2008年03月

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翻訳の依頼が来ない間は、興味のある記事を読んで勉強しようと思う。

ここでは、astronomie Heute のサイトにある ASTROnews の2008年03月26日の記事を取り上げる。
宇宙空間に存在する有機化合物、アミノアセトニトリルの検出についてである。
http://www.astronomie-heute.de/artikel/947856&_z=798887

アミノアセトニトリルは、最も簡単なアミノ酸であるグリシンの前駆体と考えられている。

ちなみに、研究者による論文の紹介は次のとおりで、アクセプトされた原稿が掲載されている。
(Astron. Astrophys., 2008, in press; accepted/16 Jan., 2008.)
http://www.ph1.uni-koeln.de/vorhersagen/molecules/ism/AAN.html

コメント部分は太字で示した。
代名詞や da が指す内容、および関係代名詞とその先行詞で、明示すれば理解しやすい場合はで示した。


Verwandtschaft des Lebens 「生命類縁体」

Bei der Suche nach organischen Molekülen im interstellaren Raum spüren Astronomen immer
komplexere
chemische Verbindungen auf. Besonders ergiebig erscheint dabei die von dichten
Gaswolken bevölkerte Nachbarschaft des galaktischen Zentrums. Hier gibt es neuen Beobachtungen
zufolge sogar den Verwandten einer Aminosäure.

[星間空間での有機分子探索において天文学者は、ますます複雑な化合物を見つけ出している。
このとき濃いガス雲が群がった銀河中心近辺は、特に成果が多いように思われる。そこには、
最近の観測によれば、アミノ酸の類縁体までもが存在している。]

immer 副 2 ((比較級とともに用いられて,当該概念が時間の経過とともに
その程度を強めることを表す)) いっそう,ますます
zufolge 前 ((ふつう後置され3格支配;前置されるときはふつう2格支配))
2 (nach) …に従えば,…によれば


Bis heute identifizierten Wissenschaftler mehr als 140 verschiedene Moleküle im Weltall,
sowohl in interstellaren Wolken als auch in ausgedehnten Hüllen um Sterne. Ein Großteil davon
ist organisch, das heißt, er basiert auf Kohlenstoff. Besonders intensiv fahnden die Forscher
nach so genannten Biomolekülen – und dabei speziell nach Aminosäuren, den unabdingbaren
Bausteinen des Lebens. Zwar ließen sich Aminosäuren bereits in Meteoriten auf der Erde
nachweisen, nicht aber im interstellaren Raum.

[今日までに科学者は宇宙空間で、星間雲でも、恒星周辺に広がったエンベロープでも、140種を越える
様々な分子を同定している。その分子の大部分は有機物、すなわち炭素を基盤としている。
研究者は、いわゆる生体分子を探索することに特に注力しており、そしてこのとき具体的には、生命の
必要不可欠な構成要素であるアミノ酸を探している。地球上の隕石中で既にアミノ酸は確かに検出されたが、
星間空間では未検出であった。]


Nach der einfachsten Aminosäure Glycin (NH2CH2COOH) wurde in kosmischen Quellen bereits lange,
aber bisher vergeblich gesucht. Angesichts dieser Schwierigkeiten konzentrierte sich die
Fahndung auf Aminoacetonitril (NH2CH2CN), einen chemischen Verwandten und möglichen direkten
Vorläufer von Glycin.

[最も簡単なアミノ酸のグリシン(NH2CH2COOH)が、宇宙起源に既に探索されたが、これまでは無益であった。
この困難さに直面して探索は、グリシンの化学的類縁体で、直接の前駆体の可能性があるアミノアセトニトリル
(NH2CH2CN)に注力した。]

suchen 自 (h) ((nach et.3)) (…を)さがす,さがし求める;探索する;探求する
4格目的語をとらない自動詞でも受動態にできる。主語がないため、文頭を Nach で始まる前置詞句で埋める。


Ein dichter Wald aus Spektrallinien
[スペクトル線でできたうっそうとした森]

So ermittelten die Wissenschaftler um Arnaud Belloche vom Bonner Max-Planck-Institut für
Radioastronomie nun in der “Heimat der großen Moleküle”, einer gigantischen Molekülwolke
nahe dem galaktischen Zentrum. Der dichte und heiße Gasklumpen innerhalb des Sternentstehungsgebiets
Sagittarius B2 besitzt einen Durchmesser von gerade einmal 0,3 Lichtjahren. Aufgeheizt wird er
von einer tief im Innern verborgenen jungen Sonne.

[そのようにして、ボンのマックスプランク電波天文学研究所のArnaud Bellocheが率いる科学者らは
いままでに、銀河中心付近の巨大な分子雲、「重要な分子の故郷」の中に確認した。星が誕生する領域の
いて座B2内の濃くて熱いガス塊は、直径がまさにちょうど0.3光年である。領域内部深くに隠された
若い太陽により、ガス塊は加熱されている。]


Die meisten der bisher im Weltraum nachgewiesenen organischen Moleküle – darunter Verbindungen
wie Ethanol, Formaldehyd, Ameisensäure, Essigsäure, Glykolaldehyd und Äthylenglykol fanden
sich bislang in eben dieser Ansammlung aus Staub und Gas. Mit dem Iram-30-Meter-Teleskop in
der spanischen Sierra Nevada durchforsteten die Forscher nun den dichten Wald von 3700 Spektrallinien
komplexer Moleküle. Denn Atome und Moleküle leuchten nur bei ganz speziellen Frequenzen, die
als charakteristische Linien im Spektrum auftreten.

[これまで宇宙空間に検出された有機分子のほとんどは - その中にはエタノール、ホルムアルデヒド、
ギ酸、酢酸、グリコールアルデヒドおよびエチレングリコールといった化合物があるが、ちりやガスからできた
まさにその集積物中にこれまで見出された。スペインのシエラネバダにあるIram 30 m 望遠鏡を用いて、
研究者はいままでに、複雑な分子のスペクトル線3700本のうっそうとした森を検定して1本ずつ除いていった。
なぜなら原子や分子は、特徴的な線としてスペクトル中に出現する、非常に特有な周波数でのみ輝くからだ。]

durchforsten 他 (h) (山林を)間伐する;((比)) 検閲[して不用のものを除去]する
(DUDEN: auf etw. Bestimmtes hin kritisch durchsehen [u. Überflüssiges entfernen])

(字数制限のため、その2に続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/55706306.html

(最終チェック・修正日 2008年04月07日)

私は首都圏で仕事をしているが、東京都に住んだことはない。
家賃が高いこともあるが、石原都知事のために住民税を払いたくないからだ。

横浜市には3年半住んだが、中田市長の言動には一部違和感があるものの、石原都知事よりはましだ。

石原都知事はマッチョ指向であると、これまでもよく指摘されている。
勇ましい雰囲気の発言や、断定的な言い方が、強いリーダーシップだと、好意的に誤解されているようだ。

石原は横柄な態度で、他人を 「バカ」 呼ばわりし、下品な暴言を発する男にしか、私には思えない。

フランス語蔑視発言に対する裁判でも、名誉毀損にはならないが、下品な発言だと裁判所は認定した。

本人は海やヨットを愛する冒険家気取りだが、実際に命を賭けた冒険をしたという話は聞かない。
それどころか、本当の冒険をした堀江謙一氏を非難したことがある。

そう、石原は、自分より目立つ行動をした存在を、完全否定したいのだ。
代わりに文学作品中で、主人公に冒険をさせているが、なぜか自分では実行しない。

日本最南端の沖ノ鳥島に行ったことはあるが、中国批判のネタになるし、目立ちたいだけだろう。
わざとらしい話題性のあるパフォーマンスで、周囲の反応を面白がっているだけのように思えるが。

尖閣諸島に行ったときも、本人は上陸せずに船に残ったが、これが石原の言う 「男らしさ」 なのか。
ニュースになって目立つことが優先され、上陸による外交的な責任を問われないよう、責任逃れをしたのか。

怖いもの知らずの雰囲気をつくり出している石原だが、結局は責任を転嫁するだけの小さい男ではないか。

新銀行東京の追加出資問題についても、当時の経営者に責任を押し付けていた。

調査委員会の結果(概要)を見ても、中小企業への融資が焦げ付いたことが主要因と指摘されている。
http://www.sgt.jp/about/newsrelease/pdf2008/080311.pdf

都知事の知り合いの会社や、役員の友人の会社に対して、ずさんな融資が行われたことには触れていない。

加えて、無担保融資以外の損失については、何も書いていない。
債券やデリバティブ投資もあるはずだが、本当は融資以外の損失の方が深刻ではないかと疑われている。

一応、都側の責任を認める謝罪をしているが、はっきりと発音せず、渋々話している様子に思われた。
それに報告書の全文が公開されると、都知事や都側の責任も発覚するので、最大株主としてもみ消したのか。

銀行を清算するときに資産評価が行われるので、様々な問題が発覚することを恐れているのだろう。
自分に責任が及ぶことを恐れるような男が、マッチョなのだろうか。

石原は以前、大手銀行に対して外形標準課税を適用したが、裁判に負けて還付することになった。
一説では、石原は頭にきたので、自分の思い通りに動く銀行を作りたくなっただけだと言われている。

表向きは中小企業を救済すると言っているが、自分に反対する銀行は嫌いだ、という感情むき出しなのだ。

気に入らないから罵倒し非難する、イエスマンだけの組織を作る、そして最後は責任転嫁する、
これが石原の言う、「男らしさ」、「日本人らしさ」 なのだろうか。

こんな男を、「強いリーダーシップを発揮している」 と評価していた有権者は、どう感じているのか。


石原都知事の言動をみていて、パワーハラスメントをする上司や大学教授を思い出した。

共通するのは、いつもマッチョ指向の言動で周囲を威圧しているのに、
パワハラや人権侵害の事実を告発されると、急に態度が変わって責任回避に汲々とすることだ。

こんな下品な男たちをリーダーに採用している組織には、未来はないと思う。

イルカやクジラの肉に含まれる水銀量は、食用にするには危険な値であるという話をよく聞く。
特に女性や子どもは、影響が大きいということで、摂取上限の目安も提案されている。

日本では水俣病のため、水銀に対しては、恐怖のイメージが強い。

水銀を使うものは全て否定され、水酸化ナトリウムの製法の一つであった水銀アマルガム法も追放された。

研究でもグリーンケミストリーの観点から、水銀化合物の使用は極力避けることが求められる。
水銀化合物を使うと簡単に合成できる場合でも、回避ルートの検討が行われる。

水銀と並んでカドミウムも、悲惨な公害を引き起こした重金属の代表格だ。

イタイイタイ病の原因として知られているが、今でもコメの分析値が毎年報告されている。
汚染のために廃棄される場合もあれば、水田の土壌を入れ替えて改善を図る場合もある。

農林水産省HPには、「食品中のカドミウムに関する情報」 というページがある。
http://www.maff.go.jp/cd/index.html

ここでの最新情報は、「平成19年国内産米穀のカドミウム含有状況の調査結果」 である。

コメの他にダイズなども調査対象のようだが、なぜかコメばかり重点的に取り上げられている。
農林水産省は減反や米価などで米作農家を翻弄してきたが、それでもコメが中心なのだろう。

前置きが長くなったが、水産庁が調査した水産物中のカドミウムについては、5年前に報告されている。
http://www.jfa.maff.go.jp/release/15.05.02.1.html

調査対象は魚類と甲殻類、そしてイカ・タコ・貝類であるが、
水産庁がバックアップしているクジラについては調査されていない。

調査捕鯨で捕獲したクジラについては、水銀やPCBなどの環境汚染物質の分析も行われている。
南極海のクロミンククジラの肉では、北半球と比べて水銀が少ないそうで、ヘルシー食材と宣伝している。

クジラ製品の通販サイトでも、「他の魚介類に比べてこんなに水銀が少ない」 と強調している。
http://seitengai.com/yamaka/

しかし、水銀の騒ぎに比べて、肝臓や腎臓などの内臓に蓄積するカドミウムについては情報に乏しい。
他の水産物中のカドミウムが話題になっていないのに、クジラだけ強調することはできないのだろう。

検索すると、国内では北海道医療大学の遠藤准教授と第一薬科大学の原口教授との共同研究があるようだ。

イルカやクジラの肉や内臓について、水銀やカドミウムなどの分析値が、何度も報告されている。

共著論文を調べてみると、例えば Chemosphere, 54, 1653–1662 (2004) があった。
「Contamination by mercury and cadmium in the cetacean products from Japanese market」

出版社のHPで抄録を読んだが、論文全文のダウンロードは有料であった。

もう少し検索を進めると、クジラ保護団体のHPに掲載されていることがわかった。
http://www.marineconnection.org/index.html

詳細な内容やカドミウムの分析値は、ここでは省略する。


単なる分析の論文ではなく、結論部分ではクジラの内臓(肝臓・腎臓)を食べないように忠告している。

Adults should only eat blubber and meat once or twice a month;

Girls and women should not eat blubber until they have given birth to all their children;

Meat should not be eaten within three months of planned pregnancy and not eaten at all
by pregnant and nursing women;

Organs (e.g. liver and kidney) should not be eaten at all.


分析内容だけ見ると、客観的な研究論文のように思われるが、私は Acknowledgements が気になった。
研究費助成が、日本学術振興会の他に、クジラ保護団体のWDCSからも得ていたからだ。
http://www.wdcs.org/

「This work is also supported by Grant-in-Aid from Whale and Dolphin Conservation Society (WDCS).」

私はこの研究者を知らないので、反捕鯨団体のために研究をしたのかどうか、何も判断できない。
客観的には、DNA分析をしたアメリカとイギリスの著者への研究費だと思われる。

ただ、「クジラを食べると健康を害する」 と宣伝したい人たちには、この論文は利用されるだろう。

研究費助成を受けたからといって、その資金提供者にとって都合の良い研究をするとは限らないが、
様々な反捕鯨団体が遠藤准教授の研究を引用しているから、捕鯨推進派には嫌われているかも。

それでも、例えば、タバコメーカーから研究費を受け取った研究者が、
タバコの危険性を否定する論文を出していることが指摘されており、中立性が疑われてもしかたない。

もしこの研究に反論したければ、日本鯨類研究所がデータをたくさん集めて公表すればいい。
遠藤准教授の研究を補強するだけであれば、面白くないから出さないかもしれないが。

水産庁の役人も、「日本人はクジラの全てを利用しており、何も無駄に捨てることはしない。」 と、
欧米とのクジラ利用の方法が違うことを強調しているが、内蔵は捨てた方が良いと思いますが。

年に数回だけ、少量食べるのなら大丈夫なのだろうが、情報開示をした上で、食材提供をしてほしい。

(最終チェック・修正日 2008年03月29日)

3月19日に検出された、観測史上最大規模のガンマ線バースト GRB 080319B は、
日本語での記事がCNNで流れたこともあり、既に様々なブログなどで引用されている。

CNNの日本語記事は次のとおり。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200803220005.html

過去記事で触れたように、AP配信記事に間違いがあり、加えてCNNが誤訳もしているので、
今回やっと日本語記事が出たAFP配信記事を読むほうかよい。
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/55437192.html

CNNには、NASAのニュースリリースを確認することと、誤訳の訂正を求めたが、返答はなかった。
速報性を重視したのだろうが、情報源の確認と、翻訳のチェックはしっかりしてほしいものだ。

CNNの日本語記事を転載したブログや掲示板などが、AFPの記事で訂正するかどうかはわからない。
まあ、爆発などのキーワードに反応しているのが主だから、内容の科学的信頼度は二の次かもしれない。


APの記事中で混乱していた部分は、AFPの日本語記事では、
「これまで肉眼で見えた天体の地球からの距離の最長は、M33銀河の290万光年だった。」 と正しい報道。

加えて、「うしかい座」 で検出されたことに触れているのも評価できる。
それに、ガンマ線バーストの簡単な説明があるので、一般向けサイエンス記事としては良い方だろう。


ところで、AFPは英語では3月20日に既に配信していたが、なぜか日本語記事は5日遅れだ。
http://news.yahoo.com/s/afp/20080321/sc_afp/usspace

これまでもAFPは、英語では配信済みなのに、日本語記事になるのが3日以上遅いことがある。

そんなに翻訳に時間がかかるわけでもなく、今回は宇宙ステーションの記事が優先されたのだろうか。
それでも火星の塩類堆積のニュースなどは、すぐに日本語記事になっている。
ガンマ線バーストに興味を持つ日本人は少ないと判断したのか。

23日に私は、AFPに対して、日本語記事を早く出すように要望した。
CNNの不正確な日本語記事が転載されているため、より正確なAFPの英語記事を翻訳してほしかった。

CNNの報道から3日遅れとなったが、NASAの発表により近い記事が出てよかった。
今後は、このAFPの日本語記事を引用できるので、私の主張を信用してもらえると期待できる。

それでも、英語の配信記事から削除された部分もある。

もしその部分がなくても、記事としては違和感はないのでかまわないのだが、
日本語でのみ情報を知る人は、英語を読めない時点で、情報量に差がついてしまう。

確かに編集権は通信社側にあるのだが、英語でせっかく載せてある情報なのだから、
その記事を書いた記者に敬意を払う意味でも、日本語でも同じように載せてほしい。


今回も感じたが、日本語記事が遅れることと、日本語記事では内容が削られることが続くと、
英語をはじめとする外国語知識がないと、正しい情報が得られないのではないかと心配になる。


とにかく、このガンマ線バーストの続報に期待しよう。

追記(2009年05月02日):
2009年04月23日に発見された GRB 090423 は、赤方偏移が 8.2 と初めて8を超え、
130億3500万年前の爆発であることが明らかとなり、観測史上最遠である。
http://www.nasa.gov/mission_pages/swift/bursts/cosmic_record.html

(最終チェック・修正日 2009年05月02日)

hinweg|fegen
他 (h) ((雅)) 一掃する,さっさと片づける

Der Ausbruch fegt alles hinweg, was wir bisher an Gammastrahlen-Explosionen gesehen haben.
我々がこれまでガンマ線爆発で目撃してきた全てを、このバーストは塗り替えてしまう。
("Riesige Sternenexplosion fotografiert - Forscher überwältigt", SPIEGEL ONLINE, 21. März 2008,
http://www.spiegel.de/wissenschaft/weltall/0,1518,542905,00.html)

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