日本という国は、「ひとにやさしくない国」 であり、そのしわ寄せは子どもにまで及んでいる。
大人たちがまともな仕事をしないために、将来を担う子どもたちを苦しめている。
貧困問題というと、発展途上国の話だと思う人もいるだろうが、日本やアメリカのように、
社会的支援策が足りない先進国でも貧困問題があり、子どもたちに与える影響は無視できない。
山野良一著、「子どもの最貧国・日本 学力・心身・社会におよぶ諸影響」 を読んだ。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334034702
【家賃を払えず、児童養護施設に預けられる3歳のミヤと4歳のシン。生活保護の申請を受理してもらえず、
給食の時間までぐっとお腹が鳴るのを堪える小2のタクヤ……今や7人に1人の児童が経済的に困窮しており、
ひとり親家庭はOECD諸国中で最貧困である。
日本は、アメリカと並ぶ最低水準の福祉となってしまった。しかも、日本だけが事実を無視し、
対策を取らず、貧困な子どもたちを社会的にネグレクトしている。
本書は、この問題に対して私たちの認識を研ぎ澄ますために書かれたものだ。日米の児童福祉の
現場経験をふまえ、理論・歴史・統計などの多角的な視座で実態を検証し、解決策を考える。】
章立ては次のとおり。
1章 貧困化の著しい日本の子どもたち
2章 なぜ子どもたちは貧困に陥ったのか?
3章 学力格差と児童虐待
4章 脳・身体・こころへの影響
5章 貧困が子どもたちを蝕むプロセス
6章 生活保護と児童養護施設はいま?
7章 各国の貧困対策に学ぶ
1章では、OECD各国の貧困状況を比較しており、日本の貧困率が増加していることを明らかにしている。
気になる記述として、国際的比較のための所得調査に、日本は参加を拒んでいるということだ。
予算要求のときには、諸外国との比較で日本の水準は低いことを強調することがあるが、
所得調査に参加すると絶対貧困率が算出され、それを根拠に野党が社会保障費増額を言い出すので嫌なのか。
日本にも社会保障制度や税制優遇など、様々な社会的支援が存在しているが、
政府介入後の貧困率の方が、介入前よりも高くなるという、不思議な先進国でもある。
つまり日本の社会保障制度というのは、本当に困っている家庭のことは対象にしていないと言ってもよい。
扶養控除や所得税の優遇をしても、もともと課税されないくらいの低所得家庭には関係ないことだ。
毎月の家賃や光熱費の支払いに苦労している家庭では、精神的にも余裕がなくなってしまう。
それは子どもの発達や学力にも影響し、貧困層から抜け出せなくなる危険性もある。
そこで行政改革の名の下に削られた、生活保護や児童手当など、所得再分配のしくみを見直し、
本当に困っている家庭を救う国になってほしいというのが、私の願いである。
貧困家庭を援助しようと言うと、必ず 「自己責任論」 という反対意見が出てくる。
「学歴がないのは勉強しなかったから」、「仕事に就けないのは努力が足りないから」 などと。
加えて、「お金を渡しても酒やギャンブルに使う親もいるから」 と、
低賃金でも頑張って子どものために働いている親が大半だという調査結果を、無視する人もいる。
社会的支援が足りないと、子どもの発達や学力に悪影響が出ることが、統計的に有意であるとされている。
誰かが、日教組のせいで学力が下がったと言っているが、経済的な問題の方がはるかに関係が強い。
社会保障費を捻出するために天下り団体を潰しても、官僚は優秀なのだから、再就職には困らないはずだ。
官僚の老後保障よりも、未来を担う子どもたちにお金を使ってほしい。
大人たちがまともな仕事をしないために、将来を担う子どもたちを苦しめている。
貧困問題というと、発展途上国の話だと思う人もいるだろうが、日本やアメリカのように、
社会的支援策が足りない先進国でも貧困問題があり、子どもたちに与える影響は無視できない。
山野良一著、「子どもの最貧国・日本 学力・心身・社会におよぶ諸影響」 を読んだ。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334034702
【家賃を払えず、児童養護施設に預けられる3歳のミヤと4歳のシン。生活保護の申請を受理してもらえず、
給食の時間までぐっとお腹が鳴るのを堪える小2のタクヤ……今や7人に1人の児童が経済的に困窮しており、
ひとり親家庭はOECD諸国中で最貧困である。
日本は、アメリカと並ぶ最低水準の福祉となってしまった。しかも、日本だけが事実を無視し、
対策を取らず、貧困な子どもたちを社会的にネグレクトしている。
本書は、この問題に対して私たちの認識を研ぎ澄ますために書かれたものだ。日米の児童福祉の
現場経験をふまえ、理論・歴史・統計などの多角的な視座で実態を検証し、解決策を考える。】
章立ては次のとおり。
1章 貧困化の著しい日本の子どもたち
2章 なぜ子どもたちは貧困に陥ったのか?
3章 学力格差と児童虐待
4章 脳・身体・こころへの影響
5章 貧困が子どもたちを蝕むプロセス
6章 生活保護と児童養護施設はいま?
7章 各国の貧困対策に学ぶ
1章では、OECD各国の貧困状況を比較しており、日本の貧困率が増加していることを明らかにしている。
気になる記述として、国際的比較のための所得調査に、日本は参加を拒んでいるということだ。
予算要求のときには、諸外国との比較で日本の水準は低いことを強調することがあるが、
所得調査に参加すると絶対貧困率が算出され、それを根拠に野党が社会保障費増額を言い出すので嫌なのか。
日本にも社会保障制度や税制優遇など、様々な社会的支援が存在しているが、
政府介入後の貧困率の方が、介入前よりも高くなるという、不思議な先進国でもある。
つまり日本の社会保障制度というのは、本当に困っている家庭のことは対象にしていないと言ってもよい。
扶養控除や所得税の優遇をしても、もともと課税されないくらいの低所得家庭には関係ないことだ。
毎月の家賃や光熱費の支払いに苦労している家庭では、精神的にも余裕がなくなってしまう。
それは子どもの発達や学力にも影響し、貧困層から抜け出せなくなる危険性もある。
そこで行政改革の名の下に削られた、生活保護や児童手当など、所得再分配のしくみを見直し、
本当に困っている家庭を救う国になってほしいというのが、私の願いである。
貧困家庭を援助しようと言うと、必ず 「自己責任論」 という反対意見が出てくる。
「学歴がないのは勉強しなかったから」、「仕事に就けないのは努力が足りないから」 などと。
加えて、「お金を渡しても酒やギャンブルに使う親もいるから」 と、
低賃金でも頑張って子どものために働いている親が大半だという調査結果を、無視する人もいる。
社会的支援が足りないと、子どもの発達や学力に悪影響が出ることが、統計的に有意であるとされている。
誰かが、日教組のせいで学力が下がったと言っているが、経済的な問題の方がはるかに関係が強い。
社会保障費を捻出するために天下り団体を潰しても、官僚は優秀なのだから、再就職には困らないはずだ。
官僚の老後保障よりも、未来を担う子どもたちにお金を使ってほしい。