2012年02月

私の本業は医薬メーカー子会社の研究員だが、中途採用ルールの制約により、1年契約の契約社員である。
正社員よりは年収は少ないものの、派遣社員のときよりは増えており、2011年は税込約572万円であった。
先日は、来年度の契約更新手続きがあり、8千円強のベースアップが提示されたが、それでもまだ、年収600万円には達していない。

ということで、副業の翻訳で稼いで、税込年収600万円以上とすることを、毎年の目標にしている。
しかし、東日本大震災後の不況もあって依頼が激減し、プラス22万円にしかならなかったため、年収は税込約594万円にとどまった。
必要経費も請求書の郵送料80円のみだが、源泉徴収10%では払いすぎだし、寄付金控除などもあるので確定申告する必要がある。

以前の申告では、手引きを見ながら手計算をして、何度も確認しながら金額を記入していた。
数年前からは、国税庁の確定申告作成コーナーを利用していおり、面倒な計算や項目の判断が簡単になった。
www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/index.htm
www.keisan.nta.go.jp/h23/ta_top.htm

翻訳での必要経費や、寄付金控除を申告するため、私の場合はすべての収入を申告しなければならない。
つまり、株式配当や投資信託分配金など、少額であっても申告する必要がある。
少額でも、脱税していないことを証明するためでもあるが。

最終的に約1万1千円の還付になる予定。
申告書を作成する時間や、申告会場まで自転車で30分もかけて行く手間を考えると、あまりにも少ない金額に思える。
ただ、1か月分の昼食費が戻ってくると思えば、悪くない金額だろう。

税制は毎年変わると言ってもよいくらいで、今回の申告では、寄付金控除の種類が増えたことが面倒だった。
「認定NPO法人」と「公益社団法人等」に分かれたので、計算方法が変わった。

自然保護団体のWWFジャパンは、2011年2月1日に、財団法人から公益財団法人に変わった。
これは国の制度変更に伴うもので、これまで通りに寄付金控除の対象とするためである。
www.wwf.or.jp/news/2011/02/wwf_4.html

年会費1万円と他の寄付金1万円の合計2万円が、「公益社団法人等寄付金」として計算される。
そして特別控除額は7200円となった。

また、毎月1千円の寄付をしている「国境なき医師団」は、認定NPO法人のままで、計1万2千円の寄付金は別に計算される。
こちらの特別控除額は4800円となった。



作成コーナーで区別して入力すると、自動的に計算してくれるので、選択を間違えなければ大丈夫だ。
合計で1万2千円の税金が控除されるため、国境なき医師団への寄付金が丸々控除されたようなものだ。

現在作業中の翻訳では、源泉徴収後に約50万円の翻訳料金が振り込まれるから、ドイツ旅行の費用を引いた残りから、震災復興関連も含めた寄付金を検討しよう。


(追記:3月17日)
税務署から国税還付金振込通知書が届いた。
申告した 11,035 円は全額認められた。
手続き開始日は3月16日となっていたが、当日に振込は無理なので、週明けの19日には指定銀行口座に入金するだろう。

約1万円が戻ってきたが、今日は歯周病が原因で抜歯したし、これからブリッジ作成になるので、治療費に消えてしまう。
まあそれでも、毎月の予算から臨時の医療費をねん出するのは大変なので、ありがたいことだと思うことにしよう。
それにこの還付金は、元々納めすぎた税金であり、私のお金なのだから、堂々と使うことにしよう。

(最終チェック修正日 2012年03月17日)

朝日新聞の記事によると、東京都教育委員会が、早稲田大学法学部を受験した都立高校の学生数を調査していたという。

早稲田大学(東京都)法学部が15日に実施した入試の問題文で日の丸・君が代をめぐる教員処分問題を取り上げ、これに対し東京都教育委員会が、一部の都立高校に同学部の受験者数について異例の調査をしていることがわかった。…

日の丸・君が代の問題を扱ったのは、…選択科目の「政治・経済」で、…問題文は「卒業式や入学式で君が代を斉唱するときに、教員に対して起立することを命じ、起立しない教員を処分するという措置の合憲性が争われている」などとし、思想の自由や学校行事の円滑な遂行など様々な考え方を紹介し「教育には強制はふさわしくないのではなかろうか」と締めくくっている。
続く設問は、都の場合として「不起立者に懲戒処分を課しているのは誰か」と尋ね、校長、教育委員会、知事、都議会、文部科学大臣から選ばせる問題など。「起立命令と最も近い形態を選べ」として、宗教などの事例を挙げて選択させる問題もあった。

都教委は都立高校教員に対して、卒業式での君が代斉唱時に起立することなどを通達で命じている。
早稲田大学の入試問題で、不起立を理由にした懲戒処分などが取り上げられたため、都知事の意向に忠実な都教委にとっては、どうしても無視できないことだったのだろう。

君が代斉唱時の不起立で、懲戒処分を受けたある都立高校教員の話を聞いたところ、毎回C評価で俸給が上がらなくても、自分の信念を曲げることはできないとのことで、不起立を続けるそうだ。

都教委では毎年度、公立学校卒業者の進路調査をしており、その結果は公開されている。
大学進学者も調査対象で、学部別・男女別・高校の科別のエクセル表がダウンロードできる。
www.kyoiku.metro.tokyo.jp/toukei/23sotsugo/toppage.htm

一部の都立高校では、進学校としての伝統復活を目指しているため、有名大学合格者数を競っている。
受験者数と合格者数、そして実際に入学した大学については、各高校で把握しているわけだが、都教委が特定の大学の、しかも特定の学部の受験者数を調査するとういう話は初耳である。

そして、今後受験させないようにだとか、私学援助縮小の可能性を匂わせるなど、政治家を使うなど裏で圧力をかける意図があるのかもしれない。

法学部の入試問題を作成した教員はわからないが、入学してくる学生に期待する能力・資質を試したかったはずだ。
身近な時事問題と、憲法・人権・思想の自由について、関連性を持って考えている学生がほしいということではないか。
それは各大学・各学部が決めた方針なのだから、都教委が文句を言うとなれば、大学の自治への挑戦である。


石原都知事の意向を反映しているのか、思想統制を使命としているかのようだ。
HPに都教委の仕事として、「君が代斉唱時の起立の強制」と書けばいいのに。
加えて、情報公開の推進をしているそうだから、今回の異例の調査結果も、目的とともにぜひ公表してほしいものだ。
まあ、ある年の園遊会で天皇から、「強制にはならないように」と注意を受けたから、表立った活動はしないことだろう。

ところで、卒業式という記念すべき場では、国歌よりも生徒たちの心に残る歌があるはずだ。
その思い出の歌などをクラスごとに合唱してもいいし、何かのパフォーマンスをしてもいい。
新時代を生み出すべき21世紀にふさわしい、あまり形式的ではない自由な発想の卒業式をしてほしいものだ。

日本と比較してヨーロッパでの報道では、アフリカや中東のニュースが多い。
地理的に近いことや移民を受け入れていることもあるが、現在の混乱の原因が、過去の植民地支配などにあるという反省もあるのか、政府やNGOの人道的援助活動、そして人権問題についても毎日報道されている。

中東問題の報道では、今はシリア、イラン、イスラエル関連が多い。
特にイスラエル建国に関しては、イギリスの二枚舌外交が批判されてきた。
加えて、キリスト教国が主体のヨーロッパではユダヤ人嫌いの感情が実は根深く、ユダヤ人をパレスチナの地に追いやる口実を作ったとも非難されてきた。

パレスチナ分割自体が無理な話だったのに、イスラエルが建国宣言をしてしまい、その後の争いは泥沼化している。
イスラエルに対するテロ攻撃の報道が多いが、イスラエル軍の反撃で
は実は、ハマスなどとは無関係の民間施設やインフラをターゲットにして破壊している(空港や病院、学校、灌漑設備、ボトルドウォーター工場など)。

また、パレスチナ側の視点からのドキュメンタリー番組を見ると、小学生に銃を向けてかばんの中身を検査するイスラエル兵や、パレスチナ人の商店や家屋を破壊したり、道を歩くパレスチナ人に投石するユダヤ人の子どもなど、嫌がらせ行為がたくさん出てくる。
特に、子どもは逮捕されないため、イスラエル人入植者の親は自分の子どもに命じて投石などの嫌がらせをさせて、パレスチナ人が街を出て行くように精神的プレッシャーをかけている。
「ヘブロンはユダヤ人のものだ。旧約聖書の時代から決まっている。」と、カメラに向かって怒鳴っているユダヤ人も映っていた。

ガザ地区が一番悲惨な状況だが、ヨルダン川西岸もイスラエルによる破壊活動が深刻な問題となっている。
電力や水などの必須資源はユダヤ人入植者が優先して利用し、都市部に住んでいないパレスチナ人のほとんどは、電気も灌漑用水も使えない。

こういった状況を改善しようと、世界各国は援助活動をしており、日本もODAで汚水処理施設や太陽光発電設備の建設に協力している。
www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/gaiyou/odaproject/middleeast/plo/contents_01.html

ただし日本の援助は、イスラエルがあまり文句を言わないA地区・B地区が中心で、郊外のC地区への援助は少ないようだ。
C地区ではイスラエルの許可がないと、人道的援助であったとしても、何も作ることはできない。

それでもEU各国やNGOは、C地区に簡易な太陽光・風力発電設備を設置して、パレスチナ人の生活向上に貢献しようとしている。
しかしイスラエル政府は、テロにはつながるはずもない人道的援助による発電設備も、法律違反として破壊することを決めた。


ヘブロン南部で太陽光発電などの持続可能な開発活動をしている、イスラエルの Comet-ME のHPは次の通り。
www.comet-me.org/index.html

このCOMET-MEと共同で、太陽光・風力発電設備を設置しているドイツのNGO、Medico International のHPと、イスラエル政府の発電設備撤去決定への抗議は次の通り。
www.medico.de/en/
www.medico.de/en/themes/war/documents/israeli-authorities-plan-to-demolish-a-project-of-medico-and-comet-me-in-the-west-bank/1219/

この援助には、ドイツ人の税金が使われているから、ドイツの報道として SPIEGEL Online の記事を引用しておく。
www.spiegel.de/politik/ausland/0,1518,814884,00.html

ヘブロン南部で太陽光発電などの持続可能な開発活動をしている、イスラエルの Comet-Me のHPは次の通り。
www.comet-me.org/index.html

このCOMET-MEと共同で、太陽光・風力発電設備を設置しているドイツのNGO、Medico International のHPと、イスラエル政府の発電設備撤去決定への抗議は次の通り。
www.medico.de/en/
www.medico.de/en/themes/war/documents/israeli-authorities-plan-to-demolish-a-project-of-medico-and-comet-me-in-the-west-bank/1219/

この援助には、ドイツ人が払った税金が使われているから、ドイツの報道として SPIEGEL Online の記事を引用しておこう。
www.spiegel.de/politik/ausland/0,1518,814884,00.html

大半のパレスチナ人は、電気も上下水道もない劣悪な生活環境に置かれている。
照明などでどうしても電気が必要な場合は、ディーゼル発電機を短時間だけ使っていることが多い。

そのため援助団体は、太陽光・風力発電設備をヘブロン南部に設置して、約1500人のパレスチナ住民にエコ電力を供給していた。
十分な電力とは言えないものの、そのおかげで、夜になっても子どもたちは学校の宿題ができ、バターやチーズを冷蔵庫に保存できるようになった。
また、テレビも視聴できるため、外の世界で何が起きているのか知るようにもなった。

しかし、このようなパレスチナ人の生活改善事業は、イスラエル政府にとっては最も気に入らないことの一つだ。
しかも、イスラエルの許可なしには何の設備も建設できないC地区なので、人道的援助であっても破壊するという決定をした。

以前、NGOとEUがガザ地区の空港に3800万ドルを支援したとき、イスラエルは安全保障上の問題ということで爆撃した。
ただし今回の太陽光・風力発電設備が、テロ攻撃などの、安全保障上の問題につながることはないはずだ。
テレビやPCを手にすることで、外部の情報が入ることを懸念したのかもしれないが、荒れ野で放牧している羊飼いたちが、テロリストになるとは考えすぎだ。

今回のイスラエルの破壊活動により、ドイツ政府が投じた60万ユーロの支援ががれきに変わってしまう。
パレスチナ人のために何もしてはいけないのならば、設置工事前にプロジェクトの中止を命令することもできたはずだ。
発電設備が完成し、その電気の恩恵を喜んでから、頃合いを見計らって破壊するのは、単なる嫌がらせとしか思えない。
業者や労働者にとって60万ユーロは、経済的恩恵になったかもしれないが、後に何も残らないのでは無駄使いである。


そして、パレスチナ(ガザ地区も含むC地区)への援助は絶対に認めないという、EU諸国に対するイスラエル政府の警告ということだろう。

2週間ほど前に、ドイツ外相がネタニヤフ首相と会談したとき、イラン問題などとともに、このヘブロン南部でのエコ電力設備破壊作戦についても話題となった。
しかしイスラエル政府は、占領地への入植を止めようとしないし、パレスチナ人への援助を妨害し続ける意志が固いようだ。

Comet-Me はイスラエルの人道援助NGOなのに、イスラエル政府が邪魔をしている。
イスラエルとパレスチナの和解を望む国民(穏健派ユダヤ人)もいるが、右派政権では実現不可能なことだろう。
和平実現を目指したラビン首相を暗殺したのは、パレスチナ人テロリストではなく、ユダヤ人であったことを忘れてはならない。

ところで、日本のパレスチナ暫定自治政府に対するODAは、期待通りの成果をあげているのだろうか。
後で調べてみよう。


2011年の翻訳受注実績は、わずか1件にとどまり、収入も源泉徴収後に約4万円とわびしいものだった。
前年納期分の振り込みがあったので、年間収入としては20万円程度になったものの、毎年目標にしている100万円は一度も達成できないままだ。

ところが今年の状況は一変し、1月に2件の依頼があり、さらに今月からデータベース翻訳プロジェクトも復活した。
これはワード数の多い案件なので、4月中旬までかかる予定だ。
現時点での翻訳料金収入の見込みは、税込約60万円を超えている。
ということで今年は、目標額を初めて達成できる年になりそうだ。


ちなみに、1月受注分のうち1件は、英訳チェッカーの有料トライアル課題ということで、短いものだった。
すると今月初めに、クライアントから合格の通知が来たとのことで、全文を英訳したものをチェックすることになった。

当初、トライアル課題の日英翻訳者には一人だけが選ばれ、化学と生物という異なる分野を英訳した。
本来は生物系が専門とのことだが、本人が化学もわかると主張したことや、他の化学系翻訳者が見つからなかったこともあり、翻訳会社はその一人に任せたようだ。

私が受け取った英訳は、生物では訳抜けが見つかったものの、専門分野だということもあり、それほど修正点はなかった。
しかし化学は、日本語文章の内容把握が不足しているようで、私が全部英訳した方が早いと感じた。

このことを正直に翻訳会社に伝えると、「実は英語ネイティブが翻訳しています」という驚きの回答だった。
化学は別の翻訳者を探した方がいいと助言したところ、2日以内に見つけてきて、新しい英訳が届いた。
こちらの方が比較的まともな英訳だったので、翻訳者2名でチェッカーは私という新体制で、トライアル課題に取り組むことになった。

「比較的まともな英訳」とは言ったものの、専門用語を誤訳していたり、科学英語の特徴を知らないという印象を持った。
つまり、英語ネイティブ、しかも英語本家のイギリス人であっても、誰もが科学英語の文章を書けるわけではないのだ。
立場を変えれば理解しやすいと思うが、日本語ネイティブの日本人でも、全員が正確な科学記事を書けるわけではないということを。

大学では化学系専攻という経歴とのことだったが、「原子量 = atomic weight」と、「 原子質量 = atomic mass」との区別ができていなかった。
また、「モル吸光係数 = molar absorption coefficient」についても、IUPACが使用しないように勧告している「molar extinction coefficient」と書いていた。
加えて、化合物名の書き方でもケアレスミスがあったので、少々がっかりしている。

生物の英訳では、トライアル時点と同様に訳抜けと誤訳が複数個所あるし、内容が理解しにくい部分もあった。
本人も不可解な英語にしかならないとコメントしていたので、仕方なく私がその部分を全部書き変えた。


誤訳で一番驚いたのは、「酸素 = oxygen」を、「酵素 = enzyme」としていたことだ。
翻訳者でもある私があえて擁護すれば、日本語原稿では漢字の細かい部分がつぶれて判別しにくくなっているため、勘違いしたとも推測できる。


私もFAX原稿をもらった時、「なんだこれは」と大声を出したくなるほど、読めない単語がいくつもあった。
ただ、変形した形状から元の文字をなんとか推測して、文意に合致する単語を見つけ出すことは可能であった。
今回のネイティブ翻訳者も、文章全体を理解していれば、文意に合致する単語は「酸素」だと気付いたはずだ。
そして生物系が専門であれば、自分の英文を読んでみて、科学的にありえないことを書いたと感じなければおかしい。

人間は誰でもミスをするし、私も誤訳や訳抜けの経験があるので、ネイティブ翻訳者を酷評するつもりはない。
ここで取り上げた理由のひとつは、一部の日本人が持つネイティブ信仰を否定する事例としたかったことだ。
加えて、ネイティブが書いた英文でも、科学英語に毎日触れている科学者から見ると、違和感を持つことがあると伝えたいから。

そして自分が翻訳するときには、今回のチェッカーの仕事を思い出して、十分注意しながら作業をしたいものだ。


ベルギー北東部、北海に面した観光地 Knokken-Heist の海岸に、2月8日朝、体長約13メートル、体重約30トンのマッコウクジラが打ち上げられた。
当初はまだ生きていたそうだが、救助活動は不可能で、午後には死んでしまったという。

このストランディングを報じた外国語報道は多数あるが、ここでは以下の英語記事2本を引用しておこう。
www.dailymail.co.uk/news/article-2098615/Injured-45ft-sperm-whale-washes-beach-dies-saved.html
www.boston.com/news/world/europe/articles/2012/02/08/sperm_whale_dies_on_belgian_beach/

科学者たちはこのストランディング個体について、死因を調査しようとしている。
脂肪や内蔵組織の分析から、重金属などの汚染物質を特定したり、胃内容物にプラスチック製品などの海洋ゴミが含まれるかどうかを調査する予定だ。
コンテナ輸送船などの大型船舶との衝突による怪我が原因とも考えられるが、現時点で死因は公表されていない。

調査結果は今後、ゲント大学(Universiteit Gent)の海洋生物学研究室や、ベルギー自然科学研究所(Royal Belgian Institute of Natural Sciences)のHPで発表されることだろう。
www.marinebiology.ugent.be/ (ゲント大学・海洋生物学)
www.naturalsciences.be/ (自然科学研究所)


ある観点では海洋生物学者は、ストランディング個体という自然からのプレゼントを待っているとも言える。
どこかの国のように、調査と称して自ら殺しに行くのではなく、今回のような偶然を待つというのも、研究生活の一部だ。

組織サンプルや骨格標本は研究目的に利用できるが、残りの大量の肉や脂肪はどう処分するのだろうか。
過去記事で紹介したが、オーストラリアでは肥料に加工したという事例がある。

今回は脂肪が多いマッコウクジラということで、捕鯨時代のように工業的利用価値があるため、
鯨油をバイオ燃料に加工する予定だ。
このバイオ燃料への加工について、ドイツの SPIEGEL Online の記事を引用しよう。
www.spiegel.de/wissenschaft/natur/0,1518,814561,00.html


マッコウクジラの体重は、このドイツ語記事では約25トンとなっている(上で引用した英語記事では約30トン)。
そのうち半分ほどが脂肪とのことだから、10トンを超える鯨油が採取できることになる。

(追記(2月12日):S?ddeutsche Zeitungの記事中では、「20トンから30トンの間」となっている。
【Das zwischen 20 und 30 Tonnen schwere Tier besteht zur H?lfte aus Fett. 】
www.sueddeutsche.de/wissen/ungewoehnliche-energiegewinnung-belgier-verarbeiten-gestrandeten-pottwal-zu-biokraftstoff-1.1281637

ベルギーには、食肉加工場からの廃棄物や、農場で死んだ家畜などを利用して、バイオ燃料を作る工場がある。
この工場で加工された精製バイオ燃料を火力発電に使うと、5万キロワット時の電力が得られるという。
この電力は、14世帯の年間使用電力量に相当するとのことだ(1世帯の年平均を約3,500キロワット時として)。

肉や内臓がどうなるかは書いていなかったが、動物性廃棄物と同様の処理をするのだろう。
オーストラリアのようにヨーロッパでも、肥料に加工する業者がいるかもしれない。

(追記(2月12日):バイオ燃料に加工するベルギーの会社は Electrawinds で、今回のマッコウクジラの引き取りについてのニュースリリースもある。
www.electrawinds.be/
www.electrawinds.be/electrawinds_powered_by_nature-electrawinds_artikels.asp (英語ニュースリリース))


ところで日本での扱いはどうなのかというと、ストランディング個体の報告様式が定められており、基本的な体長測定などの項目に加えて、DNA分析用サンプルの採取が求められている(費用の補助あり)。
その後の処分方法についても報告欄ではがあるが、これは定置網などでの混獲の場合であり、以下に示した農林水産省からの回答にあるように決めていないそうだ。

1.座礁して死亡した鯨類は、標本以外に使用しておりません。
 2.漂着クジラ類の取り扱いに特化したマニュアル等はございません。


水産庁の 「鯨類座礁対策マニュアル(平成16年10月12日)」 では、捕獲または混獲の場合であれば、食用の他に 「飼肥料」 とした数量も報告するが、座礁での処理方法は自由記述であり不明確だ。
www.jfa.maff.go.jp/j/whale/pdf/manual.pdf

日本の捕鯨推進派・擁護派は、「欧米人と違い日本人は、昔からクジラを余すところなく利用してきた」と豪語しているが、ストランディング個体を肥料にしないのは、過去からのクジラ文化の一部を捨てたことにならないだろうか


海岸からの輸送が困難だったり、加工費用の負担が嫌なのかもしれないが、調査捕鯨に補助金を投入してまで、食べることばかり考えるのではなく、堆肥化も文化の一つだとして検討してほしい。

特に捕鯨文化の伝統が長いと自負する地域では、クジラ由来の肥料で有機農業を実践してほしいものだ。

(最終チェック・修正日 2012年02月12日)

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