自称1000万円翻訳者・浅野正憲(敬称略)の在宅翻訳宣伝ブログは、ほぼ毎日、類似した内容の記事が投稿されている。
ネット検索で上位に表示させるための対策を怠らないようだ。

記事の内容は、これまでも指摘されているように、言葉を扱う翻訳者が書いたとは思えないレベルだ。
誤訳や誤記だけはなく、根拠不明の数字が出てくるので、「間違い探しクイズ」をやっている気分にもなる。

このような不適切な記事を大量投稿して、誤訳も修正しないのはなぜだろう。
もしかすると、記事内容が間違っていると判断できない人だけを誘導するための、フィルターの役目かもしれない。

もし、記事の間違いを指摘できる人が翻訳講座に入ってしまうと、浅野正憲の教える内容が間違っていることを指摘されてしまう。
それは面倒なことなので、記事の内容を鵜呑みにする人だけを対象にすれば、誤訳を教えてもばれないと思っているのかもしれない。

あるいは、「これだけひどい内容の記事を信じたのだから自己責任だ」、と言いたいのかもしれない。

そして本日5月9日投稿の記事でも、以下のように、理解不能な記載があることを指摘されている。
引用したツイッターでは、時差の換算ができていないことを指摘している。
実際に記事中から引用しておこう(赤下線を追加)。

UTC.jpg  

翻訳案件の打診では、当然ながら希望納期が提示されている。
この場合は、協定世界時(UTC)で8月11日午後1時だ。

日本標準時(JST)に換算するならば、世界時計を見てもいいし、単純に時差+9時間で午後10時となる。

この時差の換算を間違えると、納期を過ぎているのに納品していないという恐ろしいことになるので、翻訳者は誰でも慎重に計算するものだ。

私が取引している海外の翻訳会社の1つは、中国支社があるため、以下の例のように、東アジア地域の翻訳者には北京時間BJTで納期を提示している。
BJT2.jpg       

浅野正憲の取引先の1つだと言われている大手翻訳会社は、アメリカ東部時間帯の都市にオフィスがある。
UTC午後1時は、アメリカ東部夏時間では-4時間で午前9時だから、通常の営業開始時までに翻訳がほしいということだ。

アメリカの株価を気にしている人ならば、夏時間の時期に、日本の午後10時半過ぎにはダウ平均の速報が入るので、この時差は体感的に理解できるだろう。

ところが、メールの下に示された日本語の説明では、「納期8月11日正午となっていて、この翻訳者(多分浅野正憲)の所在地は日本ではないらしい

8月にUTC-1となる標準時を探すと、例えば、カーボベルデ標準時があり、夏時間は採用していない。

カーボベルデ共和国は、大西洋にある島国で、北西アフリカの西沖に存在する。
ブログなどに書かれた浅野正憲の経歴では、カーボベルデに住んでいたとは思われないので、明らかに誤記だ。

午前1時と勘違いしていても、日本時間は正午にはならない。

または、UTCの意味を知らず、JST+1時間のグアムやオーストラリア東部時間帯のオフィスから依頼されたと勘違いしていたのだろうか。

計算間違いではあるが、幸いにして実際の納期よりも10時間も前に納品することになるので、納期遅れとはならない。
ただ、この10時間があれば、細かいことの裏付け調査も追加可能なので、急いで納品することもない。

時差の計算すらできない人に、重要な翻訳案件を高レートで頼むとは思われない。

また、そのレートについても変だとの指摘が相次いでいる。
12~15円という提案があったわけでもないのに、日本語の説明に突然出てくる。
1週間で20~25万円にするために、ワード数から逆算しただけの架空の数字だ。

私は外資系企業との直接取引で、英日翻訳のワード単価20円前半を経験しているから、この金額は達成可能ではあると思う。
しかし、例示した案件とは全く無関係のワード単価を持ってくるのは、騙す気満々と言われても仕方ない。

単純な時差の計算はできないが、騙すための計算は得意なようだ。

もう1つ嫌味を言えば、2017年のメールではなく、2020年の案件で例示してほしいものだ。
1000万円を稼ぐ売れっ子翻訳者なのだから、新型コロナウイルス流行時で日本が連休のときにも、大型案件を受注しているはずなのだから。

古いメールしか出せないということは、もう翻訳をしておらず、初心者を騙して儲けることに専念しているということなのだろうか。

翻訳関係者は、今後は間違い探しクイズとして、「この記事には疑問点が4箇所含まれています。どこでしょう」と出題して、正解者には無料添削サービスでもしてはどうだろうか。