2017年08月

benennen* benannte / benannt
I 他 (h)
1 名づける,命名する:名を言う

Der nach der Begründerin der modernen Krankenpflege Florence Nightingale benannte Asteroid 
hat einen Durchmesser von etwa 4,4 Kilometern und wurde schon 1981 entdeckt.
近代的看護の母であるフローレンス・ナイチンゲールにちなんで命名された小惑星は、約4.4キロメートルの直径を有し、既に1981年に発見されていた。
("Asteroid "Florence": Riesenbrocken rast an der Erde vorbei", SPIEGEL-Online, 30.08.2017,
www.spiegel.de/wissenschaft/weltall/asteroid-florence-riesenbrocken-rast-knapp-an-der-erde-vorbei-a-1165386.html

実家の小屋の中には、私が中学生のときから大学院を修了するまでの書籍や専門誌のほかに、天体写真や語学教材などが入っている。
古い雑誌やNHK語学講座のテープなどは捨てることにしたが、岩波新書などは古くても需要があるだろうということで、姉が働く福祉団体に引き取ってもらった。
昨日まで1週間、地元のデパートの催事場でバザーをしていたので、もしかすると私の古本が売れたのかもしれない。

もし翻訳の仕事が全くなくて、お金に余裕があれば、私が帰省して整理すればよいのだが、母が片付けると言っているので、時々電話をして、何を残すのか相談しながら進めている。

荷物の山の中から、できれば見つかってほしいものとしては、海外短波放送を聴いていた頃の手紙やカードだ。

インターネットがない時代、海外の情報を得る手段の1つとして、短波ラジオで放送を聴くという方法があった。
中学生のに始めた趣味で、最初は日本語放送ばかり聞いていたが、そのうち、VOAやモスクワ放送などの英語放送を聴くようになった。

放送の受信状態についてレポートを放送局に送ると、ベリカードと呼ばれる受信証明書がもらえた。
このカードを集めるためにも、英語を勉強していたようなものである。

先日見つかったのは、そのカードではなく、差出人が「カトリック広報委員会」という封筒であった。
残念ながら、中身は入っておらず、私が別にファイルしてしまったようだ。
全く記憶にないので、偶然発見されることを待つしかないだろう。

消印を見ると 1986年4月22日で、そのとき私は、既に大学に進学していた。
実家の住所宛だったため、もしかすると、高校生の時にバチカン放送に手紙を送ったことと関係しているのかもしれない。

封筒の裏には、母が以下のように記していた。
カトリックから手紙が来て母は驚いたのか、開封して手紙を読んでしまったそうだ。

【勝手に中味を読みました。
お父さんは人とちがった事を書いたから採用されたのだと云っていますが
お母さんはそうではなく
○○(私の名)の本心が出ているからだと思っています】

今のところ、手がかりはこれだけである。

「人とちがった事を書いたから採用された」 ということから、私がバチカン放送に送った手紙が、カトリックで発行した書籍またはパンフレットに掲載されたのかもしれない。

それは高校1年の冬だったと思う。
その日は部活もなく、そしてバチカン放送日本語番組も、珍しく伝播状況が安定してクリアに受信できた。

そのときのテーマは、「隣人愛」であった。
権威に対する反抗心の塊のような私は、「敵を愛し、悪人を赦しなさい」 という教えに反発した。

姉が障害者ということもあり、差別をする人を赦せず、不正を行う人を赦せなかった私は、受信報告書と共に、「悪人など赦せるわけがない。できないことを勧めるのはおかしい」という趣旨の手紙を送った。

その1か月後、私の手紙が番組で紹介されたそうだが、残念ながら、その日は聴いていなかった。
そしてベリカードと共に、1冊の本がバチカンから送られてきた。
しかし私は、その本を読むことはなく、本棚のどこかに置いたままにして、その後わからなくなってしまった。

バチカン放送に手紙を送ったのは、その1回だけだと思うので、「採用された」 というのは、この隣人愛の教えに反発した手紙かもしれない。

するとバチカン放送で奉仕していた神父やシスターが、3年くらい経ってから本にしたのかもしれない。
カトリック広報委員会からの郵便物とは、その出版の案内だったのかもしれない。

私はプロテスタントだが、これは気になるので、カトリック中央協議会のサイトでオンラインで、出版物について問い合わせをしてみた。
困難な調査かもしれないので、上智大学などの図書館で、1986年前後に発刊されたカトリックの書籍を地道に探すことになるかもしれない。

仕事で英語を使っている知人が、ドイツ語の勉強を始めたのだが、英語との違いで違和感を持つことの1つは、やたら長い複合名詞だという。

切れ目が分かりにくいとか、辞書に載っていないため各構成要素を調べる必要があるというのはよく聞くが、その後、なぜ英語と違うのか、面倒だ、などと私がドイツ語を作ったわけでもないのに、文句を言われてしまう。

そんなこともあって、英語翻訳者に対してドイツ語翻訳への参入を促す話をするときに、英語との違いを説明する資料として、長い複合名詞の事例も集めようと思っている。
特に特許翻訳に参入してほしいので、機械や化学の分野で長い複合名詞を探そう。

トラックバックした記事で紹介したのは、DUDEN のコーパスの資料である。
上位を占めるのは法律や規則の名称が多いが、第7位に40文字の化学用語が出ている。

Hochleistungsflüssigkeitschromatographie (高速液体クロマトグラフィー)

最近は、さらに高性能の超高速液体クロマトグラフィーが開発されているため、頭に Ultra- を付けて、45文字になる。これからも装置名や測定方法を探してみよう。

また、最近のドイツ語和訳チェック案件で参考にしたメーカーのサイトで、次のような溶接方法の複合名詞を見つけた。

Hochgeschwindigkeitslaserauftragsschweißen

42文字で、日本語では 「高速レーザ肉盛溶接」 である。

このメーカー TRUMPF では日本語サイトもあるので、溶接以外の加工技術についても、名称の確認に使えるだろう。
www.trumpf.com/ja_JP/%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3/%E7%A9%8D%E5%B1%A4%E9%80%A0%E5%BD%A2/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-lmd/

これからも特許翻訳をしながら、またはサイエンス関係のドイツ語記事を読みながら、長い単語を探してみよう。

翻訳をするときは、辞書で調べることは当たり前のことである。
最近は、紙の辞書よりもオンライン版を使うようになり、対訳で表示するサイトで比較しながら、文脈に合う訳語を探せるようにもなっている。

辞書が大型化して収録単語数や用例が増えても、特に多義語の場合は、翻訳対象に合わせた訳語の選択で迷うこともある。
単に文脈というよりも、専門用語の場合は、その分野によって訳語が異なることにも注意しなければならない。
また、一般的な辞書に載っていない場合、専門辞書を探したり、オンライン検索で調査することも必要だ。
ただ、翻訳者が何も疑問に思わずに、辞書の訳語、特に最初に出ている訳語を使って満足しているときは、誤訳のリスクが高まる。

今月経験したドイツ語和訳のチェックでは、その翻訳者は専門の知識が足りず、一般的な辞書の訳語だけで和訳していることが明らかであった。
更に、名詞の格変化を理解していないのか、誤訳が目立った。

他の案件も作業中のため、20%くらいチェックしたところで、一度翻訳者に返して見直してもらおうと、翻訳会社の担当者に連絡した。
すると、この翻訳者はヨーロッパ在住のようで、日本時間の午前中には連絡ができないという。
その翻訳者が起床してメールを見る頃には、すでに締め切り時間となってしまうのだ。

ということで、誤訳を私が全部修正することになり、予定の倍の時間がかかってしまった。
以前から書いているように、ドイツ語も含めて、英語以外の翻訳者は足りない。

ヨーロッパ在住なのに、残念なのは、Richtlinie を 「指令」 ではなく 「基準」 としていたことだ。

原文が Normen und Richtlinien で、和訳を 「規格と基準」 にしていた。

すべての人がEUの法体系を知っているわけではないだろうが、機械系の翻訳をしているのならば、「EU指令」について聞いたことがあるのではないか。

その項目のところには、Niederspannungsrichtlinie 2006/95/EG などが列挙されているので、
Richtlinie は EU-Richtlinie のことだと気づいてほしかった。

一般的な辞書では、例えば、小学館独和大辞典第二版では、「方針,〔指導〕要綱,基準,原則」 とある。
他の辞書を見ても、「指令」 という訳語は出ていなかった。

では、より専門的な辞書、例えば、成文堂独和法律用語辞典第2版を見てみよう。
① {untechnisch} 基準,ガイドライン ② {→ EU-rechtlich:} [EU]指令

この辞典でも 「基準」 が載っているが、非技術分野で使う場合なので、今回の翻訳対象の機械系では、②の 「指令」 を選択することになる。

ところで、この辞典では、EU-Richtlinie のところに印刷ミスがあった。
和訳が 「EU指針」 となっている。
ローマ字表記の読みが iyuu shirei なので、「EU指令」と印刷するはずだったのだろう。

ただし、この辞典を持っていたとしても、「基準」でかまわないと思い込んで、何も疑問を持たなければ調べることもない。
分野ごとに訳語が変わるかもしれないという、健全な心配性であれば、念のためオンライン検索も含めて調べただろう。

しかし、文法的解釈の間違いの他に、訳抜けもあったので、そのような配慮は期待できないだろう。
なんだか、機械翻訳のポストエディットと変わらない修正作業量のように思えた。
機械翻訳の導入を冷ややかに見ている人もいるようだが、人間が翻訳しても、見当はずれのこともあるのだ。

AIが発達しても、生き残れるような翻訳者になりたいものだ。

今年8月末までの翻訳料金収入は、US$建てもあるが、平均為替レートを適用すると、合計で税込み約346万円の見込みである。
現在は4社と取引しているが、9月からは、約90%の仕事を受注しているA社との取引に集約する。

これまでは、特にドイツ語和訳では、幅広い分野に対応して収入を確保することを考えていたが、実際には、類似の案件が続く特許翻訳に集中した方が楽だ。

また、ここでも話題にしているように、理系知識を持つドイツ語翻訳者が足りないと言っているので、化学者の私が特許翻訳専業になることが一番よいことなのかもしれないから。

受注件数の少ない他の3社は、チェックだけなら続けるかもしれないが、A社の仕事が優先するため、断ることが多くなるだろう。
実際に他社には、9月から土曜日しか空いていない、と連絡した。

今年3月から取引を開始した外国のB社は、ワード数が少ない案件が主体だったため、A社の仕事と同時進行でも可能だった。
しかし、今回のチェック案件で予想の倍以上の時間がかかった。
リスクは避けたいので、年末年始や大型連休など、余裕のあるときにだけ受注するかもしれない。

今回は900ワード程度のドイツ語和訳のチェック案件で、Trados のコンテキストマッチ(CM)と、100%マッチのセグメントは無視してよいという条件だった。
締め切りは5時間後だったが、2時間もあれば終わると思って受注してしまった。

MultiTerm のファイルはないため、CMと100%マッチになっている和訳を参照してチェックを始めた。
すると、誤訳と思われる個所がいくつか見つかった。

例えば、精密測定装置の説明なので、「分解能テスト」 となるはずなのに、「溶解テスト」 になっていた。
この誤訳をそのまま利用しているので、今回のチェック対象のセグメントも 「溶解テスト」 だ。
これを 「分解能テスト」 に直してしまうと、CMと異なってしまうので、クライアントが困ってしまうだろう。

クライアント企業のHPには日本語版もあり、ドイツ語・英語・日本語で並べてみても、「溶解テスト」 をする測定装置は見つからなかった。
他にも、その企業の日本語サイトを見れば、訳語を決定できる場合もあった。

ということで、作業開始1時間後に担当者に、CMと100%マッチなのに誤訳が登録されていることを伝えた。

締め切り1時間ほど前に、クライアントからの要望が伝えられた。
チェック対象を拡大して、誤訳を全部修正してほしいとのことだ。
しかし、元々のチェック対象だけで修正が多く、誤訳の修正は完了しなかった。

とりあえず、終わったところまででパッケージを返却した。
その後、クライアントと誤訳の深刻度について協議したいとのことで、誤訳例を6つ列挙したメールを追加送信した。

そして翌日の朝、すべての誤訳を修正するという追加作業を依頼された。
前日には気付かなかった新たな誤訳もたくさん見つかり、締め切り10分前になんとか提出した。
装置の写真などを参照しないとわからない単語もあって、不十分なチェックのままなのは残念であった。

当初は2時間の予定だったのに、結局6時間もかかってしまい、他のスケジュールがずれてしまった。

Trados に限らず、翻訳メモリを利用する場合、マッチ率が少し低めでも、類似の和訳がそのまま自動入力されることがある。
そのとき、原文で一致しない部分の表示を確認しながら、正しい和訳に修正すればよいのだが、そのまま確定したのかもしれない。

もしうっかり確定したとしても、推敲時間を確保する日程にしておけば、提出前に気付くはずだ。
しかし、私も時間が足りなくて、漢字変換ミスを残したまま納品したこともあるので、あまり厳しいことは言えないかもしれない。
それでも、提出前には自分でできる限りチェックしてから納品すべきだ。

ミスが多い場合のすべてではないが、次の案件を早く受注したいために、推敲せずに急いで納品してしまう人もいるようだ。
リーマンショック後に単価が下がったため、より多く受注して収入を増やしたい気持ちはわかるが、品質第一にしてほしい。
時間がないからチェッカーに丸投げすればよいと思っているのかもしれないが、品質が悪ければ、仕事を頼まれなくなるだろう。

待っていてもドイツ語翻訳者は増えないので、特に英語翻訳者に対して、ドイツ語翻訳に参入するように呼び掛けることが、解決策の1つかもしれない。

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