カテゴリ: ドイツ関連記事

映画館に行くのは、年に1回くらいと少ない。
興味のあるドキュメンタリーやSFを観たいのだが、日曜日は教会に行くし、土曜日や祝日も直前に用事ができることがあるので、なかなか予定できない。

それでも今年は、6月に「ゲッペルスと私」を岩波ホールで観た。
そして11月公開の「パウロ 愛と赦しの物語」を観る予定だ。

それに加えて、10月には「モルゲン、明日」というドイツの脱原発に関するドキュメンタリーを観たいと思っている。
公式サイトは次の通り。
www.masakosakata.com/index.html

福島第一原発の事故から3ヶ月後の2011年6月、ドイツは2022年までにすべての原発を廃炉にすることを決めた。一方、当事国の日本では事故収束の糸口も見えないまま再稼動が始まり、原発輸出の話さえ出ている。

両国の違いはどこからくるのだろう。答えを求めて「私」はドイツに向かった。

そこで出会ったのは、都市で、村で、学校で、教会で脱原発と自然エネルギーへ情熱を燃やし、実践する多くの人々。第二次世界対戦での自国の行いを深く反省し、1968年の学生運動をきっかけに芽生えた反原発・環境保護の意識と情熱を政治に反映し、次世代につなげようとしている彼らの姿は、世界は市民の手で変えられると教えてくれる。

10月6日から14日まで、東京・シネマハウス大塚で上映とのことだが、13日土曜日しか空いていない。
仕事が忙しくなければ、平日に有給休暇を取得して、西荻窪郵便局などの新規使用風景印の収集も兼ねて都内に行って、映画鑑賞もしたいものだ。
11月3日からは、横浜シネマリンで上映されるが、できれば10月に観たい。

ドイツ政府の脱原発の決定や、ドイツ市民の環境意識の高さは、単純に日本に当てはめることはできないものの、彼らの決断の背景を知ることは大切だと思う。

危険な日本の原発を止められなかった、化学者であり、WWFジャパン会員でもある私が、これからどのように活動していくのか、そのヒントになれば幸いだ。

教会には興味を持つ人もいるので、日曜日の礼拝の後に紹介してみよう。

(最終チェック・修正日 2016年10月28日)

翻訳専業になってからも、英語とドイツ語の特許の和訳が中心なので、他の分野のドイツ語を読むためにドイツメディアのチェックは続けている。
今日は特に、ベーリンガーの工場跡地から高濃度のダイオキシンが検出されたことと、BASFの工場火災事故が気になった。

ドイツのライン川に面したルートヴィヒスハーフェンにあるBASF本社工場で、
ドイツ時間の17日21時半頃に、タンカーとの間で原料を移送するパイプラインの破損に起因すると思われる爆発火災が起きた。

事故発生後からBASFでは、フェイスブックとツイッターを使って、情報を発信していた。

港に停泊していたタンカーへの延焼を防ことができ、約10時間後に鎮火して、18日11時(ドイツ時間)にプレスリリースが出た。
(ドイツ語) www.basf.com/de/de/company/about-us/sites/ludwigshafen.html
(日本語) www.basf.com/jp/ja/company/news-and-media/news-releases/jp/2016/10/Release-Oct-18-11am-GMT.html


また、ドイツの報道は、例えば、以下のとおり。
www.spiegel.de/panorama/explosion-bei-basf-a-1117139.html
www.sueddeutsche.de/panorama/chemie-unfall-in-ludwigshafen-sechs-verletzte-nach-explosion-bei-basf-auf-der-intensivstation-1.3210678
www.zeit.de/gesellschaft/zeitgeschehen/2016-10/basf-explosion-ludwigshafen-loeschung-brand-vermisstensuche

ルートヴィヒスハーフェン市が事故に関して出している情報は次の通り。
www.ludwigshafen.de/buergernah/buergerservice/aktuell/explosion-auf-basf-gelaende/

この爆発事故によって、BASF独自の消防隊員2名が死亡し、重傷者8名と軽傷者17名は病院に搬送された。
行方不明者1名はまだ見つからず、安全が確認されてから、水中をダイバーが捜索する予定である。

火災が起きたのは、エチレンとプロピレンのパイプラインとされているが、発火原因は現時点で不明である。
多数のパイプラインが同じトレンチ内にあって影響を受けたため、14の生産設備が停止している。

Streamcracker と呼ばれる水蒸気分解設備が使えないため、原料供給ができないという。
一部稼働可能な設備もあるそうだが、生産の再開時期や生産量の減少による損害額などは、
現時点では不明である。
(追記(10月20日):スチームクラッカーの系統を切り替えて、ナフサ生産を再開可能とのことだ。)


大量の消火剤が散布されたが、全てBASFの排水処理施設を通じて浄化してからライン川に放流したため、汚染物質の濃度は増加していない。

ラインラント・プファルツ州議会では特別委員会が設けられ、事故について、この地域の住民や環境に悪影響があるのかどうかを協議する予定だ。

追記(10月19日):
行方不明者の捜索は、17名のダイバーによって19日11時頃から開始され、最新のプレスリリース(19日14時(ドイツ時間))で、遺体が12時半頃に発見されたことが発表された。
www.basf.com/de/de/company/about-us/sites/ludwigshafen/the-site/news-and-media/news-releases/2016/10/p-16-346.html

生産が止まっているものの、BASF全体で見れば損失の割合は小さいとアナリストが予想したためか、株価は下落していない。
BASFの株価は70ユーロ後半で、過去1年間の高値水準で先週から推移している。
先週発表された四半期決算概要で減収減益となったことの方が注目されているようだ。

BASFのこの工場では、今年も何度か化学物質の漏えい事故があり、特に毒ガスのホスゲンが漏れたことから、緑の党などが徹底的な設備点検を要請していた。
7月にホスゲンが漏れたとき、けが人がいなかったこともあって、BASFの公表は2か月後になり、批判されていた。
今回は危険な物質が漏れなかったが、都市の近くで、そして国際河川のライン川のそばで操業を続けるリスクを再考すべきだろう。
www.swr.de/landesschau-aktuell/rp/naechster-vorfall-in-ludwigshafen-wieder-giftige-gase-bei-basf-ausgetreten/-/id=1682/did=18247992/nid=1682/1iqxk68/

追記2(10月20日):
19日のプレスリリースで、スチームクラッカーは、
火災の影響を受けていない系統に切り替えて、ナフサ生産に使用可能と発表された。

追記3(10月28日):
パイプラインに亀裂が見つかり、ここから可燃性ガスが漏れて発火し、爆発に至ったと推定されている。
外部の業者がパイプラインの補修作業中に、何らかの原因で、可燃性ガスが流れているパイプラインを傷つけたようだ。
その作業員は、現在入院中とのことで、回復してから原因調査が進むものと思われる。
www.faz.net/aktuell/gesellschaft/ungluecke/basf-explosion-ursache-koennte-schnitt-in-rohrleitung-sein-14498556.html

BASFは、3名が死亡し、30名が負傷したこの爆発事故について、安全上の欠陥はなかったと発表している。
年は、毒性のホスゲンの漏えいも含めて、16件もの事故を起こしているため、州議会は臨時議会を招集してBASFに詳細な説明を求めている。
www.faz.net/agenturmeldungen/dpa/basf-sieht-nach-explosion-keine-sicherheitsmaengel-14500116.html

第二次世界大戦終結から70年の今年は、日本とドイツの戦後の歩みの違いを意識する年でもあったように思う。
日本はドイツに学べなどと、よく批判されるが、周辺国との関係や状況が全く異なるため、単純なことは言えない。
それでも、現在のドイツがEUのリーダーと期待されるまでになった背景について、その歩みを学ぶことは無駄ではないだろう。

「過去を直視して忘れない」という決意が、戦後の西ドイツの特徴と思われているが、実際には
経済的復興を優先して、ナチスが支配したドイツを過去のもとして忘れ去ろうとしていた。
そして元ナチス党員が政府も含めて要職に就いていたことも事実だ。
そのような風潮を一変させたのは、今回鑑賞した映画で取り上げられた、アウシュヴィッツ裁判である。

2014年作のドイツ映画、「顔のないヒトラーたち」、原題は Im Labyrinth des Schweigens (沈黙の迷宮の中で)。
公式サイトは次の通り(YouTubeの予告編あり)。
kaononai.com/

在日ドイツ大使館とシネマトゥデイの紹介記事、Newsweek日本版のコラムは、それぞれ次の通り。
www.japan.diplo.de/Vertretung/japan/ja/__events/2015-10-12/2015LabyrinthSchweigens.html
www.cinematoday.jp/movie/T0020196
www.newsweekjapan.jp/ooba/2015/09/post-4.php

映画パンフレットに掲載された、在独ジャーナリスト熊谷徹のコメントは、ハフィントンポストのサイトでも読める。
www.huffingtonpost.jp/toru-kumagai/auschwitz-trial_b_8238418.html

映画では実在の人物も登場するが、主人公の若き検事は架空の人物であり、ドキュメンタリーというよりは、歴史の再認識に至るまでの、様々な立場のドイツ人の葛藤を表現している。
アウシュヴィッツからの生還者の証言シーンもあるが、それよりも「いまさら過去をあばくな」という周囲の圧力や、警察・政府機関の非協力的態度の比重が大きく感じられた。
そして逮捕場面も含めて、元親衛隊員が戦後、教師やパン職人など、ごく普通のドイツ人として暮らしていることを見せて、「普通の人間が残酷な殺人者にもなれる」ということを意識させようとしたのだと思う。

アウシュヴィッツを忘れないことと同時に大切なのは、アウシュヴィッツのような人道に対する犯罪を二度と行ってはならないと決意することだ。
日本では同様の裁判はできないとしても、国際社会で名誉ある地位を得たいのであれば、化学兵器の使用や人体実験、強制労働などの事実を認め、過去の過ちを繰り返さないことを国会決議してほしいものだ。

ところで、ドイツ語の方が、英語よりも聞き取りやすいと感じるのは、私だけだろうか。

昨日はノー残業デーだったが、危険物管理のSOP (標準業務手順書)の原案を作成していて、1時間半ほど残業してしまった。
帰宅後にドイツ語特許和訳2件のチェックを始める予定だったが、データをダウンロードしただけで、実際の作業は今朝から始めた。
夕食後に1件が終了し、残り1件は日曜夕方以降にチェックすることにして、ドイツの新聞ZEITで見つけた、ドイツワインのクイズを解いてみた。
www.zeitakademie.de/seminare/koerper-geist/deutsche-weine/quiz

私はフランケンワインが好きなのだが、グルメではないので、詳しいわけではない。
ただ、ドイツ留学経験者ということで、ワインも知っているだろうと質問する人もいるので、この機会に知識を仕入れようと思った。
以下に問題15問と、私の解答を示し、記事の最後に正解を載せよう。

1. 2014年にドイツでワインの生産量が最も多かったワイン生産地はどこか。
  a) ラインヘッセン  b) モーゼル  c) バーゼル   → 解答 a)

2. どの温度で赤ワインを飲むべきか。
  a) 温度は関係ない  b) 軽く冷やす  c) 室温  → 解答 c)

3. どの温度で白ワインを飲むべきか。
 a) 氷冷  b) 温度は関係ない  c) 冷やす   → 解答 b)

4. 二日酔いの予防法は。
  a) ワインの後にビール  b) ビールの後にワイン  c) 水を飲む  → 解答 c)

5. スパークリングワインを開けた後で炭酸の刺激を保つにはどうすればよいか。
  a) 不可能である  b) きつく栓をして冷蔵庫に入れる  c) ビンに銀のスプーンを差し込む  → 解答 b)

6. どのブドウから白ワインができるのか。
 a) どの種類でも  b) 赤いブドウの房  c) 淡い緑色のブドウの房  → 解答 a)

7. ドイツでロゼワインはどのように作っているのか。
 a) 赤いブドウの房から  b) ピンク色のブドウの房から  c) できあがった赤ワインと白ワインを混ぜる  → 解答 a)

8. 料理中のワインのアルコール含有量について、どのような状態なのか。
 a) アルコールは料理中に含まれたままである  b) ソースやスープに加えたアルコールを煮つめると、ワインの風味だけが残る → 解答 a)

9. どの料理にどのワインを飲むのか。
 a) 赤身肉やチーズには赤ワイン、白身肉や魚には白ワイン、甘い食事にはロゼワイン
 b) 特定の食事に特定のワインを飲むという客観的理由はない
  c) 食事に合うワインを選ぶときは、ワインの色ではなく、その他の特性で決める   → 解答 c)

10. 価格が高いほど良質のワインなのか。
 a) いいえ、価格は重要ではない  b) どちらともいえない  c) はい、品質が価格となる  → 解答 b)

11. ドイツ人は一人当たりどのくらいのワインを年間に飲んでいるのか。
  a) 100リットル  b) 24リットル  c) 150リットル   → 解答 b)

12. モーゼルで一番栽培されているブドウ品種はどれか。
 a) Riesling (リースリンク)  b) Müller-Thurgau (ミュラー・トゥルガウ)  c) Spätburgunder (シュペートブルグンダー)  → 解答 a)

13. ドイツで生産されるワインは年間何リットルか。
 a) 1040万ヘクトリットル  b) 620万ヘクトリットル  c) 830万ヘクトリットル  → 解答 c)

14. フェーダーヴァイサーを買うときに注意すべきことは。
 a) ビンを寝かしたまま運ぶ  b) ビンをまっすぐ立てて運ぶ  → 解答 b)

15. ワインのアルコール含有量に関係しないものはどれか。
 a) ブドウの品種  b) ブドウの成熟度  c) 発酵工程  → 解答 a)

みなさんはどうでしたか。



正解は以下のとおり。
  1. a) ラインヘッセンは、2012年と2013年もドイツでトップのワイン生産地であった。

  2. b) ドイツの室温20~22℃は高すぎる。軽めで新しくフルーティーな赤ワインは12~14℃、強くてこくのある赤ワインは14~18℃がよい。

  3. c) 冷やすとよいが、冷やしすぎると香りが感じられない。白ワインの種類によって適温は変わる。軽めで新しく辛口の白ワインは9~12℃、香りが強く熟成した白ワインは11~13℃がよい。

  4. c) ワインの成分には利尿作用があるため、水分を補うことが大切。

  5. b) 栓をして冷蔵庫で冷やせば、翌日まで炭酸が残る。

  6. a) 赤いブドウでも中の果肉は淡い緑色で同じ。果皮と一緒に発酵させると赤ワインとなる。

  7. a) 赤いブドウから白ワインを作る方法で、赤い果皮をいくらか入れて、色と香りを付ける。

  8. a) 

  9. c) 最終的には、どの組み合わせが合致するのかで決定する。

10. b) 

11. 
b) 一人当たり年間24リットルで赤ワインが一番多く、白ワイン、ロゼワインの順。ちなみにコカ・コーラは30リットル、ビールは107リットル、コーヒーは148リットル。

12. 
a) 60%がリースリンクである。

13. c) 2013年の生産量は830万ヘクトリットルで世界10位。

14. b) 酵母が残っていて発酵が進んで内圧が上がるため、栓には内圧を調節する機能がついている。そのためビンは立てて運ぶとよい。

15. a) アルコール含有量は発酵工程で決まる。

プロテスタントにとって2017年は、ルターによる宗教改革500年の記念の年である。
2008年から既に記念行事が開催されていて、世界遺産のルターシュタット・ヴィッテンベルクだけではなく、ルターゆかりの各地で様々なテーマで講演や展示などが行われている。
www.luther2017.de/en/
www.wittenberg.de/#


そして今年話題となったのは、子ども向けおもちゃのプレイモービルでマルティン・ルターのフィギュアが発売され、わずか72時間で34,000個が完売となったことだった。
www.welt.de/vermischtes/article137599606/Martin-Luther-Figur-stellt-Verkaufs-Rekord-auf.html

その後、5万個または10万個を追加生産して、4月または5月に再発売する予定であった。
プロテスタントの私としては、子ども向けではあっても、記念に入手したいと思っていた。
すると、ドイツ旅行から戻った知人から、ドイツ語旅行会話を教えたお礼として、ルターのフィギュアを渡された。


http://blog-imgs-80.fc2.com/m/a/r/marburgaromaticschem/2015070522150368e.jpg


http://blog-imgs-80.fc2.com/m/a/r/marburgaromaticschem/20150705221504986.jpg 

帰宅してから組み立てて、机の上に置いている。
これから聖書を読むときは、ルターのフィギュアの前で読むことにしよう。

ヴィッテンベルクを訪ねる旅を企画したいとの要望もあるので、今後2年くらいは、教会でドイツ語ブームになるかもしれない。

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