2016年10月

ドイツ語学習者にとって、ルター聖書は、ドイツ語の歴史を学ぶための教科書とも言えるだろう。
ドイツ語の様々な表現が、ルター聖書から生まれている。

へブル語の旧約聖書とギリシャ語の新約聖書からドイツ語に翻訳する作業は、ルター1人ではなく、メランヒトンなどの専門家を加えたチームで行ったものの、宗教改革者ルターの貢献度は大きいので、ここでもルター聖書と呼ぶことにしよう。

ルター自身による改訂版が1545年に出版されてから、大きな改訂としては、1912年版と1984年版がある。
1984年版では、表現を平易にするためなどの理由で、あまりにも変更してしまったため、批判が相次いだ。

そのためなのか、宗教改革500年記念のプロジェクトとして行われた今回の改訂では、ルターらしさを取り戻した表現にしたという。
また、ヘブル語やギリシャ語の最新の研究成果を反映して、ルターの翻訳とは異なる解釈の部分もあるという。

2015年9月に改訂作業が終わり、当時のドイツメディアで主な改訂内容が報じられた。
特に、マタイによる福音書第8章24節で、「
Sturm(嵐)」が「Beben(振動・地震)」に変わったことが注目された。

私の教会はカルヴァン主義なので、ルター聖書の勉強をすることはほとんどないが、ドイツ語翻訳者としても資料として手元に置きたい。
また、神学生にドイツ語を教えるときにも話題にできるので、今回の改訂版は既に4月に、紀伊国屋書店で予約注文した。

そして10月19日にドイツで発売されたものの、入荷は来月になると思われる。

じっくり待てばよいのだが、ルター聖書のアプリをダウンロードしてスマートフォンで、数か所を読んでみた。

ドイツの聖書協会のサイトでのアプリの紹介は次のとおりで、ダウンロードサイトへのリンクもある。
www.die-bibel.de/ueber-uns/unsere-uebersetzungen/lutherbibel-2017/lutherbibel-2017-als-app/

また、スマートフォンを使わない人は、次のリンク先で、テキスト全文をウェブで読むこともできる。
www.die-bibel.de/bibeln/online-bibeln/lutherbibel-2017/bibeltext/

このアプリは、宗教改革500年記念日の2017年10月31日まで無料である。
神学生にも紹介してみよう。

hin|wirken
自 (h) ((auf et.4)) (…を)目指す,(…を)手に入れようと努力する

Danach soll die Bundesregierung unter anderem entsprechend der Entschließung des 
Europaparlaments darauf hinwirken, "dass Japan seinen als wissenschaftlich deklarierten 
Walfang, der tatsächlich als kommerzieller Walfang betrieben wird, beendet". 
その後、(ドイツ)連邦政府は、欧州議会の決議に応じて、「実際には商業捕鯨として操業されている科学的と主張する捕鯨を日本が終わらせること」を目指すとのことだ。
("Jagd auf Meeressäuger: Bundestag fordert Walfangverbot ohne Lücken", SPIEGEL Online, 21.10.2016,
www.spiegel.de/wissenschaft/natur/walfang-deutscher-bundestag-fordert-verbot-ohne-luecken-a-1117666.html

(最終チェック・修正日 2016年10月28日)

翻訳専業になってからも、英語とドイツ語の特許の和訳が中心なので、他の分野のドイツ語を読むためにドイツメディアのチェックは続けている。
今日は特に、ベーリンガーの工場跡地から高濃度のダイオキシンが検出されたことと、BASFの工場火災事故が気になった。

ドイツのライン川に面したルートヴィヒスハーフェンにあるBASF本社工場で、
ドイツ時間の17日21時半頃に、タンカーとの間で原料を移送するパイプラインの破損に起因すると思われる爆発火災が起きた。

事故発生後からBASFでは、フェイスブックとツイッターを使って、情報を発信していた。

港に停泊していたタンカーへの延焼を防ことができ、約10時間後に鎮火して、18日11時(ドイツ時間)にプレスリリースが出た。
(ドイツ語) www.basf.com/de/de/company/about-us/sites/ludwigshafen.html
(日本語) www.basf.com/jp/ja/company/news-and-media/news-releases/jp/2016/10/Release-Oct-18-11am-GMT.html


また、ドイツの報道は、例えば、以下のとおり。
www.spiegel.de/panorama/explosion-bei-basf-a-1117139.html
www.sueddeutsche.de/panorama/chemie-unfall-in-ludwigshafen-sechs-verletzte-nach-explosion-bei-basf-auf-der-intensivstation-1.3210678
www.zeit.de/gesellschaft/zeitgeschehen/2016-10/basf-explosion-ludwigshafen-loeschung-brand-vermisstensuche

ルートヴィヒスハーフェン市が事故に関して出している情報は次の通り。
www.ludwigshafen.de/buergernah/buergerservice/aktuell/explosion-auf-basf-gelaende/

この爆発事故によって、BASF独自の消防隊員2名が死亡し、重傷者8名と軽傷者17名は病院に搬送された。
行方不明者1名はまだ見つからず、安全が確認されてから、水中をダイバーが捜索する予定である。

火災が起きたのは、エチレンとプロピレンのパイプラインとされているが、発火原因は現時点で不明である。
多数のパイプラインが同じトレンチ内にあって影響を受けたため、14の生産設備が停止している。

Streamcracker と呼ばれる水蒸気分解設備が使えないため、原料供給ができないという。
一部稼働可能な設備もあるそうだが、生産の再開時期や生産量の減少による損害額などは、
現時点では不明である。
(追記(10月20日):スチームクラッカーの系統を切り替えて、ナフサ生産を再開可能とのことだ。)


大量の消火剤が散布されたが、全てBASFの排水処理施設を通じて浄化してからライン川に放流したため、汚染物質の濃度は増加していない。

ラインラント・プファルツ州議会では特別委員会が設けられ、事故について、この地域の住民や環境に悪影響があるのかどうかを協議する予定だ。

追記(10月19日):
行方不明者の捜索は、17名のダイバーによって19日11時頃から開始され、最新のプレスリリース(19日14時(ドイツ時間))で、遺体が12時半頃に発見されたことが発表された。
www.basf.com/de/de/company/about-us/sites/ludwigshafen/the-site/news-and-media/news-releases/2016/10/p-16-346.html

生産が止まっているものの、BASF全体で見れば損失の割合は小さいとアナリストが予想したためか、株価は下落していない。
BASFの株価は70ユーロ後半で、過去1年間の高値水準で先週から推移している。
先週発表された四半期決算概要で減収減益となったことの方が注目されているようだ。

BASFのこの工場では、今年も何度か化学物質の漏えい事故があり、特に毒ガスのホスゲンが漏れたことから、緑の党などが徹底的な設備点検を要請していた。
7月にホスゲンが漏れたとき、けが人がいなかったこともあって、BASFの公表は2か月後になり、批判されていた。
今回は危険な物質が漏れなかったが、都市の近くで、そして国際河川のライン川のそばで操業を続けるリスクを再考すべきだろう。
www.swr.de/landesschau-aktuell/rp/naechster-vorfall-in-ludwigshafen-wieder-giftige-gase-bei-basf-ausgetreten/-/id=1682/did=18247992/nid=1682/1iqxk68/

追記2(10月20日):
19日のプレスリリースで、スチームクラッカーは、
火災の影響を受けていない系統に切り替えて、ナフサ生産に使用可能と発表された。

追記3(10月28日):
パイプラインに亀裂が見つかり、ここから可燃性ガスが漏れて発火し、爆発に至ったと推定されている。
外部の業者がパイプラインの補修作業中に、何らかの原因で、可燃性ガスが流れているパイプラインを傷つけたようだ。
その作業員は、現在入院中とのことで、回復してから原因調査が進むものと思われる。
www.faz.net/aktuell/gesellschaft/ungluecke/basf-explosion-ursache-koennte-schnitt-in-rohrleitung-sein-14498556.html

BASFは、3名が死亡し、30名が負傷したこの爆発事故について、安全上の欠陥はなかったと発表している。
年は、毒性のホスゲンの漏えいも含めて、16件もの事故を起こしているため、州議会は臨時議会を招集してBASFに詳細な説明を求めている。
www.faz.net/agenturmeldungen/dpa/basf-sieht-nach-explosion-keine-sicherheitsmaengel-14500116.html

20年以上前、石垣島サンゴ礁保護運動をきっかけに、私は環境保護団体WWFジャパンの会員となった。
年会費1万円の他に、ボルネオ島森林保護や大型ネコ類保護など、臨時の寄付を5千円から1万円の範囲で続けてきた。
今年は年収が減る想定だったため、年会費を5千円に減らしているが、翻訳受注が順調であれば、臨時の寄付を増やして貢献したいと思う。

WWFジャパンでは気候変動・地球温暖化にも取り組んでおり、日本政府に対して、パブリックコメントの機会などを含めて要望している。


2015年12月に、地球温暖化対策に関するパリ協定が採択された。
伊勢志摩サミットでも話題になったが、日本政府の対応が遅れているうちに、各国が批准を進めて、今年10月5日に発効が決定し、発効予定日は11月4日である。

日本は伊勢志摩サミットの議長国であったにもかかわらず、パリ協定の早期批准については、国内産業界の反発に配慮して、乗り気ではなかったと言われている。
しかし、主要宣言には以下のように明記されており、議長国としても、批准作業を進める義務があったはずだ。
www.mofa.go.jp/mofaj/files/000160265.pdf

【G7は,引き続き指導的な役割を担い,パリ協定の2016年中の発効という目標に向けて取り組みつつ,同協定の可能な限り早期の締結に必要な措置をとることにコミット。全ての締約国に,同様の対応を求める。】

ということで、WWFジャパンは10月3日に
衆参両院に対して、批准を急ぐように要望書を提出した。
www.wwf.or.jp/activities/2016/10/1338703.html

10月11日にようやく閣議決定後、国会日程の都合なのか、全く進んでいない。
週明け17日からの国会審議が気になる。

11月7日からモロッコで始まるCOP22では、様々なルール作りも検討される予定だが、参加するには、
10月19日までに批准したことを国連機関に報告しなければならない。
もし批准が間に合わなければ、日本は単なるオブザーバー参加となり、日本に不利なルールが提案されたとしても、反論もできない。

日本はG7の一員なのに、政府の見通しの甘さから、批准が間に合わないという不名誉な実績を作ってしまいそうだ。
国内の様々な要望を調整するために時間がかかるのは、どこの国でも同じなので、それを言い訳にするのは情けない。

確かに京都議定書以降の各国の対応から判断すれば、アメリカと中国が早期合意したことも、インドが批准したことも予想外だったかもしれない。
ただ、それを見たEUは、加盟各国の批准を待たずに、EUとして一括批准という迅速な対応をして、乗り遅れないようにした。

拙速な批准を戒める評論もあるが、ルール作りに参加できないのであれば、いくら国内調整や途上国支援の約束をしても意味がない。

アメリカや中国、EUなどが自分たちに有利なルールを提案するのは当たり前で、議論しながら妥協点を見つけていくものだ。
日本の同盟国や経済援助している途上国が配慮してくれるなどと考えてはいけない。

国際社会で名誉ある地位を占めたいのであれば、世界第5位の排出国として、率先して批准し、議論をリードする提案をCOP22の前に提示するくらいの意気込みが必要だ。

このままだと、たぶん批准はできずに、日本に不利なルールばかりできてしまい、自業自得なのに後で文句ばかり言うだけの二流国として扱われるだろう。

9月に税務署で青色申告の相談をしたとき、事業専用の銀行口座について、2つ質問した。

まず1つ目は、新たに銀行口座を開設しなくても、生活費などの口座引き落としなどが混在している現在の口座を使い続けてもよいかどうか。
これは、取引明細の一覧で、どれが事業に関する支払いにあたるかなど、明確に示すことができればかまわないとのことだった。

2つ目は、紙の通帳や銀行の証明書でなくても、インターネットバンキングの明細印刷機能での出力でも有効かどうか。
実物を見せたところ、私が印刷した明細でかまわないとの説明だった。

以前から翻訳料金の受け取りに利用している銀行口座は、メインバンクの三菱東京UFJ銀行で、通帳不発行のEco通帳を利用しており、明細をネット上で確認する。
1件ごとにメモを全角7文字以内で入力できるため、例えば、「翻訳9月分」、「プリンタインク」などと、事業用の入出金がわかるようにしてある。

Eco通帳の商品説明では、利用できる条件として、「個人(個人事業主を含む)のお客さま」とあるので、私のように事業資金用に使うことも想定されているのだろう。
www.bk.mufg.jp/tsukau/eco_tsuchou/setsumei.html

ただし、生活費関連の支払いが混在していると面倒なので、11月をめどに、銀行口座の使い分けを明確にすることにした。

翻訳業の事業用として、三菱東京UFJ銀行を継続して使うこととした。
翻訳料金の受け取り口座として使うことは当然として、経費となる家賃と電気料金の口座引き落としに利用する。
また、VISAデビットカードはそのまま、消耗品などの購入時に利用して、利用日に明細に載るようにする。
加えて、定期預金の口座は、将来のPC更新費用などのために、事業資金のプールに利用する。

インターネットプロバイダの基本料金も経費にする予定だが、au Walletポイントがほしいので、じぶん銀行での口座引き落としのままとする。

生活費用の支出は、主にスルガ銀行の口座にまとめることにした。
公共料金の支払いのうち経費にできない水道とガス、それに加えて医療保険料と確定拠出年金掛金の口座引き落としを、三菱東京UFJ銀行からスルガ銀行に移した。
スルガ銀行でもVISAデビットカードを利用しているが、これは日々の買い物に利用して、事業用の三菱東京UFJ銀行のVISAデビットカードと区別する。

以前は、VISAデビットカードが2枚あっても、意味があるのかどうか、自分でもあいまいだったが、個人用と事業用で使い分けるという明確な目的がここで生じることとなった。

事業主貸で生活費に回すときは、三菱東京UFJ銀行の口座から、まずは大和証券を経由して大和ネクスト銀行の口座に移動する。
口座名義人が同じ他行口座への振込手数料がゼロ円なので、ここから、生活費用のスルガ銀行に移動する。
外出しなくても、資金移動が自宅でのネットバンキング操作で済むので楽だ。

これで明細がすっきりするので、帳簿との対応の確認も楽になるだろう。

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