2013年01月

sonnenabgewandt
形 太陽に向いていない
sonnenabgewandte Seite 夜側

abgewandt II 形 そっぽを向いた
 
Die Hülle aus Elektronen und Ionen, welche die Venus in 150 bis 300 Kilometern Höhe umgibt,
kann sich in Ausnahmefällen an ihrer sonnenabgewandten Seite schweifartig ins Weltall
ausdehnen.
高度150~300キロメートルで金星を囲む電子とイオンから成る層は、特別な条件では夜側で、宇宙空間へ尾のような形で広がる可能性がある。
("VENUS EXPRESS: Der lange Plasmaschweif der Venus", astronews.com, 29. Januar 2013,
www.astronews.com/news/artikel/2013/01/1301-037.shtml

ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルで1月18日20時から放送された、「地球外生命体の存在」を観た。
www.ngcjapan.com/tv/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/809

そして今回もまた、違和感が残って気になる日本語ナレーションに出くわした。

番組開始から約47分頃のウェッブ宇宙望遠鏡の説明のところで、観測する波長領域を、「スペクトラム」と言っているように聞こえた。

聞き間違いかもしれないので、21日4時からの放送を録画した。
そして本日22日の帰宅後に再生して、該当部分を何度も確認した。

すると日本語ナレーションは確かに、「…ウェッブ望遠鏡は第二の地球を、目に見えないスペクトラム、赤外線で探します。」であった。

科学用語としては、「スペクトラム」ではなく、「スペクトル」を使ってほしい。
また、この文脈では、「目に見えない波長領域、赤外線で探します。」とする方が適切だと思う。

18日土曜日にメールフォームで問い合わせをしたものの、対応は平日日中のみなので、21日4時の再放送はそのまま流れてしまった。
調査が完了してから連絡が来るとのことだが、もし私の指摘が正しければ、2月25日の次回放送までに修正をしてほしいものだ。

映像翻訳者が「スペクトラム」としたのは、英語の「spectrum」の発音を、そのままカタカナ表記したからなのだろうか。
せっかく録画したのだから、音声を英語に切り替えて確認してみた。
「… Webb will search for the next Earth in an invisible part of spectrum called the infrared.」と聞き取った。

冠詞などの聞き取りが正しいかどうか、細かいことは今回は抜きにして、「invisible part of spectrum」という語句全体の和訳を考えてみよう。

「spectrum」を「スペクトル」としても、「目に見えないスペクトル、赤外線で探します」では、まだ違和感が残る。
「スペクトル」という単語にこだわらず、「目に見えない波長領域の赤外線で探します」と、語句全体での意味を表現する方が、より理解しやすいのではないだろうか。

興味を持った番組を観ているだけなので、24時間体制で誤訳を見つけようとしているわけではない。
それでも毎月、誤訳とまでは言えなくても、違和感のある和訳に出会ってしまう。

日本語版を作成・監修しているFOXジャパンでは、映像翻訳会社に委託しているわけだが、ナショジオのブランドを傷つけないように、チェック体制を強化してほしいものだ。

bilden
I 他 (h)
2 作り<産み>出す
[再帰] sich4 bilden 産み出される,生じる

Die dichtesten Bereiche dieser Wolke kollabieren irgendwann unter ihrer eigenen Anziehungskraft
und es bildet sich4 ein neuer Stern.
この星雲の最も濃密な領域は、それ自身の引力でそのうち収縮して、新しい恒星が生じる。
("LA SILLA: Aus dem Dunkel ans Licht", astronews.com., 18. Januar 2013,
www.astronews.com/news/artikel/2013/01/1301-023.shtml

(最終チェック・修正日 2013年01月18日)
私が興味を持ったニュースやテレビ番組で、毎月何件か誤訳を見つけている。
主に自然科学系の記事や番組をチェックしているのだが、専門用語が間違っていることが気になっている。
理系離れだとか、文系・理系の断絶ということを証明する実例のようだ。
 
今回引用するAFPの記事では、英語記事の「dark clouds」を「暗雲」と和訳している。
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2921108/10116615
【欧州南天天文台…は14日、…さそり座の方向にある新たな星を形成する暗雲…の画像を公開した。】
 
天文関係の記事なのだから、これは「暗黒星雲」とすべきである。
この件について17日22時過ぎに、問い合わせフォームで質問しておいた。
(追記(1月18日):私の指摘通りに、「暗黒星雲」に修正された。)
 
「暗雲(あんうん)」の意味は、広辞苑第六版では次のように記されている。
いずれも、宇宙にある暗黒星雲には適用できない。

【①あたりが暗くなるほどの厚い雨雲。
② (比喩的に)危険・破局などの起こりそうな不安な気配。また、心がはればれしない様子。】

 
「暗黒星雲」に対応する英語は、学術用語としては「dark nebula」なので、元の英語記事が
「dark clouds」では「暗雲」と和訳しても仕方ないかもしれない。
ただ、日常的に使用する単語で置き換えることはよくあるので、文意を把握して、適切な訳語を選択してほしい。
 
今回の記事も含めて、構文や文法の解釈は正しいのに、個々の専門用語の選択が間違っていることがほとんどだ。
つまり、単純に語句の置換をしているだけで、対象分野や文意に配慮していないということだ。
こんな和訳では、機械翻訳みたいなレベルであり、人間の翻訳者が作業した意味がない。
 
加えて、納品された翻訳をチェックする体制が整っていないことも問題だ。
私は平日日中は本業の仕事があるので、チェッカーとして採用されることはないだろう。
翻訳専業の人たち、そしてチェックをする人たちが、翻訳対象の分野の基礎知識を持つ努力をしてほしいものだ。
 

rekordverdächtig
形 最高記録となる可能性がある

Rekord m. -〔e〕s/-e (一般的に)最高記録
..verdächtig ((名詞などにつけて「…の疑いのある,…の見込み<可能性>のある」などを意味する形容詞をつくる))
 
Und die Ausdehnung von NGC 6872 ist tatsächlich rekordverdächtig.
そしてNGC 6872の大きさは、実際に最高記録となる可能性がある。
("NGC 6872: Die größte bekannte Spiralgalaxie", astronews.com, 11. Januar 2013,
www.astronews.com/news/artikel/2013/01/1301-016.shtml

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