新型インフルエンザの話題が出る前は、本年度補正予算の国会審議についての報道が多かった。
本当に経済対策・雇用対策・少子化対策になるのかどうか、様々な疑問点が提示されていた。
本予算の要求時に削られたものを、この補正予算でこっそりと復活させたり、
緊急とは思えない事業を 「○○緊急対策事業費」 と、無理やり名前を付けていることもある。
例えば農林水産省では、昨年度の第2次補正に、「国産牛肉消費拡大緊急対策事業」 2億円があった。
直接販売ルートの新規開拓による値引きと販促で、売上を増加させ、食料自給率を高める事業だったようだ。
http://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/seisan/090218_1/index.html
http://www.ssnp.co.jp/chikusan/topnews.php?entry=21580
この事業に採択された全国肉牛事業協同組合の例では、直接百貨店などに販売し、通常の3割引きにした。
実施店では売上が3倍になったというが、影響を受けた周辺の店舗も値下げに踏み切ったそうだ。
これを波及効果と言っているが、補助金をもらえなかった店舗は利益を失い、とんだとばっちりだ。
このように高学歴の官僚たちは、牛肉が安くなれば消費者は喜ぶはずだと、単純な思考回路の持ち主だ。
ということで、本年度の補正予算にも、様々な不思議な事業があるだろうと調べてみた。
文部科学省の補正予算案では、国立大学法人などに太陽光発電設備を導入するという。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/04/1261394.htm
【国立大学法人等の施設は、世界一流の優れた人材の養成と創造的・先端的な研究開発を推進するための
拠点であり、科学技術創造立国を目指す我が国にとって不可欠の基盤であることから、「第2次国立大学等
施設緊急整備5か年計画」に基づき、重点的・計画的整備の推進を図る必要があります。
この度、「経済危機対策」を踏まえ閣議決定した平成21年度補正予算案では、耐震化対策事業、太陽光発電
設備の導入、先端研究施設の整備、老朽研究施設のエコ改修等を図るため、施設整備費補助金(文教施設費)
として664億円を計上しています。】
そして一覧表を見ると、北から南まで、太陽光発電と耐震・エコ再生がずらりと並んでいる。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/__icsFiles/afieldfile/2009/04/27/1262873_1.pdf
太陽光発電設備の導入は、停電などに備えた、研究機器の電源確保ということなのか。
政府の方針として、公共施設で積極的に導入するとなっているので、補正予算に便乗したのか。
先端的な研究開発を推進するというよりは、単なる太陽電池メーカー支援でしかない。
家庭用の普及が進まない現状を見て、他省庁に先駆けて大量導入して、主導権を握りたいだけなのか。
発電量などの具体的数値は不明だが、経済産業省が縄張りの電力会社と話はついているのだろうか。
「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」 では、各省庁が連携すると書いているが。
http://www.meti.go.jp/press/20090317001/20090317001-2.pdf
また文部科学省は、新設小学校などで設置実績がある特定のゼネコンに入札させて、支援するつもりか。
耐震工事も確かに必要だが、これも特定のゼネコン支援の目的としか思えない。
それに単年度で、全ての工事が実施・完了できるものだろうか。
無理やり予算を組んで人手不足の状態にすれば、雇用が生まれると単純に考えているのだろうか。
しかし、来年度以降の継続事業が期待できないならば、結局は非正規雇用のまま、1年延命するだけだ。
私も以前、災害時電源の確保のため、体育館の屋根を太陽光発電パネルにするように主張していたから、
小中学校も含めて、各国立大学や研究機関に設置するという事業自体は認めよう。
しかし、風力発電の推進は皆無であることから、はやり裏に何かあると思ってしまう。
電力会社が風力発電を嫌っていることと、外資が狙っていることに拒否感を持つからだろう。
ついでに他省庁の太陽光発電導入についても列挙しておく。
これだけ日本各地に設置するのだから、その発電量などの地域特性を調査研究してほしいものだ。
環境省の 「国の施設のグリーン化等のための施設整備」 など。
知床世界遺産センター、ルサフィールドハウス、白神山地世界遺産センター、野生生物保護センター等、
水鳥・湿地センター、軽井沢野鳥の森休憩所、新宿御苑。
経済産業省の補正予算案については、なぜか見つからなかった。
国土交通省は、「公共建築物への太陽光発電の導入促進等」 で198億円。
設置工事から実際の発電まで、追跡する番組や記事が出るかどうか注目しておこう。
(最終チェック・修正日 2009年05月02日)
本当に経済対策・雇用対策・少子化対策になるのかどうか、様々な疑問点が提示されていた。
本予算の要求時に削られたものを、この補正予算でこっそりと復活させたり、
緊急とは思えない事業を 「○○緊急対策事業費」 と、無理やり名前を付けていることもある。
例えば農林水産省では、昨年度の第2次補正に、「国産牛肉消費拡大緊急対策事業」 2億円があった。
直接販売ルートの新規開拓による値引きと販促で、売上を増加させ、食料自給率を高める事業だったようだ。
http://www.maff.go.jp/j/supply/hozyo/seisan/090218_1/index.html
http://www.ssnp.co.jp/chikusan/topnews.php?entry=21580
この事業に採択された全国肉牛事業協同組合の例では、直接百貨店などに販売し、通常の3割引きにした。
実施店では売上が3倍になったというが、影響を受けた周辺の店舗も値下げに踏み切ったそうだ。
これを波及効果と言っているが、補助金をもらえなかった店舗は利益を失い、とんだとばっちりだ。
このように高学歴の官僚たちは、牛肉が安くなれば消費者は喜ぶはずだと、単純な思考回路の持ち主だ。
ということで、本年度の補正予算にも、様々な不思議な事業があるだろうと調べてみた。
文部科学省の補正予算案では、国立大学法人などに太陽光発電設備を導入するという。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/21/04/1261394.htm
【国立大学法人等の施設は、世界一流の優れた人材の養成と創造的・先端的な研究開発を推進するための
拠点であり、科学技術創造立国を目指す我が国にとって不可欠の基盤であることから、「第2次国立大学等
施設緊急整備5か年計画」に基づき、重点的・計画的整備の推進を図る必要があります。
この度、「経済危機対策」を踏まえ閣議決定した平成21年度補正予算案では、耐震化対策事業、太陽光発電
設備の導入、先端研究施設の整備、老朽研究施設のエコ改修等を図るため、施設整備費補助金(文教施設費)
として664億円を計上しています。】
そして一覧表を見ると、北から南まで、太陽光発電と耐震・エコ再生がずらりと並んでいる。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/__icsFiles/afieldfile/2009/04/27/1262873_1.pdf
太陽光発電設備の導入は、停電などに備えた、研究機器の電源確保ということなのか。
政府の方針として、公共施設で積極的に導入するとなっているので、補正予算に便乗したのか。
先端的な研究開発を推進するというよりは、単なる太陽電池メーカー支援でしかない。
家庭用の普及が進まない現状を見て、他省庁に先駆けて大量導入して、主導権を握りたいだけなのか。
発電量などの具体的数値は不明だが、経済産業省が縄張りの電力会社と話はついているのだろうか。
「太陽光発電の導入拡大のためのアクションプラン」 では、各省庁が連携すると書いているが。
http://www.meti.go.jp/press/20090317001/20090317001-2.pdf
また文部科学省は、新設小学校などで設置実績がある特定のゼネコンに入札させて、支援するつもりか。
耐震工事も確かに必要だが、これも特定のゼネコン支援の目的としか思えない。
それに単年度で、全ての工事が実施・完了できるものだろうか。
無理やり予算を組んで人手不足の状態にすれば、雇用が生まれると単純に考えているのだろうか。
しかし、来年度以降の継続事業が期待できないならば、結局は非正規雇用のまま、1年延命するだけだ。
私も以前、災害時電源の確保のため、体育館の屋根を太陽光発電パネルにするように主張していたから、
小中学校も含めて、各国立大学や研究機関に設置するという事業自体は認めよう。
しかし、風力発電の推進は皆無であることから、はやり裏に何かあると思ってしまう。
電力会社が風力発電を嫌っていることと、外資が狙っていることに拒否感を持つからだろう。
ついでに他省庁の太陽光発電導入についても列挙しておく。
これだけ日本各地に設置するのだから、その発電量などの地域特性を調査研究してほしいものだ。
環境省の 「国の施設のグリーン化等のための施設整備」 など。
知床世界遺産センター、ルサフィールドハウス、白神山地世界遺産センター、野生生物保護センター等、
水鳥・湿地センター、軽井沢野鳥の森休憩所、新宿御苑。
経済産業省の補正予算案については、なぜか見つからなかった。
国土交通省は、「公共建築物への太陽光発電の導入促進等」 で198億円。
設置工事から実際の発電まで、追跡する番組や記事が出るかどうか注目しておこう。
(最終チェック・修正日 2009年05月02日)