ならば、独学でもドイツ語論文を読めるようになると思うのだが。

まあ翻訳者は、クライアントのことは知らなくてもかまわないので、和訳に集中するのみ。


英語の抄録も比較しながら和訳していくと、ドイツ語とは相違点があることに気づいた。

語順だとか、関係節の使い方などの文章構成ではなく、単語の意味が微妙に異なっていたり、
ドイツ語にはない表現が英語では追加されていたり、またその逆もあった。

もしかするとクライアントは、英語とドイツ語では内容が違うことに気づいたが、
ドイツ語に自信がなく、その内容を確実に確認したいため、和訳を依頼したのかもしれない。

今は英語が主流になってきており、このまま行けばドイツ語を知らない人が増えるので、
私のように、英語・ドイツ語知識を持つ、自然科学専門家は有利になるかもしれない。


追記(1月29日):
担当者から午前中に届いたメールによると、納品した和訳は、特に問題はなく、
そのままクライアントに提出されたそうだ。

(最終チェック・修正日 2008年01月29日)

今年になって最初の翻訳は英語特許和訳で、内容は寄生虫駆除剤の合成と活性試験に関するものだ。

当初は楽だろうと思っていたが、見慣れない寄生虫や獣医学の専門用語だけではなく、
病名の誤記・誤植や接続詞の欠落などのために、今回も調査に時間がかかってしまった。

過去記事では、包虫症(hydatid disease)が "hydrated disease" と誤記されたことを書いた。
ワープロソフトのスペルチェック機能で変換され、誤記のまま残った可能性がある。

医学専門書でも "hydrated disease" という記述が見つかった。
どんな本でも誤植・誤記はあるはずなので、常に注意を怠らないようにしたいものだ。

この誤記については、「原文ママの直訳とし、コメントをつける」 というルールになっている。
そこで "hydrated disease" には、「水和症」 という架空の病名をつけた。


他の誤記としては、実験に用いた寄生虫の説明で "gut welling" という語句で困った。
これも明らかに誤記だが、ルールに従って直訳で 「腸管湧出」 という架空の語句にした。

調べてみると、正しくは "gut dwelling" であろうと思われる。


私の和訳は納品後、外国特許公報のデータベースに登録される。
間違いを原文ママとすることはクライアントからの指示であり、翻訳者の私は従うだけだ。
それに、原文の内容を忠実に和訳した場合に、資料としての価値があるということだろう。

データベースということで、明らかな間違いを掲載してはいけないのではと、普通は思うだろう。

しかし、原文にどのような誤りがあるのかという情報も、係争時には必要となるはずだ。
申請者が間違いに気づき、訂正や変更を申し出ることもあり、その申告との関連からも原文ママがよい。


納期前納品をして余裕もできたし、それに翻訳料金の収入も増やしたいので、
翻訳者募集の掲示板で見つけた2社について、私の履歴を送った。

2社ともトライアルがあるが、そのうち分量が少ない会社で検討することにした。
内容は、医薬品の試験成績データに関する和訳と思われる。

1件のデータは100ワードくらいだが、今の特許和訳よりも単価が少し高いので、
ワード数を稼げば、月当たり3-5万円の収入にはなりそうだ。

最近はドイツ語翻訳の依頼が少ないので、英語で頑張ってみようと思う。


追記(1月29日):
トライアルは不合格であった。
訳例と比較すると、文章の流れというものが、私では科学者的ぎこちなさがあるようだ。
ただ、その訳例では、化合物名を間違っていたので、私は専門用語チェッカーの方がよいかもしれない。

平日に翻訳作業ができないために不合格だったと、都合よく思うようにしようかな。


追記2(1月31日):
本日、そのトライアルに応募した翻訳会社から、お詫びメールが届いた。
私のトライアル結果は、実は 「合格」 だったが、「不合格」 の方に混ぜてしまったとのこと。

確かにビジネス上は失礼なことだが、これでお金がもらえるようになるから、何も気にしない。

専門知識の点は評価されているので、後は読みやすい和訳になるように気をつけよう。

ただ、このトライアルが不合格だと思って、いつもの英語特許和訳を受注したので、
もし新規に受注するとしても、土日にA4で4ページ程度しか作業できないだろう。

また、平日に新規案件を処理し、土日に特許和訳を集中的に作業することもできるが、
今月は試しに短い案件を受けて、スケジュール調整に慣れるようにしよう。

まあ本業でも、いろいろな化合物の合成を同時進行で取り組むので、スケジュール調整は慣れているが。

実際に受注したら記事にしよう。

(最終チェック・修正日 2008年01月31日)

10年ぶりに改訂された 「広辞苑第六版」 が、書店で山積みとなっている。

私はDVD-ROM版を買い、翻訳作業中などに検索できるようにしている。
第五版でも冊子ではなく、CD-ROM版を買った。

この第六版の新規収録語が発表されたとき、俗語も採用されたためか批判があった。
権威ある国語辞典が、汚い言葉や、一過性の流行語を採用することへの苦言もあった。

「広辞苑は、日本語の規範となるべき辞書」 と考えている人もいるわけだが、
その言葉を使用する状況が存在するならば、使用頻度に応じて収録することも編集者の義務だろう。


その最新版だが、初版から間違ったままの記述があったと指摘されている。

地元の神戸新聞の報道は次のとおり。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0000806890.shtml

「広辞苑」誤記見落とし半世紀 芦屋の解説、実は須磨

十年ぶりの改訂で今月、第六版が発売された岩波書店の国語辞典「広辞苑(こうじえん)」に、
「芦屋」を平安時代の歌人在原行平(ありわらのゆきひら)と愛人二人の伝説の舞台-とする
誤った記述があることが分かった。

伝説に基づく謡曲「松風」は須磨(神戸市須磨区)が舞台。
行平を、芦屋に別宅があったとされ地名にもなっている弟業平(なりひら)と取り違えたらしい。

誤記は一九五五年発行の初版から半世紀以上続いていたが、担当者らも全く気づかなかったという。
広辞苑編集部は「増刷する際、修正する」としている。

広辞苑第六版では、「あしや」(芦屋・蘆屋)を「兵庫県南東部の市、阪神間の高級住宅地」などと記載。
その上で、万葉集の菟原処女(うないおとめ)とともに、「在原行平と松風・村雨の伝説などの舞台」としている。

(中略)

同市立美術博物館の明尾圭造学芸課長は「国文学の世界では、芦屋を現在の市域よりも
広くとらえることもできるが、広辞苑では芦屋市を説明する記述になっており、不適切」と指摘する。

広辞苑編集部は「芦屋を行平のゆかりの地としたのは明らかな間違い。初版からの記述で執筆者は不明だが、
改訂の際にもチェックから漏れていた。申し訳ない」とコメントしている。]


岩波書店のサイトでは、1月22日の時点で何も発表されていない。
http://www.iwanami.co.jp/index.html


増刷時に修正するとあるが、現在書店に並んでいる第一刷を買った場合、正誤表をもらえるのだろうか。
読者カードを返送すれば、訂正などの連絡が来ると思われるが、どこまでサービスしてくれるのか。

私はDVD-ROM版を買ってしまったが、この場合の正誤表はどうなるのだろうか。
オンラインでアップデートするようなサービスはないものだろうか。


ところで、辞書の編集には細心の注意を払っていても、間違いはどうしても起きてしまうものだ。
20年位前に読んだ英語辞書に関する新書でも、権威ある辞書の間違いについて列挙してあった。

私も英和辞典や独和辞典の記載に疑問があり、出版社に問い合わせたことがある。

でくわす確率は低いだろうが、辞書も含めて、情報の真偽についてはよく考えることにしよう。


追記(2月24日):
この「あしや」の項目の訂正とお詫びについては、各書店で配布している。

DVD-ROM版では、オンライン辞書ライセンスの発行でもすれば、
常時アップデートできるはずだから、今後検討してほしいものだ。

(最終チェック・修正日 2008年02月24日)

製紙会社の内部告発から、年賀はがきなどの古紙含有率偽装が発覚した。

郵便物の場合、機械で郵便番号や住所を読み取り、蛍光色素を利用したバーコードを付けることがある。
それは特殊なインクだから、一定の品質が必要になるだろう。

20年くらい前に郵便局でアルバイトをしたとき、ズタズタに引き裂かれたはがきを見たことがある。
はがきがリサイクル紙ではなかった当時でも、機械を通すときに、ある確率でトラブルは発生していた。

発注側としては、古紙を混ぜても同一の品質を求めるのは当然だが、
技術的に無理であれば、その時点での現実的な含有率で交渉すべきだった。

他社と比較されて、技術水準が見劣りすることをおそれたと思われるが、
そもそも古紙を混ぜているのに、バージンパルプ100%に近づけることは困難だ。

環境に配慮した製品が求められているが、古紙含有率が増えると白くできないことや、
プリンターの紙詰まりが増えることなど、実態について正確な情報を公開することが必要だ。


勤務先ではリサイクル用に分別を行うと共に、コピー用紙の使用量を減らすことも求められている。
ただし、参考文献以外にも、分析データや報告書を印刷するなど、必要最低限の使用はしたかない。

そこでコピー用紙には、古紙含有率70%と言われていたリサイクルペーパーを使用していた。
しかし今回の事件で、「出荷停止となりました」 というメールが、総務から届いた。
事務用品の通販会社に注文しているが、そのオンラインカタログからも削除されていた。
私は発注作業をしないが、事務担当者は困っていることだろう。


そして自宅でも翻訳作業で毎日印刷しているから、今使っている用紙を確認してみた。
以下の表記で、どこの会社か判明するだろうから、あえて社名を書くことはしない。

よく買い物に行くジャスコで買う用紙は、「FSC認証マーク」 がついている。
古紙40%で、残り60%は自社植林した海外の森林からの木材を使用している(と言われている)。

この製紙メーカーのニュースリリースでは、古紙含有量が表示と異なる製品があったとしているが、
私が使用している製品について言及していなかったので、代わりにジャスコに問い合わせ中である。

古紙含有率は低くなっても、残りは自社植林の原料だから、他社よりはまだましだろうか。

認証をしているNPO法人 「日本森林管理協議会」 のサイトは次のとおり。
http://www.forsta.or.jp/

また、シンポジウムなどを共催することがあるWWFのサイトは次のとおり。
http://www.wwf.or.jp/activity/forest/sus-use/fsc/index.htm

私はWWFの会員でもあり、これまでもフェアトレード製品などを購入してきた。
できれば熱帯林の破壊に加担しない製品を選びたいから、FSC認証の紙を使用してきた。

自分でコピー用紙を作ることはできないので、メーカーの言うことや、
第三者機関の認定を信用するしかないから、がっかりする度合いは大きいものだ。

今後も環境配慮製品を買うつもりだが、嘘つき企業の製品をボイコットすると生活できないかもしれない。

企業にはコンプライアンス意識を高めてもらうことは当然なのだが、
消費者も、技術的に無理という過度の要求をしないように、実態の把握に努めてほしいものだ。

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