大学でも企業でも、知り合いがいれば、いろいろな情報が入ってくる。

例えば、自分が不採用になった人事で、代わりにどのような人物が採用されたかも。
これまで具体的な情報を得たのは、大学人事で2件、企業で1件である。

このうち企業人事については、これまで触れていなかったので、ここで簡単に書いておこう。

ある化学メーカーで派遣就業しているとき、他のメーカーで有機合成研究者の中途採用があった。
研究所の場所が近く、転居しなくて済むのも有利なので応募することにした。

その会社で働く知り合いの話では、業績が低迷している、お荷物研究所のため、
社外の人間を入れて、活性化しないと、すぐにでも廃止されるのではないかとのことだった。

私は残念ながら、書類審査で不採用となってしまった。
赤字部門を持つ企業としては、すぐに新製品を出せる経験者・リーダーが希望だったのだろう。

それなら、代わりに採用された人は、とんでもなく優秀な研究者なのだろうと思った。
しかし現実は、研究所側が、がっかりするような人選だった。

研究所の所長が、知り合いの大学教授の強い推薦を断れず、ある国内ポスドクを採用した。
いわゆる「実験の虫」で、たくさん候補化合物を作り続けるから、まぐれ当たりもあるだろう。

しかし、朝から深夜まで実験を続け、また土日も研究所に来て実験するため、
時間外や休日出勤の管理をする総務は、労働基準法を理解してもらえず、困り果てていた。


三六協定の上限を超えても、本人は気にしないだろうが、処罰されるのは会社側だ。
それに休日に労災が発生したら、刑事事件になる可能性もあり、会社としては迷惑だ。

加えてその人は、会話をまったくしない、コミュニケーション能力がない人だそうだ。
それに年齢的にも、大学で面倒を見ることもできなくて、放出したのだろう。

これでは、会社が期待した、新製品を開発する研究リーダーとは程遠い。

本社では、こんな人の採用を承認したわけだから、そんな危機感のない会社に将来はないだろう。
または逆に、失敗人事でもかまわないという、太っ腹の会社なのか。
どちらにしても、不採用になって、実はよかったのかもしれない。


別の派遣先でも、実験しかできない人は見たことがある。
始発で出勤して、終電で帰り、土日も正月も会社に来る、年中無休の人だ。
その会社では、その人を管理職にしていたが、部下は派遣社員が一人いたことがあっただけ。
時間外手当を払いたくないから、管理職にしてあったのかもしれない。

その派遣先は、人事部を通さないルートがあり、有名大学教授がよく利用していた。
助手のポストが空くまで、数ヶ月から3年ほど、腰かけに使うためだ。
その間は、年金や保険で、会社負担分もあるわけだから、本当は損害を出しているのだ。


それにしても、人事とは不思議なものだ。