2012年09月

私は副業で英語・ドイツ語の翻訳をしているが、平日は本業があるので、ニュース翻訳のように忙しい案件は受注できない。
それでも翻訳の勉強を兼ねて、AFPやCNN、ロイターのサイトで、英語版と比較しながら読んでいる。

ニュースサイト作成会社では、専門の翻訳者やコーディネーターなどを採用しているのに、毎月最低1回は誤訳に出会う。
誤訳といっても、たった一つの単語の意味を間違えただけなので、背景を知らない読者には、自然な日本語記事として受け取られるだろう。

今回例示するAFP日本語版では、これまで何度も指摘したにもかかわらず、「若い恒星young star)」とすべきところを、「新星nova)」と誤訳している。
また、見出しも間違っているので、問い合わせフォームを使って質問をしておいた。

わし座の頭に輝くガスの雲、ESO画像  2012年09月28日 20:27
「わし」の頭部分を形作っているそれぞれ「Sh 2-292」、「RCW 2」、「Gum 1」と呼ばれるガスの雲は、中心部で高温の新星がエネルギーを放出していることで明るく輝いて見える。】

今回公開された星雲は、「わし座」ではなく、「いっかくじゅう座」にあり、「わし星雲(Seagull Nebula)」と呼ばれている。
したがって見出しは、「わし星雲の頭に輝くガスの雲」と修正すべきである。

ESOのプレスリリースでは、星雲の位置について次のように書いてある。
www.eso.org/public/news/eso1237/
【The Seagull Nebula lies just on the border between the constellations of Monoceros (The Unicorn) and Canis Major (The Great Dog) and is close to Sirius, the brightest star in the 
night sky. 】

ESOのプレスリリースには、どこにも「nova」は出てこないので、「新星」も誤訳確定である。

【This cloud of gas, formally called Sharpless 2-292, seems to form the head of the seagull and 
glows brightly due to the energetic radiation from a very hot young star lurking at its heart. 

The complex of gas and dust that forms the head of the seagull glows brightly in the sky due to the strong ultraviolet radiation coming mostly from one brilliant young star …】

「若い恒星」よりも、漢語だけの「新星」の方が、サイエンス記事にふさわしいと判断したのかもしれない。
それでも、サイエンス記事を翻訳するのであれば、専門家ではなかったとしても、その分野の専門用語の確認は必ず行うべきだ。
そして、翻訳者が誤訳してしまっても、これを修正できるチェッカーを確保すべきだ。

AFPは同じ間違いを繰り返しているので、外注先の翻訳会社に対して、用語の統一も含めた再発防止策を要請すべきだ。
毎回翻訳者が変わったとしても、同じ品質の和訳記事にするためには、翻訳メモリや用語集を作成すべきだ。

私はチェッカーの経験もあるので、和訳ニュース記事の表現に違和感を持ち、誤訳に気付くのだろう。
何も意地悪をしているのではなく、正確な情報の発信を求めているだけだ。
そして、自分の翻訳で誤訳をしないようにと、戒める意味も込めている。

今週も翻訳依頼はなかったので、和訳記事以外にも、英語・ドイツ語・ノルウェー語で気になった記事を読んで勉強しよう。


追記(9月29日10時42分):
問い合わせから約2時間後、10時40分頃に確認したところ、私が指摘した部分が修正されていた。
ただし、「(一部訂正)」などの注記はない。
www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2904206/9586335

わし星雲の頭に輝くガスの雲、ESO画像

「わし」の頭部分を形作っているそれぞれ「Sh 2-292」、「RCW 2」、「Gum 1」と呼ばれるガスの雲は、中心部で高温の若い星がエネルギーを放出していることで明るく輝いて見える。

自然保護団体WWFジャパンの会員である私は、WWFのパンダロゴマーク入りエコバッグを利用している。
丈夫なキャンバス地で、持ち手が少し長めで肩にかけやすく重宝している。
ただ、少々縦長の形状のためか、幅広の容器に入っている惣菜や弁当を入れにくいという欠点もあった。
まあ、不便なことがあっても、スーパーマーケットなどでエコポイントがつくし、WWFの宣伝にもなるからいいだろう。

ところで先週、東京での用事を済ませて帰宅する途中、赤羽駅で乗り換えるついでに、エキュート赤羽のRF1に寄った。
買い物を済ませてから、一番端に目立たないように置いてあった案内に気付いた。
税込3000円以上買うと、オリジナルエコバッグがもらえるキャンペーンの告知であった。

エキュート赤羽1周年記念ということで、9月18日から行われている、様々なキャンペーンのうちの一つである。
www.ecute.jp/akabane/pdf/campaign/%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%88%E4%B8%80%E5%91%A8%E5%B9%B4CP%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%95.pdf

翻訳料金が約2万7千円入金したし、金曜日の今日は余裕もあるから赤羽経由で帰宅することにして、なんとか3000円分買って、エコバッグを入手することにした。

RF1のオリジナルエコバッグ(RF1の商品の他に、フェルツで購入した全粒粉クッペなどを入れた)

夕食だけで3000円というのは厳しいので、まずは明日まで日持ちするパック詰めサラダについて、店員から説明を受けた。
ということで最初に、明日の朝食用として、「1日分の緑黄色野菜のサラダ(630円)」を選んだ。

そして、先週も購入した「まるごと玉ねぎのオーブン焼き(493円)」を追加。
続いて、「旨み際立つ炙りサーモンのサラダ(157g、774円)」、「豚バラ肉の赤ワイン煮込み(135g、665円)、「海老とブロッコリーのまろやかグラタン(525円)」を選び、3087円となり、めでたくエコバッグ獲得。

受け取ってすぐに開封し、本日の購入商品を入れてもらった。
トートバッグに近い形状をしているため、少し幅広の容器がそのまま入るだけではなく、異なる大きさの容器を並べて入れることも可能だ。

WWFのエコバッグに1Lの牛乳パックを入れる場合、横倒しにして2本並べることは可能だが、無理やり突っ込むことになる。
しかも1本目の位置が少しずれただけで、2本目が入らなくなるので、何度も入れ直すことがあった。
RF1のエコバッグならば余裕があるので、これまでのような時間の浪費はなくなるだろう。
これからはどちらも携帯して、商品の大きさに合わせて使い分けをしよう。

今まではWWFエコバッグを持ってRF1に買い物に行っていたが、これからはロック・フィールドの株主として、RF1オリジナルエコバッグを使うことにしよう。

それにしても、1周年記念キャンペーンというイベントなのに、3000円も購入しないともらえないのは、一人暮らしの者にとっては少々不満である。
これまでに行われたデパ地下などのキャンペーンでは、1000円ということもあったのに。
客単価を考えれば2000円がちょうどよいと思うので、後で問い合わせをしてみよう。
数量限定ということでハードルを上げたのか、10月中間決算前に売り上げ増大を狙ったのか、それは情報開示されないだろうが。


wie
II 接 ((従属;ただし副文ではなく文成分を導くことも多い))
4 ((挿入句を導いて)) Wie mir scheint, ist kein Erfolg zu erhoffen. どうやら成功は期待できそうもない.

Wie jetzt bekannt wurde, verhinderte die Feuerwehr am Dienstag eine Katastrophe:
das Übergreifen der Flammen auf ein benachbartes Ammoniak-Lager konnte knapp verhindert
werden.
今判明したところでは、消防は火曜日に大惨事を防止していた。つまり、隣接しているアンモニア貯蔵庫への延焼をかろうじて防ぐことができた。
(Feuer im Krefelder Hafen: Erneut Schulen in Duisburg geschlossen, RP-Online, 26.09.2012,
www.rp-online.de/niederrhein-sued/krefeld/nachrichten/erneut-schulen-in-duisburg-geschlossen-1.3009007

アメリカ大統領選挙の共和党候補であるロムニーは、金持ちで庶民の気持など理解していないと批判されている。
先日は、オバマ大統領支持層を批判している隠し撮り映像が Mother Jones で公開されて、大騒ぎとなっているようだ。
www.motherjones.com/politics/2012/09/secret-video-romney-private-fundraiser

加えて、税金を払っていないと批判されていたため、やっと納税申告書を公開した。
日本メディアでは情報が足りないので、ここではウォールストリートジャーナル(日本語版)を引用しておこう。
jp.wsj.com/US/Politics/node_516781

【…ミット・ロムニー氏は21日、2011年の納税申告を公表し、ロムニー夫妻の2011年の所得が約1369万ドル(約10億7000万円) で、連邦税の実効税率は14.1%だったことを明らかにした。また、2009年までの20年間の納税記録の概要をまとめた会計士からの書簡も提示した。

…2011年の納税申告によると、ロムニー夫妻の同年の所得は1369万6951ドル(約10億7000万ドル)で、納税額は193万5708ドル(約1億5000万円)だった。

ロムニー夫妻の税率が低いのは夫妻が慈善事業に多額の寄付を行っており、税控除を受けていることも影響している。夫妻による寄付は合計400万ドル超で、税控除は225万ドルだった。

また、今回の納税記録の開示によって、ロムニー氏の2011年の所得と納税額が今年1月にロムニー陣営が公表した推計を大きく下回ったことがわかった。1月の推計では、総所得は2090万ドルで、連邦税の納税額は323万ドルに上るとされていた。

…ロムニー夫妻は20年間の平均で調整総所得の13.45%を慈善活動に寄付していたことがわかった。夫妻がこの期間に支払った連邦税、州税および慈善活動への寄付は調整総所得の38.49%を占めた。

なぜロムニー夫妻が開示の対象を過去20年間としたのかははっきりしないが、ジョージ・W・ブッシュ政権時代の2003年にキャピタルゲイン課税の税率が20%から15%に引き下げられたことが要因となったかもしれない。投資収益に対する税率が高かった時代の納税記録を含めれば、ロムニー夫妻の税率は高くなり、税率が低いと批判されている 夫妻にとって有利なためだ。】

私も毎年の確定申告で寄付金控除を申告しているが、金額は数万円なので、還付される所得税は、せいぜい1万円くらいだ。
モルモン教徒は所得の10%を寄付するそうだが、それでは借金のある私は生活できなくなるので、やはり金持ちは桁が違う世界で生きているわけだ。

ところで、この記事で気になったのは、ロムニー陣営が公表した推計よりも、実際の納税額が約100万ドルも異なることだ。
この差についてヒントになる記事を探してみたところ、The Salt Lake Tribune 紙に、寄付金額過少申告の記事があった。
www.sltrib.com/sltrib/politics/54943992-90/romney-tax-percent-romneys.html.csp

前述したように、モルモン教徒は通常、収入の10%を教会(The Church of Jesus Christ of Latter-day Saints、LDS)に寄付する。
これは旧約聖書申命記第14章22節以降で述べられている、「収穫の十分の一に関する規定」を根拠にしている。

ただし記事によると、LDS への寄付金は実際には約260万ドルであったのに、申告金額は100万ドル程度に抑えていた

普通は税金を取り戻したいのだから、寄付金額を全て申告するはずだが、控除額を過少申告してまで、わざわざ税金を多めに払うとは、やはり金持ちのやることは予想外である。
つまりロムニー候補の作戦とは、批判を避けるために、払った税率を多く見せかけて、中間所得層に媚びることなのだ。

それでも税率が13%台というのは、中間所得層よりも7~10%くらい少ない。
そして金持ちなのだから、10%の違いは、実際にはかなりの金額に達する。

私が寄付金をしているのは、税金を払っても自分で援助したい事業に予算が回らないことが多いと感じているから。
ブータンの森や沖縄のサンゴ礁などの保護活動の他、国境なき医師団や国連難民高等弁務官事務所への寄付など、直接関与していることを実感できる。
国に税金の使い道を決めさせずに、自分で直接寄付したいという気持ちは、ロムニー候補と共通かもしれない。
ただし、好感度を上げるために、わざわざ税金を多く払おうというのは変なことだ。

最初に引用したウォールストリートジャーナルの記事で、もう一つ気になっているのは、過去20年間の平均納税率を公表した理由だ。
記事では推測を書いているだけではあるものの、資産家だから配当収入が多いため、キャピタルゲイン課税が引き下げられる前の納税額を含めれば、平均税率を20%台にできるから、これも中間所得層対策なのだろう。

税金に関しては、R. Bradford Malt という会計士に丸投げしているようだが、寄付金の過少申告も会計士の判断なのだろうか。

追記(9月24日):
CNNの日本語記事で、寄付金控除の過少申告について触れていたので引用しておこう。
www.cnn.co.jp/usa/35022132.html

【…
ロムニー夫妻はモルモン教会やてんかんの子どもの支援団体に総額400万ドルを寄付したものの、このうち225万ドルのみを寄付金控除の対象として申告した。

1990~2009年の申告を担当した税務事務所は、この20年間の所得税を100%納付したとする文書を発行した。さらに、同期間の税率は平均20.2%で、最も低い年が13.66%だったとの数字を公表した。

同氏が11年の寄付金控除額を低く抑えた背景には、全額を申告してこの「13%」ラインを下回ることは避けたいとの思惑があったとみられる

(最終チェック・修正日 2012年09月24日)

8月16日に世界的バイオリニストの堀米ゆず子さんの「ガルネリ」が、ドイツ・フランクフルト空港の税関で押収された。
バイオリンの所有証明書を所持していなかったため、税関当局は輸入申告のない密輸品扱いとして没収、そして19万ユーロの関税の支払いを求めていた。

税関での押収事件を報じた記事の中から、ウォールストリートジャーナル日本語版を引用しておこう。
jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/13577/
【…
堀米さんが保有する1741年製のガルネリ(時価約1億円)がドイツの税関当局に押収された。…同当局は、返還に際して19万ユーロ(1900万円)の輸入関税を求め、さらに罰金を科す可能性もあるとしている。

…当局は堀米さんが16日に経由地のフランクフルト空港を出発する際、正式な所有者であることを示す書類がないとの理由でバイオリンを押収した。

堀米さんによると、通常旅行する際は必要書類を携帯しているが、今回は家に置いてきてしまった。翌日急いでブリュッセルの家に書類を取りに帰り、ドイツの税関に提出したが、バイオリンは戻ってきていない。所属事務所によると、申告をすべきだったというのが税関側の考えだという。

堀米さんはその後、弁護士を探している。生活に欠かせないものだということが証明できれば、税金や罰金を払わずに済むことも考えられる。
…】

その後、弁護士を通じて所有証明書や各種書類を提出して交渉した結果、ガルネリは本人に返還されると決まった。
朝日新聞の記事は次の通り。
www.asahi.com/national/update/0921/TKY201209210655.html
【独フランクフルト国際空港の税関で押収されていた、ベルギー在住の世界的バイオリニスト、堀米ゆず子さんの愛器「ガルネリ」が返還されることがわかった。…
…輸入税19万ユーロ(約1900万円)の支払いを求められたが、無償で返還されることになった

堀米さんは、正当な購入や所有を証明する書類、自らの財産目録などを提出し、弁護士を通じて交渉を重ねていた。「状況が悪化するばかりだったので、今はホッとしたというより信じられない気持ち」と堀米さん。…】

ドイツの空港に限らず税関では、旅行者の荷物が本当に私物かどうか質問されることがある。
つまり、大量のタバコなどの商品を持っていたりすると、それが輸入品の扱いになるかどうかを確認するためだ。
そのため、私物ならば購入時の保証書を携帯したり、お土産ならばレシートを残しておくことが必要だ。

私はフランクフルト空港の税関で、私物のチェックを2回受けたことがある。
ただしテロ対策前の1990年代でということで、日本人はマークされていないためか、4回のうち2回だけだった。
しかもその2回というのは、旅行客が少なくて、時間に余裕のあるときだった。

最初は、ドイツで開催された国際会議に参加したときで、初めての海外渡航であった(ついでに留学予定先を訪問した)。
ドイツ人の知人に国際会議に参加することを連絡したところ、彼の友人たちから、日本製プラモデルをぜひとも入手してほしいと頼まれていたとのことだった。
それで私は、生産中止となったそのプラモデル(偵察機シュトルヒ)を専門店で3箱探し出して、ドイツに渡航した。
フランクフルト空港の税関で、大きな紙袋を持った私は呼び止められ、職員は中身の確認を始めた。
私が友人へのプレゼントだと説明すると、「ああ、プラモデルか。これならOK。」ということで、何事もなく通してくれた。

2回目はドイツ留学中に、ドイツ国外で行われた学会から戻ったときであった。
このときは旅行者が誰もいなかったため、職員数名が雑談していた。
私が近付くと、ノートPCを入れていた少し大きめのバッグに気付いた職員の一人が、中身の確認をしたいと言った。
私はバッグを開けてノートPCと、たまたま携帯していた保証書を見せた。
保証書は日本語で書かれているが、製造番号と日付を見て、私物であると判断できるとのことで通してくれた。

そのとき職員は、「保証書をPCと一緒に持っている人はほとんどいない。」と言っていた。
私が保証書を持っていたのは、もし学会参加中にPCが壊れた場合に、修理をしてもらうには必要だから。

希少なバイオリンといった高価な品物だけではなく、ノートPCでも税関でチェックされることを知っていた方がいいだろう。
ドイツの税関職員は暇なときには、いろいろと意地悪とも思えるようなことをしてくるから。


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