2008年09月

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科学雑誌 Nature を購読している人は、既に気づいていたかもしれないが、
S??ddeutsche Zeitung の科学欄に、Nature 9月25日号の表紙と裏表紙(広告)の写真が出ていた。
http://www.sueddeutsche.de/,ra16l1/wissen/360/312276/text/

"Missgl??ckte Werbung: Auf den Hund gekommen" は、「失敗した広告:犬になった」 とでもしようか。

Nature の表紙には、アメリカ大統領選挙の候補者2人が並んでいる。
左がオバマ候補、右がマケイン候補である。

そして裏表紙のライフサイエンス会社の広告は、左が黒い犬、そして右が白っぽい犬である。

肌の色と犬の毛色が同じで、並び方も同じとは、なんという偶然。
それで記事のタイトルは、「表紙では人間だったのに裏表紙では犬になった」 ことを表現している。

編集者も広告担当者も見落としたまま印刷され、そしてこれまで誰も奇異に感じなかったようだ。

単なる偶然ではなく、デザイン担当者のいたずらやジョークなのかもしれないが、
何らかの意図が含まれているのならば、Nature は両大統領候補を同程度に侮辱したことになる。

それにしても、よく気づいたものだ。
読んでいる途中にページを開いたまま、印刷面を下にして机に置いたときに気づいたのかも。

私は多様性を好む性格のためか、専門の化学にこだわらず、自然科学全般に興味があるし、
語学でも、仕事で必要な英語・ドイツ語の他にも、いくつかかじってきた。

中学生から海外短波放送を聴くようになり、学校で習っている英語の他にも、様々な言語の音に触れた。

高校では漢詩の韻を確認するために中国語を習い、大学ではスペイン語も少し勉強した。
ドイツ留学中には、様々な国からの留学生に出会ったため、ロシア語とコリア語のテキストを買った。

そして最近は、捕鯨関係のニュースを読むために、ノルウェー語とアイスランド語のテキストを買った。
個人再生の相談をした弁護士には、スウェーデン語を勧められたから、ゲルマン諸語をかじろうかとも思う。

以前から、「英語が完璧でないのに、なぜ他の言語を勉強するのか」 と聞かれることが多かった。
それは私が多様性を好むからで、同時進行で2つのことをしていないと、落ち着かないからでもある。

しかも、世間ではマイナーと思われることをすることに、なぜか意義を感じてしまう。
それで、「ドイツ語なんか必要ない」 と罵倒する化学者が増えても、ドイツ語の宣伝をしてしまう。

このような性格なので、語学関係の本で最近続けて読んでいるのは、黒田龍之介氏の著作である。

今読んでいるのは、講談社現代新書の 「世界の言語入門」 である。

【90言語で世界一周! 英語、仏語からサーミ語、ゾンカ語まで

語学は、まず雰囲気を楽しむことからはじめよう。英語、仏語などメジャー言語から、ベルベル語、
ゾンカ語など知る人ぞ知る言語まで。90言語の魅力をひとりで語った楽しいエッセイ。】

本書は言語学の解説書ではなく、世界にはこんな言語があるのだな、という紹介のようなもの。
著者が実際に体験したことだけではなく、知らない言語にも面白い点があったんだ、というエッセイ集。
アイウエオ順に並んでいるが、どこから読んでもかまわない構成なので、気楽に読めるだろう。

それで一番最初の言語は、アイスランド語である。
鯨肉不正輸入疑惑の新聞記事を読むためにテキストを買ったが、その後の勉強は進んでいない。
今思えば、ドイツからカナダに学会出張するときに、アイスランド経由で行けばよかったかも。

二番目は、最近話題となっているアイヌ民族のアイヌ語である。
私の出身県は、著名なアイヌ語研究者を輩出しているので、興味はあったが、勉強することはなかった。

北海道のSTVラジオでアイヌ語講座が放送されており、テキストや音声もダウンロードできる。
http://www.stv.ne.jp/radio/ainugo/index.html

アイヌ語は外国語ではなく、日本の言語であり、国会でも使用できる公式言語である。
実際に国会の委員会で、アイヌ語で演説が行われた記録があるが、話題の中山議員は知らなかったようだ。

【アイヌ語を話す人はそれほど多くない。それどころか、アイヌ語のみで生活するのは、現実問題として
難しい。だからといって、「現在の日本はほぼ単一言語の国といって差し支えない」などといい切って
しまっていいのだろうか。わたしは小さな存在を効率よく無視するのではなく、多様性から言語を
考えていきたい。】

ずっと先に進んで、私の好きなドイツ語も取り上げられている。
分離動詞の話が出てくるが、これは初学者が困惑する文法事項で、英語至上主義者からも攻撃対象となる。
また、ヨーロッパではドイツ語を理解する人が広範囲に存在することも説明されている。
ドイツ人がバカンスに行くマヨルカ島やクロアチアやなどでも、英語よりもドイツ語の方が通じる。

87番目に出てくるルクセンブルク語は、私は実際に聞いたことがある。
ドイツ留学先の同僚が、ルクセンブルク系アメリカ人で、簡単な表現を教えてくれたから。
それを聴くと、ドイツ語とフランス語を混ぜたような表現のことがあった。

他人がくしゃみをしたときにドイツ語では 「ゲズントハイト」 と言い、フランス語は 「ソンテー」、
そしてルクセンブルク語では 「ゲズンテー」 と、これこそ 「足して2で割る」 という実例だ。

今後も仕事で使うのは英語とドイツ語ばかりだろうが、他の言語に触れる機会も増やそうと思う。

einmal 副
3 ((アクセントなしで:話し手の主観的心情を反映して)) d) ((副詞の意味を強めて))
nicht einmal …さえない,…すらしない

Nicht einmal eine Woche nach Amtsantritt der neuen Regierung in Japan ist Transportminister
Nariaki Nakayama seinen Job schon wieder los:
日本の新内閣就任から一週間も経たずに、中山成彬国土交通大臣は既にその地位を失った(一議員に戻った)。
("Japans Transportminister nach wenigen Tagen zurückgetreten", AFP, 28.09.2008,
http://afp.google.com/article/ALeqM5hr_l8-4yZlS69PYimQahuU4MhyUg

los 2 ((話)) ((jn./et.4)) b) (…を)失った;(…が)ない
wieder2 ((復原)) もとに戻って,もとどおりに,再びまた

国土交通大臣に就任したばかりの中山成彬議員は、失言が批判されて、たった5日で辞任となった。

辞任会見での記者とのやりとりは、時事通信の報道では次のとおり。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008092800089

国土交通省のHPには大臣会見要旨のサイトがあるが、就任会見すら記載されないまま辞任となった。
週明けには就任会見と、辞任の会見が、並んで掲載されることになるだろう。

中山議員が日教組に対して、強い嫌悪感を持っていることはわかったが、過去に何かあったのだろうか。
文部行政と対立していた団体だから、という単純な理由だけではなさそうだ。

それでまず、中山議員のHPの記載を確認してみると、9月のあいさつに次のような部分があった。
http://www.nakayamanariaki.com/

【4月に行われた第2回目の全国学力調査結果が8月末に公表されました。昨年より2ヶ月も早く公表し、
残された年度間の授業内容の改善に活用できるようになった点は評価されると思います。公表結果を
一覧すると、昨年に引き続き、秋田県や福井県などが上位を占め、沖縄県、北海道、大阪府、大分県などが
下位を占めるという構図は変わっていません。特に私が強調したいのは、今問題になっている大分県を始め
学力の低い県は日教組の加入率が高く影響力の強い県である
ということです。】

大臣就任の取材に記者が集まったので、この機会に持論を宣伝しようと思ったのだろうか。

日教組や一部の教師の指導能力に問題があったとしても、日教組に対する悪いイメージを植えつけるために、
先入観・思い込みに基づく嘘を流布して、一般国民を騙してはいけない。

【将来とも、日本が経済的に発展し、しっかりした社会を維持していくためには、しっかりした学力、
体力と充実した気力と日本人としての道義をきちんと身に着けた日本人をたくさん輩出することです。】
と、中山議員は続けて言っているが、嘘を流布することが 「日本人としての道義」 ということか。

もし中山議員が日教組組織率と学力との相関関係を分析したのならば、相関図(散布図)を公開してほしい。
朝日新聞が、中山議員の発言を否定する報道をしているが、自信があるならデータを示して反論してほしい。

このように平気で嘘をつく人間は、自説に都合の悪いデータを、完全に無視するという態度をとる。
実際にはデータの分析などせず、以前からの思い込みだけで発言しているはずだ。

似たような人間はどこでもいて、実験データを改ざんする研究者や、公的報告書を改ざんする人もいる。

そして、気に入らない相手を批判するためには、その他周囲の不快感など無視するのも特徴だ。
日教組を潰すことが優先課題で、大分県の人たちが不愉快に思っても、正当化されるという論理なのか。

似たような事例として、石原都知事のフランス語蔑視発言が思い出される。
首都大学東京の構想に反対する教官を批判するために、その教官の専門であるフランス語まで侮辱した。
フランス語教師などが裁判をし、名誉毀損にはならないものの、不愉快な発言であることは認定された。

ブログや掲示板を見ても、悪者を批判するためならば、不愉快な表現が許されると思っている人がいる。
私は表現の自由を擁護したいが、私のブログに書き込まれた場合、自宅に土足で上がられた気分になる。

今後は、麻生総理大臣の失言が注目されるだろう。

追記:
大臣を辞任したのに懲りずに、9月29日にはHPで、民主党と日教組の関係を批判している。
http://www.nakayamanariaki.com/message/080929_message.html

【働かない社保庁職員組合、日本の教育をゆがめる日教組に基盤を置く民主党政権では
日本が大阪府みたいになってしまいます。

今問題になっている大分県の教育界はほとんど報道されていませんが、日教組支配が強く、子供達の学力も
全国的に下位に止まっています。日教組は国旗、国歌に反対、道徳教育に反対し、過激な性教育を
行っている
教職員組合です。

昨年の参議院選挙での民主党の比例代表当選者20名の内、自治労と日教組のいわゆる官公労出身の
議員が多数を占め、特にトップは社保庁の専従組合員で50万票を越える得票でした。】

中山議員には、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」 という色紙を書いてプレゼントしたいものだ。


追記2(10月1日):
中山議員のHPでは、釈明のためなのか、産経新聞のインタビュー記事が掲載されている。

そんな記事を掲載する暇があるなら、プロフィールの 「国土交通大臣」 を早く消してほしい。
それにトップページの 「前国土交通大臣」 という表記も消してほしい。

もう辞めた大臣だからか、国土交通省の大臣会見要旨には掲載されていない。

追記3(10月2日):
もう辞めて後任の大臣が就任したのに、9月25日の中山大臣就任会見要旨が、ようやく掲載された。
http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin080925.html

プロフィールはまだ修正されていない。

追記4(10月6日):
やっとプロフィールが修正された。
それでも日教組批判は止まらない。
今日は 「鳩山民主党幹事長へ」 という主張も追加されている。

追記5(11月15日):
まだ懲りないのか、「SAPIO」 という雑誌の11/26号の特集で、
「何度でも言う。『日教組は教育のがんである』」 という記事を書いている。

「やっぱりあった学力テストと日教組の“相関関係”/八木秀次」 という記事もあるそうだ。
相関関係は無理矢理作り出せるだろうが、因果関係は無理だとわかっているのだろう。

読む気はしないが。

(最終チェック・修正日 2008年11月15日)

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過去記事に書いたが、クジラに関する洋書(英語)を、ネット通販で買うことにした。
Philip Hoare 著の "Leviathan: or, The Whale" という本だ。
http://blogs.yahoo.co.jp/marburg_aromatics_chem/58225056.html

最初はアマゾンで調べたが、紀伊国屋書店BookWebの方が、約1千円も安かった。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/

送料と代引き手数料を加えても、4,060 円と店頭販売価格よりも約8百円も安くなる。
会員価格は10%割引であり、加えてレート換算が店頭価格より有利であることも効いている。

また、注文合計が5千円を超えると、30日間は送料無料期間となるため、もう一冊買うことにした。
これで 3,680 円で購入できる。

最近はドイツ語の専門書を買っていないので、「ドイツ書書棚」 をクリックして、化学分野を探した。

すると期待に反して、英語の書籍がリストの大半を占めている。
「ドイツ書」というのは 「ドイツ語の本」 ではなく、「ドイツの出版社の本」 なのかもしれない。

有機化学の教科書を探していたが、ゲーテに関する化学史の書籍があることに、偶然気づいた。

R??diger Stolz 著、"Goethe und seine Chemiker : Ratgeber, Helfer und Vertraute" である。

英語書籍は割引だが、ドイツ語書籍は手数料が加算されているが、送料無料だから我慢しよう。


ゲーテは自然科学にも興味があったが、化学での功績というのは、ほとんど知られていない。
イェーナ大学の化学者にいろいろと質問をしていたそうなので、その内容を確認してみたい。

252ページもあって全部読めるかどうかはわからないし、ゲーテ研究者が翻訳するかもしれないが、
特に有機化学に関連する部分があれば、いくつかの話題を拾い読みしてみようと思う。

今後の翻訳受注の準備も兼ねて、こういった分野の書籍にも慣れておこうと思う。

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