2009年11月

私は外国語が得意というわけではないが、興味があるので、いろいろと手を出している。
副業で英語とドイツ語の翻訳をしているが、仕事がないときはノルウェー語を勉強している。
ということで、語学関連の書籍を選んで読むことも多い。

今読んでいるのは、黒田龍之介著 「ぼくたちの英語」(三修社)だ。
http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3440

【「使える英語」を目指していながらも実際には使えない「英会話」「英語コミュニケーション」重視に
偏重した昨今の安易な語学教育行政・語学学習の流行とは相容れない、「本物」の英語を求めて。

若き英語教師とともに取り組む、楽しくも真面目な「課外」実習!
はたして、その先で著者が見たものは……?

~英語がなかなか身につかない人、英語をあきらめてしまった人、 学校の英語の時間がつまらなかった人、
自分の授業に悩んでいる先生たち、 そして、英語を勉強したことのあるすべての人へ。~ 】

章立ては次の通り。

0 はじめに
1 世間が期待する英語
2 教室で必要な英語
3 教師が学習する英語
4 プロ教師のための英語
5 がんばれ、新人英語教師!
番外編 英語教師の英国旅行
おわりに

「この本は、中学校や高校で英語を教えている教師に向けられた、一つのメッセージである。」 とあるが、
英語学習・英語教育に関心を持つ人であれば、著者独特の語りに興味を持って読めるだろう。

ここでは英語教師でなくても関係する、「1 世間が期待する英語」 から、一部引用してみよう。

英語教師の英語力

【世間では 「英語教師はとにかく英語ができること」 という要求が、ほかの科目に比べても
特に強いように感じる。

 外国語に完璧ということはない。
 たとえば、日本人の英語教師がネイティブ並みに英語を操ることは難しい。 …
日本人英語教師には、ネイティブにはない利点がたくさんある。なりよりも、外国語として苦労して
学習してきたからこそ、教えることができるのではないか。 …
 それなのに、世間は英語教師にネイティブのような 「ペラペラ」 を要求するのである。
 イヤな風潮だよね。】

「ホンモノ」の英語

【入試に期待を寄せる一方で、世間では 「ホンモノの英語」 を求める声も強い。

英会話重視論が、いまの英語教育では欠かせない。 … 英会話とは世間の持つ 「欲望」 のような
ものであって、それを押しとどめることは非常に難しい。

 だいたい、会話ってそんなに簡単に上達するものだろうか。 … 英会話のできることが
「ホンモノの英語」 なのだろうか。そもそも 「ホンモノの英語」 って何?】

ネイティブの英語

【≪英語教師はネイティブがいちばん≫
 これも世間に根強い意見である。

 現段階で外国語指導助手の授業は部分的である。 … 日本人教師が間に入って、はじめて
授業が成立しているのだ。 … 
≪英語教師はすべてネイティブ≫ というのは、非現実的な極論である。そんなの無理だって。】

早期から始める英語

【≪ええ、中学生からフツーに英語をやったんですが、考えてみれば、あのときすでに遅かったんですね。
道理で身につかなかったわけだ。やっぱり英語は小学生から始めなきゃ≫
 こういうことを、本気で信じている人がいるから、困っちゃうのである。

言語習得は非常に複雑な過程であり、ただ早くからやればいいってものではないはずだ。ちょっと頭を
冷やして考えれば、わかるはずなんだけど。
 ところが、それがわからない人が多数派なのである。小学生から英語をやることはよいと決まっているのだ。
それどころか議論は、どのように教えるかという点に、すでに移っている。】

遊びながら学ぶ英語

【≪小学生なんだから、難しい文法を教えてもダメだ。遊びながら楽しく、生きた英語を自然に
みにつけさせるのがいい≫
 そんなことって、可能なのだろうか。
 だって、それができるんだったら、どんな科目でも、すべて遊びながら自然に身につけさせればいいじゃん。】

英語で教える英語

【小学校英語と並んでもう一つ、高校英語の授業の一部を英語でおこなうことも世間の注目を集めており、
それに対してもこれまた賛否両論が飛び交っている。
 ここで想像してみる。授業中に英語しか使わないとどうなるか?
 答え=生徒は寝る。

 文科省が何かを思いつくと、その筋の専門家というのが雨後の筍の如く現れ、英語圏で仕入れた
メソッドをもとに、「楽しい授業」 を実践してみせる。それって本当に効果があるのか。 

クラスによってはうまくいくかもしれない。だが、そうとは限らない。日本語で説明しても理解できない
クラスが、英語でわかるはずがないのだ。

だったら古典の時間も、授業は古語のみで会話をし、ついでに着物姿で蹴鞠などすれば、いとをかし。】

皮肉の対象者には面白くないだろうが、私は著者の話に同意することが多く、相槌しながら読んでいる。
ここには記載しなかった話は、実際に本を手にとって読んでほしい。
そして日本の英語教育の不思議な一面について考えてほしい。

事業仕分けで英語教育改革総合プランが廃止となったが、小学校英語教育学会からは要望書が出ている。
やはり世間の英語に対する期待を背負う勢力は、強く抵抗するのだろう。
http://www.e-jes.org/

日本は火山国ということで、全国各地に温泉が湧き、歴史ある観光地も多い。
そして温室効果ガス削減のためにも、豊富な地熱資源の利用が検討されている。
経済産業省傘下の産業技術総合研究所にも地熱資源研究グループがあり、地道な研究が行われている。
http://unit.aist.go.jp/georesenv/geotherm/index.html

地熱学会が2008年10月に、「日本を真の地熱大国に」 という提言をして、地熱発電も宣伝しているが、
目にするニュースは太陽光発電ばかりで、残念ながら地熱利用が促進されている印象は持てない。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/grsj/news/proposal08/proposal2008.html

同じ火山国のアイスランドでは、地熱利用と水力発電を推進して、化石燃料全廃を目標にしている。
漁船などの船舶も燃料電池駆動にする計画で、燃料の水素は、水力発電による水の電気分解で調達予定だ。
アイスランド経済では水産物輸出の割合が大きく、カーボンフットプリントの改善が必須でもあるからだ。

他国の状況を調べていたら、スイスでも温泉水を、熱帯植物園の温室や魚類の養殖で利用していた。
スイスアルプスにある植物園のHPは次の通り。
http://www.tropenhaus-frutigen.ch/ (ドイツ語)
http://www.tropenhaus-frutigen.ch/en.html (英語)

スイスのニュースを伝える日本語サイトでは、去年取り上げていた。
http://www.swissinfo.ch/jpn/front.html?siteSect=108&sid=10097585&cKey=1229423791000&ty=st

その中で注目されているのは、チョウザメとコチョウザメの養殖とキャビア生産の研究である。
http://www.tropenhaus-frutigen.ch/fischzucht.html (ドイツ語)
http://www.tropenhaus-frutigen.ch/en/fish-farming.html (英語)

この話題を取り上げたドイツの新聞 Hamburger Abendblatt の記事は次の通り。
http://www.abendblatt.de/ratgeber/wissen/article1277205/Der-Stoer-der-aus-den-Alpen-kommt.html

鉄道用トンネルから毎秒 100リットルの温泉水が湧出しており、この温水を温室と養殖に利用している。
チョウザメの生育に適した水温は 15℃から 20℃である。
温泉水を利用することで、水温維持の燃料が不要なのでエコな養殖だ。
加えて、温泉水には細菌やウイルスがほとんど含まれておらず、殺菌剤が不要な点も利点である。

2005年から研究を始め、常に約6万匹を養殖できる条件を最適化しているところだ。
金儲けが目的ではないと言うが、チョウザメは切り身にする他、やはりキャビア生産が期待されている。

キャビアは高級珍味として根強い需要があるが、ロシアやイランでは過剰漁獲と密漁で生産量が激減した。
政府認証の偽造や密輸の問題もあるので、素性が明らかなキャビアの方が好まれるかもしれない。
まあ、貧乏な庶民には無関係かもしれないが。

毎年様々な法律や条例だけではなく、省庁の発する通達や規則が山ほどある。
日本人は自由を制限することが好きなのか?
それとも、自分で判断したくないので、誰かが決めたルールに従う方が楽なのか?

トラブルを回避するためにルールがあると信じたいが、そのルール自身がトラブルの原因となることもある。

具体例は、たくきよしみつ著 「日本のルールは間違いだらけ」(講談社現代新書)にある。
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=288017

【漢字の混乱、危ない交通規則、猥褻の基準、公職選挙法……
じつは世の中こんなにいい加減だった!

実は世の中こんなにいい加減!幽霊文字まであるJIS漢字に、人を殺す交通ルール。
クルクル代わる「猥褻」基準や不条理な選挙……。日本社会にはびこるおかしなルールを徹底解明。】

章立ては次の通り。

第一章 日本語のルールはこんなにおかしい
第二章 交通ルールの間違い(バグ)で殺される
第三章 性風俗は曖昧ルールの九龍城
第四章 法律はお上のご都合次第
第五章 公職選挙法という不条理


第一章では、日本語の表記が定まっていないことに触れている。
外国人への日本語教育でも、日本語の正書法が存在しないことが問題となっている。
まあ、漢字が書けないときに、かな書きで代用できるのは便利だが、ローマ字や漢字の規則には不備がある。

ローマ字表記は小学校で習うが、特に長母音をどう表記するかが問題である。
「交番」 を 「KOBAN」 と、短母音と区別せずに表記するため、「小判」 と勘違いするだろう。
漢語の同音異義語も苦労するのに、「YUKO」 は人名なのか、「有効」 なのか 「友好」 なのか。

漢字の問題では、いつも常用漢字と人名用漢字の話題が取り上げられる。
最近は、使用頻度が低い漢字の知識が注目されているが、報道や人名に使える漢字は制限されている。
馴染みがなく、難読と呼ばれる漢字には、読み仮名をつければ済む話だが、なぜか制限が好きなようだ。

常用漢字の不備とは、日常的に使う漢字よりも、「朕・璽」 など特定分野の漢字が優先されていることだ。

さらに人名用漢字では、和文タイプの時代を引きずっているのか、未だに制限がある。
今では通常のワープロソフトでも3000字以上を使えるのに、入力作業の軽減のためなのだろうか。
子どもの命名は家族の自由な権利であり、国がこの漢字しか使えないと制限するものではない。

最近話題の漢字に 「玻」 があるが、人名用漢字として認めてほしいそうだ。
同様の意味の 「瑠」 も 「璃」 も認められているのに不公平だという。
この 「玻」 は 「水晶・宝物・美しいもの」 という意味なので、女性名にはふさわいしいだろう。
画数も少なくて書きやすいし、美しい名前だということで、裁判所も認めてあげてはどうだろうか。
http://www.asahi.com/national/update/1104/NGY200911040004.html

ただし同じ要望でも、漢字の意味を無視して人名用漢字に登録してほしいということもある。
例えば、「腥」 は、「月と星で美しいから」 という要望理由だった。
しかし、この漢字の意味は 「生臭い」 なので、この名前で子どもが喜ぶかどうかは疑問だ。

ということで、名前にふさわしくない漢字を制限しろと言う人もいるが、過去にはひらがなであっても、
口にするのもはばかるような、放送禁止用語的名前もあったから、漢字制限にこだわるのも不思議だ。

親が子供に名前の由来を説明できればいいわけだし、嫌な名前ならば子どもが自分で改名すればいい。
名前という個人的な問題にまで国家がかかわるというのも変な国だ。


加えて、これは他の漢字関係の書籍でも取り上げられているが、いわゆる 「幽霊漢字」 の問題だ。
有名なのは 「山一女」 と呼ばれる 「妛」 である。
ある地名で、山の下に女と書く文字があったが、活字がないので山と女を貼り合わせて作った。
印刷または複写の時に山と女との間に影ができたようで、字体を 「妛」 と勘違いして登録してしまった。

他にも由来が不明の文字が漢字として、なんとJIS登録されている。
元々存在しなかった幽霊漢字を登録しているのに、人名用漢字を制限するという矛盾がある。


他の章でも、几帳面な日本人が作ったとは思えない、不備だらけのルールが紹介されている。
この曖昧さと責任転嫁、そして問題先送りが、実は日本人の本質なのかもしれない。

「日経マネー」 2010年1月号の特集記事は、「ホンキで作る自分年金1億円」。
投資で自分年金を作るというのは、節約ネタと共に定番の記事である。
http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/0iaa/104438/mokuji.pdf

【リタイア後におカネの心配をせずに暮らせるめど、自分年金1億円。
その実現に向けて、サラリーマンの収入と家計の現状分析、具体的な殖やし方を紹介します。】

この記事を参考にしたいが、私は退職金がない契約だし、一人暮らしの予定なので、前提がかなり異なる。
記事にあるように、65歳でリタイア、82歳で死ぬとして、月35万円の生活費では 7,140万円となる。
ここでは、余裕ある一人暮らしで月30万として、6,120万円を用意するという前提にしておこう。

私が国民年金に強制加入となったのは25歳になってからで、この時点で5年分の加入月が欠けている。
加えて、学生時代や失業時の納付免除があるので、この点でも不利である。
現時点で追納可能なのは4か月分あり、64,760円を追納すると、年間の年金受取額は 6,500円増加する。
それでももらえる国民年金は、年間約66万円と少額である。

厚生年金に加入したのも33歳からと遅く、この点でも非常に不利である。
今後の労働契約がどうなるか不明なので、標準報酬月額が変わらないという仮定にしてみよう。
すると、厚生年金でもらえる金額は、年間でわずか約71万円である。

ということで、今の制度の公的年金は年間約137万円で、死ぬまでに 2,329万円もらえる予定だ。
老後資金の必要金額は 6,120万円だから、残り 3,791万円を自分で用意しなければならない。


確定拠出年金(個人型)では、現在の資産評価額に今後の掛金を加えると、約 500万円となる。
運用益を加えて、550万円になると仮定しておこう。

住友生命の個人年金 「たのしみ一番」 では、65歳から10年間の年金合計が約 514万円。
日本生命の個人年金 「年金名人」 では、同様に10年間の年金合計が約 300万円。
「年金名人」 の契約をもう一本追加予定で、これは10年間の年金合計が約 400万円。

確定拠出年金と個人年金を考慮しても、あと 2,027万円もある。
運用せずにこの金額を用意するには、これから毎月 10万円の積立が必要である。
うまく運用すれば、月9万円くらいの積立で可能かもしれない。

ただし今後5年間は、個人再生の返済があるので、目標金額の積立は困難である。
ということで、ボーナスと翻訳料金の年間合計約 190万円のうち、半分の 95万円は積立に回したい。
すると月当たり約8万円となるから、節約して月1万円の積立を継続すればいいだろう。
翻訳料金は予想を下回る可能性もあるので、できれば月2万円の積立を確実にしたい。

確定拠出年金と個人年金は基本的に10年給付で終了するので、75歳以降の老後資金を考慮しなければ。

目標達成のために12月は、冬のボーナスの使い道の他、個人再生を考慮した予算作成をしておこう。

追記(11月30日):
企業型の確定拠出年金では、65歳まで掛金拠出ができるそうだ。
個人型も同様に延長されれば、5年間で 138万円増える。
すると個人で準備する金額は、1,889万円となる。

(最終チェック・修正日 2009年11月30日)

menschengemacht 形
人為的な,人工の,人間が引き起こした

Ein Aufschrei ging in den letzten Tagen durch die Presse – und die sogenannten "Klimaskeptiker",
also Leugner einer menschengemachten Erderwärmung, lachten sich ins Fäustchen: International
renommierte Klimaforscher werden als Scharlatane und Fälscher öffentlich angeprangert.
ここ数日報道界に、激しい怒号が響いた。そしていわゆる「温暖化懐疑派」、つまり人為的地球温暖化の否定論者は、ひそかにほくそ笑んだ。国際的に評価が高い気候学者が、いかさま師や偽造犯であるとして公開の場で厳しく追及されている。
("Cyberkriminalität: Der Klimadaten-GAU", ZEIT ONLINE, 25.11.2009,
http://www.zeit.de/wissen/umwelt/2009-11/Datenklau-klimaforscher


sich3 ins Fäustchen lachen ((比)) ひそかにほくそ笑む<痛快がる>

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