2014年03月

(最終チェック・修正日 2014年05月05日)

商業捕鯨をしているアイスランドでは、ミンククジラ肉は主に国内で消費しているが、ナガスクジラ肉は冷凍して日本へ輸出している。
しかし昨年は、反捕鯨国のオランダとドイツの港でトラブルとなり、アイスランドに戻ることになった。

ということで今年は、カナダを経由して日本に輸出するというルートが開拓された。
カナダ東海岸で一度陸揚げして、鉄道で西海岸に運び、そして再び船に積んで日本に向かうものだ。

この新たなカナダルートが継続するのかと思っていたら、残りの在庫約2,000トンを一度に直接日本に運んでいるようだ。
3月20日に動物保護団体のIFAWが報告している。
www.ifaw.org/united-states/news/iceland%E2%80%99s-lone-whaling-crusader-attempts-ship-around

レイキャビクで冷凍鯨肉を積み込んだと言われている、キプロス船籍 Alma 号の現在位置を検索したところ、世界時3月27日21時には、カナリア諸島の西を航行中であった。
www.marinetraffic.com/en/ais/details/ships/9140968/vessel:ALMA

パナマ運河を通らないとすると、アフリカ南端を通って東進し、マレーシアなどを経由して日本に向かうと思われる。

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追記(4月12日):4月12日の位置を確認したところ、南アフリカ・イーストロンドン沖を東進しており、目的地が「東京」と表示されるようになっていた。
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2,000トンという輸出量については、今のところ反捕鯨団体の発表しかないため、正しいのかどうかは不明だ。
6月頃には公的な統計が発表されるだろう。

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追記(5月5日):
統計を調べると、3月の冷凍鯨肉輸出量は、2,017,358 kgで、約2,000トンという報道は正しい。
価格は 1,495,334,619 ISK で、日本円で約13億5千万円だから、キロ当たり約670円。
この価格は、ノルウェーのミンククジラ肉買い取り価格よりも約1割増に相当。
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この2,000トンという数字は、アイスランドのメディアにも出てくるので、たぶん正しいのだろう。
www.visir.is/hvalkjot-ekki-lengur-eftirsott-i-japan/article/2014703289931

【… Þrátt fyrir þetta stefna Japanar á að veiða um 1.300 hrefnur á ári hverju, auk þess sem Íslendingar gera sér vonir um að þeir taki við allt að
2.000 tonnum af kjöti sem verið er að flytja þangað þessa dagana. …】

このアイスランド語の記事では、日本の鯨肉マーケットは限定的なものであり、鯨肉在庫は増え続けていて、2012年は4,600トンも余っていると紹介している。
そのためか、2,000トンも増えても消費できるのか疑問のようだ。
ミンククジラ肉よりも、ナガスクジラ肉の方が望まれているようなので、何年もかければ消費されるとは思うが。

日本に到着したら、反捕鯨団体のレポートが出ると思うので、続報を待つことにしよう。

一部サポーターによる差別表現横断幕事件により、サッカーJリーグは、浦和レッドダイヤモンズに対して、ホームゲーム1試合を無観客試合にするなどの制裁措置を行った。
無観客試合という制裁は、Jリーグで初めての措置である。

制裁措置決定のニュースリリースは以下の通り。
www.j-league.or.jp/release/000/00005691.html
【(1)譴責(始末書をとり、将来を戒める)
(2)無観客試合の開催(入場者のいない試合を開催させる)】

3月23日の無観客試合後に出された、チェアマンのコメントは次の通り。
www.j-league.or.jp/release/000/00005718.html

【…
お客様のいないスタジアムの映像はやはり大変寂しいものでした。
…クラブにとって一番の財産であるファン・サポーターの姿がないスタジアムでの試合は、
Jリーグ百年構想の理想とする姿とは最も遠いところにある試合というしかなく、大変寂しく悔しい思いで試合を見ました。

本日の試合をもってこの度の悲しい事件が終わりになるわけでは決してありません。
本日の試合の意味を、Jリーグに関わる全ての皆様とともに考えていきたいと思います。…】

制裁措置を受けた浦和レッドダイヤモンズでは、試合前に「
差別撲滅宣言」を出した。
www.urawa-reds.co.jp/clubinfo/%E5%B7%AE%E5%88%A5%E6%92%B2%E6%BB%85%E5%AE%A3%E8%A8%80%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/
【浦和レッドダイヤモンズは、サッカーファミリーの一員として、第63回国際サッカー連盟(FIFA)総会(2013年)で採択された「人種差別主義及び人種差別撲滅に関する決議」を最大限に尊重し、人種、肌の色、性別、言語、宗教、または出自などに関する差別的あるいは侮辱的な発言または行為を認めないことを宣言します。

サッカーはスポーツや社会から差別を撲滅する力を持っています。
私たちはサッカーを通じて結ばれた仲間と共に差別と戦うことを誓います。】

Jリーグは法務省と連携して、人権啓発活動を行っているが、この「差別撲滅宣言」を法務省にも読み聞かせたいと思う。
特に入国管理局に対して、「差別撲滅宣言」の趣旨を理解し、人権を守ることを要望したい。

Jリーグの制裁決定後、ドイツメディアの報道内容をチェックしていたところ、日本社会は外国人を望んでいないと指摘しているものもあった。
左派系新聞の Neues Deutschland の記事を引用しよう。
www.neues-deutschland.de/artikel/927732.auslaender-unerwuenscht.html


排他的な日本社会の事例として、外国人の利用を妨げようとする「Japanese Only」という掲示が、レストランやカラオケ、宿泊施設などで見られること、そして、
昨年の難民認定はわずか6人にとどまっていることが取り上げられている。

日本国内の住民数のうち、外国人の割合はわずか2%であるが、日本は外国人を入れないように厳しい壁を作っているように見られている。
日本では少子高齢化と人口減少が進むと予測されていて、経済界では労働力不足が懸念されているものの、有権者が外国人を望んでいないから、どの政党も移民を受け入れようとはしない。

日本の難民認定人数について、法務省の報道資料を確認してみよう。
www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri03_00099.html
難民として認定した者は6人(うち3人は異議申立手続における認定者),難民として認定しなかった者は,難民認定申請(一次審査)で2,499人,異議申立てで921人でした。また,難民とは認定しなかったものの,人道的な配慮が必要なものとして在留を認めた者は151人であり,難民として認定した者を合わせた数(庇護数)は157人であり,前年に比べ27人(約21%)増加しました。】

人道的配慮が必要な人には在留を認めているが、それだけの理由がありながら、どうして難民認定を拒むのだろうか。
それほど日本政府は、外国人が嫌いなのだろうか。
日本の平和憲法の理念を実践しなくてもよいのだろうか。
先進国の日本ならば助けてくれると信じている人々の願いを、長い期間待たせたあげく打ち砕いてしまう法務省は、Jリーグとともに人権啓発運動をする資格があるのだろうか。

外国語を学んでいると、数の表し方である「命数法」が異なるため、瞬時に換算できないこともある。
今回取り上げる Billion と Trillion は有名な例で、語源は同じなのに、時代や国によって表す数が変わることもある。
言葉は変化するものなので、いろいろと面倒なことがあるが、それも多言語学習の楽しみと思うようにしている。

科学誌 Science の3月21日号に、人間は
1兆種類を超える嗅覚刺激を区別できる、という論文が掲載された。

英語の論文タイトルは次の通り。
「Humans Can Discriminate More than 1
Trillion Olfactory Stimuli」
www.sciencemag.org/content/343/6177/1370

この論文を紹介するドイツの SPIEGEL Online の見出しは次の通り。
「Hochrechnung: Menschen unterscheiden eine
Billion Gerüche」
www.spiegel.de/wissenschaft/mensch/sinnesorgan-nase-unterscheidet-eine-billion-gerueche-a-959971.html

日本語の1兆(1012、10の12乗、1,000,000,000,000)は、現在の英語では Trillion、ドイツ語では Billion となる。
語源の説明を読むと、ドイツ語の Billion は 「bi.. + Million」とあり、100万(106)の2乗ということで、1兆(1012)になる。
そして Trillion は 100万の3乗だから、100京(1018)になる。

ヨーロッパではたいてい同じだが、英語圏ではアメリカでの表現に合わせて、Trillion を1兆(1012)に変えた。
3桁ずつ区切る方式なので、英語での Billion は 100万(106)から3桁上で、10億(109)のことだ。
ドイツ語での 10億は Milliarde と異なる。

外国語の記事を読むときは、原文の言語をはっきり認識していれば、英語から日本語へ、または、ドイツ語から日本語へ、という変換をしているので、間違えることはないだろう。

ついでに漢字の「兆」だが、同じ漢字を使っていても、中国語では106を表す接頭語のメガの意味で使うという。

メガヘルツ(赫兹)など。

同じ漢字でも、日本語と中国語で意味が変わる例は多いので、同様に、英語とドイツ語で異なっていても驚くことはない。
やはり言葉は生き物なのだと実感した。

fördern
他 (h)
2 (befördern) 運ぶ,送り届ける;[坑] 採掘する

Seit 2011 fördert dort bereits das israelische Unternehmen Givot Olam Öl. Wie im vergangenen
November bekannt wurde, soll sich dieses Ölfeld auch weit in die Palästinensergebiete erstrecken.
そこでは2011年から既に、イスラエル企業のギボット・オラーム・オイルが採掘している。昨年11月に明らかとなったように、この油田はパレスチナ地域内の奥深くまで広がっているという。
("Nahost: Palästinenser wollen nach Öl bohren", ZEIT Online, 19. März 2014,
www.zeit.de/wirtschaft/2014-03/palaestinenser-oel-westjordanland-nahost

(最終チェック・修正日:2014年03月20日)

先週、独和チェック案件を納品した直後、担当者から、同じクライアントから独和翻訳の依頼が来ていると連絡があった。

今回は私に翻訳してほしいとのことだったが、ワード数を見て、土日祝日を含む日程でも1週間はかかると返事をした。
平日は本業があって作業時間が少ないし、休日の日曜日は礼拝と聖歌隊練習などで半日つぶれるから。

どうやら先週納品した案件は、200ワード程度という分量も考慮すると、翻訳レベルを確認するためのテストだったと思われる。
ただ、高品質翻訳を期待しているにもかかわらず、コストは切り詰めているようで、ワード単価は最低ランクと言ってもよい金額だった。

その単価でも受注する翻訳者が見つかったそうで、私はチェッカーとして仕事をすることになった。

専門用語の確認をしながら待っていたところ、予定より半日遅れて和訳が届いた。
帰宅してから圧縮ファイルを解凍して、まずは全体をざっと読んでみた。

残念なことに、原文の表を再現していないため、非常に読みにくかった。
今回の翻訳対象の資料は、複数の競合製品を比較したレポートである。
比較するのであるから、項目ごとに横に並んでいないと、説明がどのように対応しているのかわからなくなる。
原文にはない「10)」などの数字を、文頭に付けているのだが、これは「10個目のセル」を示しているようだ。
こんな書き方をするよりも、作表すれば済むことだが、ワード単価が低いから省略したのだろうか。

他にも、用語の統一ができていなかったり、勘違いしている部分もあった。
このままチェック作業をしても、数年前に経験したような、和訳の全面見直しになりそうな予感がした。

それもチェッカーの仕事なのかもしれないが、担当者に連絡して、翻訳者に再提出してもらえるかどうか、問い合わせをお願いした。
どのような反応が返ってくるのか不明だが、期待して待つことにしよう。

追記(3月14日):
作表の他に、単純なタイプミスの確認を、翻訳会社の担当者が行うことになった。
来週廃止となる西巣鴨郵便局に行って風景印を押し、食料品の買い物をして昼過ぎに帰宅すると、レイアウトが修正されたファイルが届いていた。

和訳の確認の前に、タイプミスや漢字変換ミスを修正することになった。
例えば、「需要ではない」→「重要ではない」 など。

その後、約4時間かけて、半分終わらせた。
訳語の統一ができていないことや、勘違いによる誤訳に加えて、訳抜けも見つかったので、予定よりも1時間ほど長くかかった。

明日は残りのチェックを終わらせて、日曜日に最終チェックをして提出しよう。

追記2(3月16日):
今日はいろいろと用事があり、帰宅したのは午後6時を過ぎてしまった。
昨日までに1回目のチェックを終わらせていてよかった。
訳語の再確認とともに、読みにくい個所や理解しにくい表現を修正した。
作業時間は6時間の見込みだったが、結局9時間かかった。

今回のチェックでは、大型独和辞典を持っていれば間違えないはずの語句が気になった。
複数の独和辞典を使用することは当然として、オンライン辞書も含めて、独英や独独まで調査範囲を広げる方がよいのではないだろうか。

最初から自分で翻訳すればいい、と言われそうだが、時間的な問題もあって、今回はチェッカーとして協力することにした。
もう1週間先にずれて、3連休明けに納品するスケジュールであれば、私が翻訳を担当したことだろう。

とにかく、どのような案件でも、可能な限り協力して、実績を積んでいこう。


追記3(3月20日):
納品後、担当者から連絡があり、日本語として読みにくい部分について、ドイツ語原文を無視して書き直してほしいと依頼があった。
形容詞の順番を変えたり、関係節の部分を独立させたり、または連続する複数の文の説明内容をまとめて意訳したり。

そしてクライアントからも質問が来た。
翻訳対象の文書の著者は大学教授ということで、かたい感じにしてみたのだが、ある単語について、どうも違和感があるとのことだった。
追加の作業になってしまうが、何も反応がないよりはよかったと思うようにしている。

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