2018年06月

電子メールを使った連絡では、個人でも教会でも、そして翻訳でも、Gmail を主に使用している。

その前はヤフーメールを使用していたが、今は Gmail で不具合があった場合のバックアップの扱いである。
また、アンケートサイトやインターネットバンキングなどで、連絡先として登録するときに使っている。

さらに、プロバイダのメールアドレスも、アカウントを削除せずに、受信用として使用している。
連絡があるたびに、現在は Gmail を使っていることを伝えて、次回からは Gmail に届くように誘導している。

そして今週は、約9年前の2009年4月に登録した翻訳会社から、約8年ぶりに問い合わせのメールが届いた。
件名には 「」 という旧字体が含まれていたので、最初は迷惑メールと勘違いした。
よく見ると、材料系の業界専門誌の記事について、ドイツ語和訳を依頼しているメールだった。

納期が1か月以上先だったので、土曜日だけで終わりそうだったし、この会社での初めての案件なので、試しに受注することにした。
特許ではないドイツ語を読む訓練にもなるので、利点があると思った。

翻訳料金は、日本語の仕上がり文字数で計算されるため、終わってみないとわからない。
ドイツ語のワード数ベースの金額とどのくらい変わるのか、暇なときに計算してみよう。

ある翻訳者のブログを見たら、この翻訳会社の問い合わせメールの書き方について苦言を呈していた。
その人は、失礼な文面だと感じたそうで、受注しない旨の返信をしたそうだ。
私は、一応登録翻訳者の扱いが継続していたし、細かいことは気にしないので、対応可能であれば受注してもよい。

数年前に閉鎖されたが、翻訳者が自分の情報を登録するサイトがあった。
今回の翻訳会社はその情報を見たそうで、技術系の独日翻訳者としての登録を打診された。

実際には、登録から約1年後になってから、ようやく独日案件の問い合わせがあった。
そのときは入札案件ということで、残念ながら落札できなかったために受注できなかった。
その後、一度も問い合わせがなかったため、転居後に私から連絡することもなかった。

ワールドカップサッカーでドイツがどうなるのか気になるが、空き時間にのんびり和訳してみよう。

今回も2格名詞の用法を取り上げよう。
2格名詞句には sein と結びついて、「…は~だ」という表現がある。

日常的に使われるものでも、成句的な表現であったり、文語のことが多い。
例えば、次のような例がある。

Ich bin anderer Meinung2. 私は違う意見だ。
Sie war guter Laune2. 彼女は上機嫌だった。


新約聖書からローマの信徒への手紙第12章14~16節を引用しよう。
「キリスト教的生活の規範」の一部で、取り上げた表現は16節に出てくる命令形である。

ローマの信徒への手紙第12章14~16節
14 Segnet, die euch verfolgen; segnet, und verflucht sie nicht. 
15 Freut euch mit den Fröhlichen, weint mit den Weinenden. 
16 Seid eines Sinnes untereinander. Trachtet nicht nach hohen Dingen, 
sondern haltet euch zu den niedrigen.

新共同訳:
14 あなたがたを迫害する者のために祝福を祈りなさい。祝福を祈るのであって、呪ってはなりません。
15 喜ぶ人と共に喜び、泣く人と一緒に泣きなさい。
16 互いに思いを一つに、高ぶらず、身分の低い人々と交わりなさい。自分を賢い者とうぬぼれてはなりません。

(最終チェック・修正日 2018年06月23日)

4格支配の前置詞 um の用法には、目的・理由・原因を示すものがある。
ただし、um 2格名詞 willen (~のために、~のゆえに)という、willen と共に2格名詞を挟む表現方法があり、2格支配前置詞の項目に掲載されることがある。

um は、Willen という本来は4格単数名詞を支配し、その Willen の前に2格付加語を置いたもの、つまり「~の意思により」から派生した。

また、名詞の前後を挟んでいるので、um .. willen を、「周置詞」と呼ぶこともあるそうだ。

論文や硬いニュース記事で見ることがあるが、他の表現で代替できるので、自分でドイツ語を書くときに
私は使ったことは一度もない。

目的を示す例文として、Duden の説明で、見出し語の長い複合語を読みやすくするためにハイフンを使っていることの説明を引用しよう。
www.duden.de/sprachwissen/newsletter/Duden-Newsletter-010713
Das längste Stichwort im neuen Rechtschreibduden ist beispielsweise die Kraftfahrzeug-
Haftpflichtversicherung mit 36 Buchstaben, um der besseren Lesbarkeit willen 
mit Bindestrich geschrieben.
…より読みやすくするために…

原因を示す表現として、イエス・キリストに関する預言と言われている、旧約聖書のイザヤ書第53章4~5節を引用しよう。
今回取り上げた表現 um .. willen は、5節に2回出てくる。

イザヤ書第53章4~5節 (Luther 2017)
4 Fürwahr, er trug unsre Krankheit und lud auf sich unsre Schmerzen. Wir aber 
hielten ihn für den, der geplagt und von Gott geschlagen und gemartert wäre.
5 Aber er ist um unsrer Missetat willen verwundert und um unsrer Sünde willen 
zerschlagen. Die Strafe liegt auf ihm, auf dass wir Frieden hätten, und durch 
seine Wunden sind wir geheilt.

新共同訳
4 彼が担ったのはわたしたちの病
 彼が負ったのはわたしたちの痛みであったのに わたしたちは思っていた
 神の手にかかり、打たれたから 彼は苦しんでいるのだ、と。
5 彼が刺し貫かれたのは わたしたちの背きのためであり
 彼が打ち砕かれたのは わたしたちの咎のためであった。
 彼の受けた懲らしめによって わたしたちに平和が与えられ
 彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた。


ルター訳よりもヘブル語原文と新共同訳に近いのは、Elberfelder訳で、これも um .. willen が出てくるので引用しよう。
5 doch um unserer Übertretungen willen war er verwundet, 
um unserer Missetaten willen zerschlagen.

追記(6月23日):
理由を示す例として、サムエル記上第12章22節を引用しよう。

サムエル記上第12章22節
22 Der HERR verstößt sein Volk nicht um seines großen Namens willen
denn es hat dem HERRN gefallen, euch zu seinem Volk zu machen.

新共同訳
22 主はその偉大な御名のゆえに、御自分の民を決しておろそかになさらない。
主はあなたたちを御自分の民と決めておられるからである。




また、willen の前に、代名詞2格の古形が接続した例を示そう。
um meinetwillen 「私のために」、um dessentwillen 「そのために」。
以下の例では、um euretwillen 「あなたたちのために」。

コリントの信徒への手紙二第8章9節
9 Ihr kennt die Gnade unseres Herrn Jesus Christus: Obwohl er reich ist, 
wurde er doch arm um euretwillen, auf dass ihr durch seine 
Armut reich würdet.

新共同訳
9 あなたがたは、わたしたちの主イエス・キリストの恵みを知っています。すなわち、主は豊かであったのに、あなたがたのために貧しくなられた。それは、主の貧しさによって、あなたがたが豊かになるためだったのです。

前売り券を購入していた、オーストリアのドキュメンタリー映画、「ゲッベルスと私」 であるが、本日初日に観た。

午後に教会の用事があって都内に移動した。
16時頃に終わり、雨も降っていないので、岩波ホールに移動して映画を観ることにした。
翻訳関連の書籍が紀伊国屋書店に届いているのだが、明日受け取ることにしよう。

17時頃にチケットを引き換えて、18時半からの上演の整理券をもらうと、番号は一桁。
つまり確実に観られるわけだ。
それほど注目されていないのか、テーマが重いためなのか、チケット売り場で並ぶことはなかった。

ドイツ語映画ではあるが、インタビューに答えるブルンヒルデ・ポムゼルさんの話し方はゆっくりなので、ほぼ聴きとることができた。
そのゆっくりと話すスピードに合わせて、日本語字幕も出てくるので、通常の映画とは異なり、内容を90%以上は再現できていた。

ゲッベルスのもとで働いていたとはいえ、当時の一般的なドイツ人、政治に興味がなかった人々、ナチスに抵抗しなかった大衆の気持ちを知ることができたと思う。
仕事をもらうためにナチスに入党し、与えられた仕事を義務感をもって遂行するというのは、当時の価値観では当然だったであろう。

宣伝省で働いていながら、強制収容所の実態を全く知らなかったというのは疑問点ではあるが、自分の仕事をすることだけを考えていれば、あえて知ろうとはしなかったとしても不思議ではない。

印象的だったのは、ゲッベルスのことを 「Schauspieler(役者)」 と表現していたことだ。
「演技力であの人に勝てる役者はいない」ため、小さな体ではあっても、大衆を熱狂させることができた。

また、途中に何度か挿入されていたゲッベルスの演説や発言から、現代も類似のことが起きているのではないかと危惧している。
あの時のドイツでは、あのような政権を生み出してしまったが、政治に興味を持たなかったり、自分の生活だけを優先しているうちに、同じ過ちを犯してしまうのではないだろうか。

いろいろと書きたいことはあるが、それはこれからさらに考えを深めてから、いつか表現したいと思う。

重いテーマのため、楽しむ映画ではないかもしれないが、それぞれが自分の生き方の課題として考えるということが大切ではないだろうか。

私が映画館に行くのは、年に1回くらいだ。
どうしても観たいと思うテーマの映画を厳選しているため、少なくなってしまう。
DVDを購入することもあるが、最近はauひかりTVで済ましてしまう。

チャリティー映画会や、子供のときに弟に合わせて観に行ったアニメ映画を除き、実際に新作公開時に映画館で観たものを挙げると、以下のように少ない(日本公開年順)。
・「ミッドウェイ」 1976年

・「遠すぎた橋」 1977年
・「スタートレック 叛乱」 1999年
・「スタートレック ネメシス」 2003年
・「ハンナ・アーレント」 2013年
・「ノア 約束の舟」 2014年
・「サン・オブ・ゴッド」 2015年
・「顔のないヒトラーたち」 2015年
・「ヒトラーへの285枚の葉書」 2017年

そして今年は、「ゲッベルスと私」 を岩波ホールで観たいと思い、前売り券を注文した。

公式サイトは次のリンク。
www.sunny-film.com/a-german-life

若きポムゼルは、第二次世界大戦中、1942 年から終戦までの3年間、ナチスの宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書として働き、近代における最も冷酷な戦争犯罪者のそばにいた人物である。本作は彼女が終戦から69 年の沈黙を破って当時を語った貴重なドキュメントである。“ホロコーストについてはなにも知らなかった”と語るポムゼルの30 時間に及ぶ独白インタビューは、20世紀最大の戦争と全体主義の下で抑圧された人々の人生を浮き彫りにする。

ドイツに留学した私は、第二次世界大戦後の日本とドイツの歩みの違いを
どうしても気にしてしまう。
それと同時に、なぜドイツ人がヒトラーに熱狂してしまったのか、その背景を知りたいとも思っている。
様々な書籍やドキュメンタリー番組も参考にして、現代社会への警告としての意味も考えたい。
そのため、今回のドキュメンタリー映画は、できるだけ多くの人に観てもらいたい。

今週の土曜日16日から公開だが、その日の午後は教会で知人の結婚式があるため、18時半からの上映を選ぶことになるだろう。
ただし、土日祝日は混むので、岩波ホールのウェブサイトで混雑状況の表示を確認してから考えよう。
平日の19時からでも可能だが、できれば翻訳を納品した後に、有給休暇を取得して、のんびりしながら観たいものだ。

また、紀伊国屋書店出版部から刊行される書籍も注文した(6月20日発売予定)
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