2010年09月

bewohnbar 形
住むことのできる,居住に適した
bewohnbare Zone
(engl.: habitable zone) ハビタブルゾーン,生命居住可能(領)域「宇宙で生命が誕生・生存可能と考えられる天文学上の領域」

Um den 20 Lichtjahre entfernten Stern Gliese 581 kreisen gleich sechs Planeten. Einer zieht
seine Bahn in der
bewohnbaren Zone des Sterns und ist der bislang erdähnlichste Planet, den
die Astronomen aufgespürt haben.
20光年離れた恒星Gliese 581の周囲を、同様の惑星6個が公転している。そのうち一つはその軌道が、この恒星のハビタブルゾーン内にあり、天文学者たちが探し出した、これまで最も地球に似た惑星である。
("GLIESE 581G: Wie die Erde und doch ganz anders", astronews.com, 30. September 2010,
www.astronews.com/news/artikel/2010/09/1009-040.shtml

嗅覚系の研究により、Richard Axel 博士と共にノーベル医学生理学賞を受賞した Linda B. Buck 博士は、中国人ポスドク Zhihua Zou との共著論文について、2008年に続いて先週も、2報を追加で撤回することを発表した。

2008年の撤回は、Nature, 2001, 414, 173-179 の論文に対してであった。
www.nature.com/nature/journal/v452/n7183/full/nature06819.html

そして先週撤回したのは、次の2報である。
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2005, 102, 7724-7729.
www.pnas.org/content/early/2010/09/20/1000897107

Science, 2006, 311, 1477.
www.sciencemag.org/cgi/content/full/329/5999/1598-a (会員のみ)

2008年の撤回時と異なるのは、第一著者の Zou 博士が、撤回に同意していないことである。

2004年のノーベル医学生理学賞と、L. B. Buck 博士については、ノーベル財団のサイトを参照。
nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2004/press.html
nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2004/buck-autobio.html

プレスリリースの最後に引用されているように、受賞対象となった論文は、1991年の Cell に掲載された論文である。
Cell, 1991, 65, 175-187.
download.cell.com/pdf/PII009286749190418X.pdf

ノーベル賞受賞の対象となった研究自体には疑問点はなく、この研究分野への影響が小さいことを祈りたい。
ただ、今回も含めて3報の撤回、それも有名学術誌の論文の撤回というのは、研究者の経歴にはダメージとなる。
間違った論文を元に、再現してみようとした研究者は、時間と資金を無駄にしたので、立腹しているかもしれないが。



実験結果が再現できないという論文の存在は、有機化学の分野でも毎年報告されているし、私も何度か、大学院生だけではなく、教授も含めて、ウソつき・ホラ吹きに出会っているので、自分が再現実験するまでは怪しいと考えている。

ある研究室では、新しい実験結果が得られた場合、別の研究員が再現実験をしてから論文にするという。
論文にしてから、他の研究室に間違いを指摘されるのは恥だから、時間はかかるが、同じ研究室内で確認することは大切だ。
やはり科学では再現性が重要なので、ゴッドハンドを持つ誰かだけが実現できるという実験は、発表しない方がいい。

特に医薬関係の特許では、特許実施例通りに合成しても、目的物が全く得られないという場合がある。
活性が一番良い化合物、つまり有力な医薬品候補化合物の場合に、再現できないケースが多い。

特許の場合は企業の戦略的目的もあるが、アカデミックからの論文だけは、真実を書いてほしいと思う。

有名な研究者の元には、優秀な若手研究者が全世界から集まるという利点があるものの、それとは逆に、箔付けのためにポスドクとなることを希望したり、他人の実験を邪魔して評価を下げさせたり、実験ノートを盗み見てまで自分の手柄にしたりと、困ったことも発生する。

競争社会というものは、必ずこういった負の側面を持つものだと再認識した。

派遣社員だったときに、収入増を期待して始めた副業翻訳だが、年間100万円を超えたことは一度もない。
数社に登録しているものの、休日中心の副業では作業量が限られ、期待通りに仕事量は増えないものである。

それでも今週納品した翻訳で、今年の料金合計は約65万円となり、100万円に一歩近づいた。
源泉徴収10%なので、手取りが100万円にはならないが、ボーナスが1回増えたことに相当する。
まあ、地道に続けて、定年後も翻訳ができれば、公的年金が少なくても、飢え死にすることはないだろう。

先月の 「通訳翻訳ジャーナル」 に、「土日に○時間だけという細かい制限をつける人には頼みにくい」 という、
ある翻訳会社側の本音が書いてあったが、確かに、土日をまたがずに平日のみ5日で50ページを訳すなど、私には無理な案件だ。

年末年始や連休のときならば、少し長めの案件も受けられるが、そんなときに限って依頼は来ないものだ。
それで短い案件の他は、納期がのんびりした外資系メーカーとの直接取引だけである。

何年か前、英文和訳でワード単価7円という低価格を経験したが、これは公的機関の競争入札のため安くなった。
現在取引している外資系メーカーは直接取引で、翻訳会社の手数料分がないので、収入増に寄与している。
ということで、あと3か月で2件受注できれば、100万円になるかもしれない。
この収入で、奨学金の返済と、専門書の購入費に充てようと思う。

しかし夏休みが使えた先月は骨折で、20万円の案件をキャンセルしたが、それがあれば既に85万円だったはず。
副業で翻訳するには、時間管理や体調管理と共に、交通事故に遭わないという運も必要だろう。

auf|nehmen* nahm auf/aufgenommen
I 他 (h)
2 (外部にあるものを中に)受け<取り>入れる,収容する,迎え〔入れ〕る,歓迎する,加入させる,参加<入会・入党>させる;掲載する;受容<摂取>する;(心の中に)受け取る,解する

Bäume nehmen über ihre Blätter CO2 auf, sie speichern den Kohlenstoff beim Wachstum -
und entfernen damit CO2 aus der Atmosphäre, das die Luft wärmt.
樹木は葉を通してCO2を吸収し、生長時に炭素を貯蔵する。そして空気を暖めるCO2を大気から除去する。
("Treibhausgas: Europas Bäume speichern weniger CO2", SPIEGEL Online, 19.08.2013,
www.spiegel.de/wissenschaft/natur/treibhausgas-europas-baeume-speichern-weniger-co2-a-917274.html

3 (仕事・交渉・戦いなどを)始める,開始する

Schon die Tatsache, dass der Trojaner zuerst in Iran auftrat, ließ Spekulationen darüber
aufkommen, Ziel des Computervirus sei es, den Betrieb des ersten iranischen Atomkraftwerks
in Buschehr zu stören, dass im Oktober die Arbeit
aufnehmen soll.
このトロイの木馬型ウイルスが最初にイランで出現したという事実から既に、10月に運転開始予定の、ブシェールにあるイラン初の原子力発電所の稼働を妨害することが、このコンピューターウイルスの目的ではないかという推測が流布された。
("Computervirus in Industrieanlagen: Iran bestätigt Hacker-Angriff durch 'stuxnet'",
Frankfurter Allgemeine Zeitung, 25. September 2010,
www.faz.net/s/Rub868F8FFABF0341D8AFA05047D112D93F/Doc~E3C4587CAA7DD4D7583954AAE9B3F3A7C~ATpl~Ecommon~Scontent.html

(最終チェック・修正日 2013年08月19日)

週末に作業したドイツ語和訳のファイルを予定よりも早く納品できたので、ドイツのニュースサイトをざっと見ていた。

すると、シーメンス社のシステムを攻撃するトロイの木馬型ウイルス、Stuxnet がイランでも検出されたとあった。
Frankfurter Allgemeine Zeitung の9月22日と25日の記事は次の通りで、工場などで約3万台が感染したという。
http://www.faz.net/s/RubCEB3712D41B64C3094E31BDC1446D18E/Doc~E8A0D43832567452FBDEE07AF579E893C~ATpl~Ecommon~Scontent.html (9月22日)
http://www.faz.net/s/Rub868F8FFABF0341D8AFA05047D112D93F/Doc~E3C4587CAA7DD4D7583954AAE9B3F3A7C~ATpl~Ecommon~Scontent.html (9月25日)

ドイツのシーメンス本社では、この Stuxnet に関する情報を提供している(英語)。
ウイルス情報は随時更新されており、感染した場合の対処法も掲載されている。
http://support.automation.siemens.com/WW/llisapi.dll?func=cslib.csinfo〈=en&objid=43876783&caller=view

シーメンス・ジャパンのサイトで検索しても、ドイツ本社のサイトにリンクするだけで、日本語情報は得られない。
日本語でウイルス情報を知りたい場合は、例えば、マカフィーとシマンテックでの説明を参考にしてほしい。
http://www.mcafee.com/japan/security/virS.asp?v=Stuxnet
http://www.symantec.com/ja/jp/security_response/writeup.jsp?docid=2010-071810-1516-99

AFP記事にあるように、シーメンス社の特定のシステムを狙っているので、危険度は中程度と思われるが、
イランの原発の稼働を邪魔するために、あるハッカーが攻撃したのではないかと推測されている。

イラン政府は25日土曜日になって初めて、国内の工場などの施設で、約3万台のコンピューターが
Stuxnet に感染していたことを公式に認めたが、原発のコンピューターについては不明のままだという。

このウイルスは、施設の稼働状況などのデータを国外に転送するそうなので、
イランのブシェール原発の稼働阻止だけではなく、出力などのデータを盗みたかったのかもしれない。

または、企業スパイの活動の一つとして、工業施設を狙うウイルスが開発されたのかもしれない。

イランのアハマディネジャド大統領は、国連演説で強気な発言を延々と続けていたが、
この原発稼働が遅れているので、本当は冷や汗をかいているのかもしれない。

追記(9月27日):
ブシェール原発の責任者は、従業員のPC数台が感染したが、原発の稼働計画に支障はないと発言している。
例えば、ウォール・ストリート・ジャーナル日本版の記事は次の通り(注:米国で感染報告なし、とは間違い)。
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_108794

今回の追加発表で、イランの原発をターゲットにしたというサイバー攻撃説について、様々な憶測が出てくるだろう。

追記(10月2日):
S?ddeutsche Zeitung などのドイツメディアも、このウイルス感染について連日報道している。
イラン政府は、「破壊活動を試みた核スパイを逮捕した」 と発表した。
また、シーメンス社のクライアント企業のうち、ドイツで5社、アメリカとアジアで合わせて10社で感染が確認された。
http://www.sueddeutsche.de/politik/nach-cyber-attacke-iran-verhaftet-atom-spione-1.1007472
http://www.sueddeutsche.de/digital/gefaehrliches-schadprogramm-computer-virus-stuxnet-trifft-deutsche-industrie-1.1007379

ウイルスが見つかったのは、発電所、化学工場、工業製品工場で、既に駆除済みで、操業停止はしていないという。

追記(10月4日):
AFP日本語記事でも、「核スパイ逮捕」 の情報が出ている。
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2763592/6282630

(最終チェック・修正日 2010年10月04日)

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