2009年03月

ein|schleichen* schlich ein/eingeschlichen
他 (h) 1 再帰 sich4 einschleichen 忍び込む

DUDEN: 1. <e. + sich> vorsichtig, heimlich eindringen: hier hat sich ein Druckfehler eingeschlichen.

Nur in die Überlieferung seines Namens schlich sich ein Lapsus ein.
ただ、彼の名前を伝承するときに、ささいなミスが入り込んだ。
("450. Todestag von Adam Ries: Riesiger Fehler", Süddeutsche Zeitung, 28.03.2009,
http://www.sueddeutsche.de/wissen/641/463252/text/


Lapsus m. -/- (Versehen) (ちょっとした)間違い,失策

佐渡で放鳥されたトキのメス4羽全てが、本州に渡ってしまい、繁殖が困難になったと言われ、
「そのメスを捕獲して佐渡に戻すべきだ」 と、自然の営みを無視する発言をする人も出てきた。

毎日新聞の記事は次の通り。
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2009/03/28/20090329k0000m040047000c.html

【環境省は28日、新潟県佐渡市で08年9月に放鳥されたトキのうち3歳の雌1羽が新潟市に
飛来しているのを確認したと発表した。本州側に飛来したのはいずれも雌の4羽。残る雄4羽は
佐渡市にとどまったままで、今春の繁殖は一層困難な見通しとなった。

佐渡島内に定着させるのが環境省の構想。高野宏一郎・佐渡市長は「なぜ雌ばかりが
本州に渡ってしまうのか驚きだ。原因について環境省に究明をお願いしたい」と語った。】

佐渡には 「佐渡トキ保護センター」 があり、ある程度観光資源にもなっているので、
佐渡市長としては、なんとしてでも佐渡の自然にトキが定着してほしいのだろう。
http://www4.ocn.ne.jp/~ibis/

そのトキの人工繁殖や周囲の自然環境整備には、毎年6千万円前後の予算が投入されている。
地球環境研究総合推進費(約40億円)の一部となっている。
http://www.env.go.jp/nature/toki/torikumi.html
http://www.env.go.jp/nature/toki/torikumi/suisinhi_f072.pdf

日本のトキは既に絶滅したわけで、その反省も込めて、自然の回復が大変な作業だと示す意味はある。
ただ、トキの生息環境整備に多額の予算を使うのならば、他の絶滅危惧種も公平に扱ってほしい。


私が会員のWWFジャパンは、天然記念物オキナワトゲネズミの生息を、30年ぶりに確認した。

やんばるの森の固有種で、絶滅危惧種であるが、生息地は木材生産の拠点に指定されていた。
そこでWWFジャパンは、沖縄県知事と国頭村長に、オキナワトゲネズミの保護を訴えている。
http://www.wwf.or.jp/activity/wildlife/news/2009/20090325.htm
http://www.wwf.or.jp/activity/lib/press/2009/p09032601.htm

【WWFジャパンでは、「南西諸島生物多様性評価プロジェクト」の一環として、2007年12月から
オキナワトゲネズミの生息分布調査を支援している。その2008年と2009年の調査から、絶滅した可能性が
高いとされていた個体群の30年ぶりの生息が確認され、生息地が明らかになってきた。それに伴い、
オキナワトゲネズミの重要生息地が、国頭村の木材生産拠点産地として設定されていることから、
WWFでは、25日、沖縄県知事及び国頭村長宛に「オキナワトゲネズミ生息地保護の要望書」を提出した。  

オキナワトゲネズミ(Tokudaia osimensis)は、国の天然記念物指定種(1975年)で、環境省レッドデータ
ブックで絶滅危惧1A類(CR)に位置づけられている。「琉球諸島」世界自然遺産登録において、象徴的な
種として位置づけられる本種の重要な生息地を木材生産拠点地計画の対象地としないよう配慮することを
WWFは求める。】

日本のトキは絶滅したが、中国から移入して復活できる可能性はある。
しかし、固有種のオキナワトゲネズミは、絶滅してしまえば、他の地域から移入することはできない。
トキの絶滅を反省しているのならば、林業者へ補償するなど、日本政府は予算措置をしてほしいものだ。

また日本政府は、「絶滅危惧種の大型鯨類は保護する」 と言っているのだから、
絶滅寸前のオキナワトゲネズミを保護することは、日本政府の発言を補強する材料となるだろう。

翻訳料金23万円が入ったら、そのうち1万円くらいを、南西諸島自然保護の指定で寄付しようと思う。

追記(4月26日):
オキナワトゲネズミの生息地が保護されることが決定した。
http://www.wwf.or.jp/activity/wildlife/news/2009/20090421.htm

【絶滅が心配される沖縄の固有種オキナワトゲネズミの生息域が、森林伐採対象地に含まれていた問題で、
WWFジャパンが提出した保護の要望に対し、沖縄県より前向きな回答がありました。県は該当する
一帯の森を、伐採対象地としないよう関係者に通知。国頭村も県と連携した対応を取るとしています。】

オキナワトゲネズミ再発見について、NHKBShiプレミアム8ワイルドライフで紹介される。
「オキナワトゲネズミを絶滅させないで 沖縄やんばる 幻のオキナワトゲネズミ再発見」
2009年4月27日20:00-21:30  再放送5月4日15:00~16:30
http://www.nhk.or.jp/wildlife/

(最終チェック・修正日 2009年04月26日)

100ページを超える英文和訳の案件が終了し、時間のある今週末は、ゆっくり買い物や掃除ができた。
今日は、「通訳翻訳ジャーナル」 のバックナンバーを整理していて、ある記事が目にとまった。

ランデル洋子・GICSS研究会理事長の 「異文化コミュニケーションクリニック」 である。
2006年4月号、第44回のタイトルは、「互いの聖域を尊重して共生する」 だ。

広辞苑で 「聖域」 を調べると、2番目の語義説明に次のようにある。
【神聖な地域。犯してはならない区域。比喩的に、手を触れてはならない分野。→サンクチュアリ】

ついでに 「サンクチュアリ」 を調べると、2番目の語義説明は次のようになっている。
【鳥獣の保護・禁猟区。】

ここで私は、「捕鯨は日本文化の聖域・クジラ保護(サンクチュアリ設定)は反捕鯨国の聖域」 と感じた。


この記事中では、「相撲・天皇制・米作り」 が日本人の聖域として例示されている。

相撲では、今場所の優勝は白鵬であるが、これまでも外国人横綱に対して否定的な発言をよく聞いた。
女性知事による優勝力士の表彰は、何度要望しても実現しなかったが、それは歴史的に聖域となったから。

いくら日本政府が財政難だといっても、外国の企業やファンドに、皇居の一部を売却することはありえない。
雅子妃殿下に関する著作の訳書は、なんだかんだと理由をつけて、発売中止になってしまった。

小麦や大豆などの主要農産物をほとんど輸入しているのに、コメだけは頑として自由化を拒んでいる。
不作でタイ米などを輸入したときも、「タイ米なんか食べたくない」 と捨てる人まで現れたほどだ。

他にも、ドキュメンタリー映画の 「靖国神社」 は、中国人監督ということで、強い反発があった。

日本文化・アイデンティティの象徴について、侵略されたという感情を持つと、
「他国からそんな説教をされる筋合いはない」 と激怒し、更に執拗な反撃に出てしまう。

逆に、「ワインを知らない日本人でも、ボージョレ・ヌーボーなら何も考えずに楽しめる」 だとか、
「サッカーでドイツに勝とうなど100年早い」 などと、どこでもプライド・聖域の領域がある。


それで捕鯨だが、水産庁は、「感情的対立ではなく科学的議論をする」 と言いながら、
「捕鯨は日本の伝統文化」 だとか、「他国に食文化を否定する権利はない」 などと感情的だ。

「クジラで譲歩すれば、次はマグロが狙われる」 と、水産庁が過剰反応しているのも聖域だからか。
あるいは、捕鯨利権を温存するために、聖域化を進めたのか。

日本の食文化という聖域を犯されたから、グリーンピースまでテロリストに指定してしまうのか。
するとクジラは、コメのように日本人の食生活の主要な部分を占めるということなのか。

そして逆に、反捕鯨国の文化的・宗教的背景を理解せず、南極海サンクチュアリ設定を非難しているのか。


EUでは昨年、「異文化理解」 をテーマにしていたが、クジラ保護を唱える彼らからしてみれば、
南極海サンクチュアリを侵略する日本は、彼らの聖域を犯していると感じて、理解する余裕もないわけだ。

このようにお互いの聖域を犯しているので、どうしても対立が続くことになってしまう。
元々、日本は水産資源利用、反捕鯨国は野生生物保護と、全く異なる考え方だから、和解も無理かも。


まあ、同じ日本人でも、出身地が違うと、食べ物や習慣などでトラブルになることもある。

ある香川県出身者が東日本でうどんを注文したが、「これはうどんではない」 と、ぼろくそにけなしていた。

香川県の讃岐うどんは、確かにおいしいと思うが、讃岐うどんだけがうどんではないわけで、
東日本には、香川県とは違う味付けがあり、そのうどんをバリエーションとして尊重すべきではないか。

私の両親は兵庫県出身だが、私は東北地方生れで、年賀挨拶回りで出された雑煮が違うことに驚いた。
それでも私は、同じ日本国内でも食材が異なることについて、非常に面白いことを体験したと感じた。

こういった文化の違いを面白いと感じ、興味を持って観察する姿勢が、ドイツ留学でも活きたと思う。
ドイツ人の研究姿勢・生活・文化を理解するため、食生活もドイツ人風にするように努力した。

毎日肉を食べるドイツ人とも、菜食主義者のドイツ人とも、その他の国の留学生とも、
お互いの食文化・宗教・行動様式について尊重しながら、適切な距離感を保って交流した。

私のように、反捕鯨国にも理解を示す余裕を見せる者は、偽善者だとか、エリート臭いと非難されそうだが、
スタートレックのように、対立していた惑星連邦とクリンゴン帝国が、同盟を結ぶようなことを期待したい。

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ドイツ留学中、最初の休暇は W??rzburg を起点に、ロマンチック街道を南下した。
そしてマイン川流域の、フランケン地方の白ワインを毎日飲んだ。

そのボトルの個性的な形も気に入って、2年間の留学中はフランケンワインばかり飲んでいた。

750 mL 入りで6マルクから10マルク程度の安いワインだったが、
夕食にパスタやグラタンを作って、サッカー・ブンデスリーガをテレビ観戦しながら飲んだものだ。

しかし帰国後、日本でワインというと、フランスやイタリアばかりで、ドイツワインはマイナーな印象だ。
探しに行っても銘柄数が少なく、しかも私が好きなフランケンワインは取り寄せのことが多い。

横浜みなとみらいのワールドポーターズに、ワインブティック伏見という店があり、
ドイツワインを置いているというので、横浜に住んでいたときに一度行ったことがある。

このときはバレンタイン(勤務先の義理チョコ)のお返しをするということで、
W??rzburg 産の赤ワインを一本購入して、薬理活性チームの女性陣にプレゼントした。

その後もフランケンワインを見ることはほとんどなかったが、
昨日、伊勢丹新宿店の地下1階に行ったところ、偶然見つけることになった。

銀行2行の口座解約をした後、新宿三丁目まで地下鉄で移動して伊勢丹新宿店に行き、
私が株主であるロックフィールドの店舗の、be Organic を見ることにした。

するとたまたまワインの店が視界に入り、フランケンワインがあるのかどうか店員に聞いてみた。
すると5銘柄ほど置いてあったが、現地価格の2倍以上であった。
店員の話では、輸送費や保冷コンテナ代、関税などでどうしても高くなるという。

それに店内は、ワインのために適温になるように冷房を入れてあり、
更にエアカーテンで通路の空気と隔離しており、そのコストも上乗せされているのだろう。

そこで一番安い 2,625 円の白ワイン・辛口にしたが、現地価格では7ユーロ程度なのに。

写真の右はじにあるように、ラベルにネコの顔が書いてある白ワインで、
2007er Sommeracher Katzenkopf Silvaner, QbA, trocken という銘柄である。

産地の Sommerach 村は W??rzburg の近くだが、私は行ったことがない。
Katzenkopf といってもネコとは関係なく、Katz という貴族がブドウ畑を持っていたそうだ。
そしてワインのラベルにネコの顔を書き、Katzenkopf という名前にしたそうだ。
http://www.nordheim-main.de/files/weinlagen_weinschleife.pdf

この醸造所は1901年創業で、ドイツの上位15位までに入る、優秀な醸造組合だそうだ。
だから店員が、雑誌に載っている有名なワインだと言っていたわけだ。

醸造所のHPは次の通りで、様々な銘柄が紹介されている。
http://www.winzer-sommerach.de/index.php?content=home

店員の説明では、コルク栓を抜いて3日くらい過ぎた方が、口当たりもまろやかになるという。
確かに今日、開けてすぐに飲んでみると、少々舌に刺激があった。
それでも少し時間差で、フルーティーな香りが口の中に広がり、心地よかった。


ということで、今日の夕食は、いつもの手抜きだが、写真のような組み合わせとした。

パスタは、日本製粉オーマイ金のパスタ・ほうれん草入りフェットチーネ。
http://www.nippn.co.jp/products/home/2/detail175.html

ソースは、ハインツ・大人むけのパスタ・イセエビのトマトクリーム(どうやら女性向け商品だ)。
http://prtimes.jp/data/corp/595/dd365a7b40766cf8d2ce5b1ec4d76d19.pdf
http://www.pastasauce.jp/#/product/tomato_cream (注:音楽が流れます)

そしてRF1の、フレッシュ野菜たっぷりのポテトサラダ、ほうれん草と生ハムのサラダ。
http://www.rf-one.com/menu/menu_salad.html

ほうれん草が、パスタとサラダでかぶっているが、それは気にしない。
ワインは半分残したので、明日は、燻製パンチェッタのアラビアータで試してみよう。
http://www.pastasauce.jp/#/product/arrabbiata (注:音楽が流れます)

借金も返さないといけないが、週末くらいはこのような贅沢をしたいものだ。

追記(3月29日):
今日の夕食もパスタで、ワインの残りを飲んだ。
店員の説明通りに、口当たりが少しまろやかになっている。
栓を開けてから一度空気に触れることが大切だというのは、本当だったわけだ。
しかし、私はグルメではなく、ただの大食いなので、今後もあまりこだわらないかも。

(最終チェック・修正日 2009年03月29日)

トムソン・ロイター社の関連会社が、ResearcherID という、研究者にIDを割り振るサービスを提供している。
そのHPと、トムソン・ロイターのプレスリリース(日本語)は次の通り。
http://www.researcherid.com/Home.action
http://www.thomsonscientific.jp/news/press/nytu096/

このデータベースサービスについて、信頼性を疑う記事が S??ddeutche Zeitung に掲載された。
http://www.sueddeutsche.de/,ra16l1/wissen/656/463267/text/

これは Science の記事をようやくして、ドイツ語に翻訳したものである。
http://www.sciencemag.org/cgi/content/short/323/5922/1662

記事の1ページ目では、このサービスの特徴と利点について説明されている。

マーストリヒト大学の Jochen WL Cals と Daniel Kotz は、The Lancet で宣伝記事を書いている。
The Lancet, Volume 371, Issue 9631, Pages 2152 - 2153, 28 June 2008
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(08)60931-9/fulltext
(週明けに会社でダウンロードする予定)

二人のIDはそれぞれ、A-1262-2007 と A-1270-2007 である。

論文を検索していると、同姓同名の研究者がいたり、"J. Smith" と略すと全く区別できないこともある。
その研究者の所属や研究テーマを確認してみると、探していた人とは違うということは、何度も経験した。
加えて、所属が変わったり、結婚などで名前が変わると、同一人物なのかどうか不明のこともある。

しかし、Varmus という姓の研究者は一人だけだが、困った問題があるそうだ。
ノーベル賞受賞者 Harold Elliot Varmus の349報の論文での名前表記は、なんと6種類もあるそうだ。

また、フランス人疫学者 Antoine Flahault は、237報のうち14報で、"Flahaut" と誤記されている。

研究者IDがあれば、このような名前表記での混乱がなくなると期待される。

そしてアジア系の名前は余計に困るそうだ。
中国系の名前で、漢字表記では区別できるのに、英語表記では区別できないことが多い。
記事中の例では、"Wang Kong" という中国人名は、漢字表記ならば20種類あるという。

中国系の名前のことは、Nature でも以前記事になっていた。
http://www.nature.com/news/2008/080213/full/451766a.html

ベトナムの場合は更に困ることに、人口の40%が "Nguyen" という姓だ。

実際に私と同姓同名の研究者もいて、トナー関係の特許をたくさん取っている人だった。
また、特に女性研究者は、結婚で姓が変わると業績の連続性が断絶するため、旧姓で論文を書く人もいた。
(割合からいうと女性研究者の方が改姓が多いが、男性研究者の改姓も所属大学であった。)

こんな苦労や混乱が起きるならば、研究者一人一人にIDを付けて、
どこに異動しようが、研究テーマが変わろうが、姓が変わろうが、同一人物だと把握できると楽だ。


しかし記事の2ページ目になると、データベースの信頼性について疑問が提示されている。
公的機関ではなく、企業がデータベースを握ることを心配する研究者もいる。
それにパスワード管理などの信頼性・安全性も完ぺきではない。

加えて、その論文を本当に誰が書いたのか調査できず、自称著者の業績になるかもしれない。
記事中にもあるが、「私は Albert Einstein だ。」 と言う人が出てくるかもしれない。

それに、亡くなった研究者の何百万という論文にIDを付けて管理するには、膨大な時間と資金が必要だ。


まあ、私はもう論文が出ることはないだろうから、あまり心配しないが、
こういった科学関連の新しい動向も、把握しておこうと思った。

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