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定期購読している「通訳翻訳ジャーナル」2019年春号が届いた。
書店では明日21日発売だが、いつも1日前に郵便で届くので、少し得した気分だ。

そして今回の号の特集は、
今もこれからも、求められる人材になるために 
-「通訳者・翻訳者がやるべきこと
http://tsuhon.jp/book/7290

私が関わる翻訳分野では、やはり最近話題の機械翻訳への対応が挙げられている。
実際に英日特許翻訳では、機械翻訳+ポストエディットのプロジェクトに参加しているので興味がある。
これから特許翻訳に取り組もうという翻訳者もいるので、今後の予測と共に、読むべき記事だと思う。

本日読んだのは次の2つ。
1) 井口耕二 「道を拓く 何をどう考え、どちらに進むべきなのか」
2) 河野弘毅 「機械翻訳の時代に活躍できる人材になるために」

1) については、執筆者のブログでも紹介している。
buckeye.way-nifty.com/translator/2019/02/post-0853.html

他の媒体と同様に、この記事でも機械翻訳に対する私見が書かれている。
「自分の道は自分で選ぶ」ということで、機械翻訳を使わないことを選んでいるのであって、他の翻訳者が有名翻訳者の私見をそのまま信じ込むことがないことを祈りたい。

機械翻訳を選ばなかった理由として、本当のところはわからないとしながらも、「MTの出力文を読み続けると言語感覚が狂う、という意見もある」と紹介している。

この「言語感覚が狂う」ということについて、データがないためわからないとしながらも、「私は狂うはずだと思っているが、意外なほど狂わないのかもしれない。」と書いており、機械翻訳に反対している人たちのような断言は避けているようだ。

それでも、「翻訳メモリーさえ使わないのだから、機械翻訳を使うことはありえない。… 機械翻訳のおかしな出力文を大量に読んで言語感覚が狂ったら致命的だとも思っている。」と書いている。

また、記事の冒頭にあるように、「MT+PEも(実際のところどうかは別として)コストダウンの口実になるので業界がMT導入に流れていくのは避けられないだろう。」ともある。

機械翻訳の導入による影響については、機械翻訳を使うことを選んだ人たちが行えばよいということなのかもしれないが、翻訳業界が可能な限りまとまって、学術的に研究し、そして翻訳者の育成も含めて、取り組むべきではないだろうか。

2) は、実際に機械翻訳を利用している人の記事なので、これから取り組もうとする翻訳者には有益だろう。

機械翻訳は今後も性能の向上が続くと考えられ、最近は大量の言語データの対訳コーパスが得られなくても、高い翻訳性能を実現する技術が研究されている。

また、アダプディブな機械翻訳エンジンという新技術では、ニューラル機械翻訳エンジンに追加のトレーニングを施して、個別の領域に特化してMTの性能を改善しようとしている。

機械翻訳の利用については、様々な立場の人が情報を発信しているが、どの情報も鵜呑みにすることなく、発言者の立場や意図に注意する必要もある。

人間と機械が役割分担するという新しい働き方に対応するとしても、それでも高い翻訳能力を有する人材が必要だ。
ただし、現在のような翻訳者の仕事とは変わるかもしれない。
アダプディブな機械翻訳エンジンを最適化するには、機械に学習させる対訳データの内容を吟味したり、パラメーターを調整するなど、翻訳者の経験をベースとした新しい職種が生まれるかもしれない。


私は、作業の効率化が実現できるならば、機械翻訳を積極的に利用したいと考えている。
ポストエディットが面倒な場合もあるが、それでも10%~20%の効率化が実現している。

また、機械翻訳の導入によって、特許技術内容を理解せずになんとなく翻訳をしている人や、誤訳を指摘しても直さない人、推敲せずに納品してしまう人などは、翻訳業界から退場することになるかもしれない。

日々の業務で忙しいが、英語・ドイツ語がわかる化学者として、これからも活躍できるように努力しよう。

海外の翻訳会社との取引では、翻訳料金をアメリカドルでもらっている。
ただし、ドイツ語案件はヨーロッパ支社から来ることが多いので、ユーロ建てでもよかったかもしれない。

契約時には翻訳料金について、こちらからレートを提案したところ、そのまま合意した。
もしかすると、私の提示したレートが安かったので、そのまま採用されたのかもしれない。
契約した約2年前は、
1=115円を想定して提案したので、今年は円換算すると損をしていると感じてしまう。

独日翻訳はワード単価で計算するが、和訳をチェックする案件は時給のときもあれば、翻訳ワード単価の10%のこともある。
また、10ワード程度の短い翻訳だったり、30分以内に終わりそうなチェックでは、作業1ユニットとして$5.00ということもある。

それで、今日問い合わせがあった翻訳は、10ワード未満であり、ワード単価で計算すると端数があるということで、項目が追加されて合計$1.00になった。

予算の都合なのかもしれないが、$5.00だとうれしかった。
まあ収入が約100円増えて、お茶を1本買えると考えておこう。

それで今回の短い翻訳だが、誰かの名言のようなものだった。
検索してみると、ある小説の一節であることが判明した。
元はフランス語の小説で、その和訳も出版されていたので、対応する和訳は見つかった。

ただし、ドイツ語から和訳してほしいという依頼だし、フランス語からの和訳をそのまま使うと、著作権の問題も発生するだろう。
著作権については、オペラ台本の和訳のチェックで面倒なことになったので、もう二度と経験したくない。

ということで、ドイツ語からオリジナルの和訳を作った。

したがって、今回私が関わった、フランス語 → ドイツ語 → 日本語 という重訳の結果は、フランス語から和訳した書籍の表現とは、当然異なる。

言いたいことは変わらないと翻訳者が思っていても、実際には表現が違うので、読み手の印象は変わるかもしれない。

(最終チェック・修正日 2018年12月19日)

一度取引してみて、対応がずさんなため、もう二度と仕事を受注しないと決めた翻訳会社Kだが、青色申告のために支払調書を発行してもらわないといけない。

翻訳料金が確定した9月のやり取りでは、確定申告に必要な時に支払調書を請求してほしいとあったので、他の翻訳会社のように1月下旬に自動的に郵送してくれるのではなさそうだ。

今年の収入についての確定申告書の作成コーナーは、来年1月4日公開予定であるし、実際の申告は2月なので、それほど急ぐことではないが、今年のうちに早めに片づけたい。

今年のうちに支払調書を発行してほしい理由の1つは、トラックバックした記事に書いたように、源泉徴収の金額が間違っている疑いがあるので、年内に確認したいということだ。

9月のメールでは10%の源泉徴収と書いてあったが、復興
特別税を入れると10.21%を源泉徴収しなければならない。

翻訳者が確定申告したときに最終的な税額は決まるわけだが、この翻訳会社Kは、2013年分の所得から始まった復興
特別税の徴収義務を5年近く行っていない疑いがあるのだ。

取引先にこのような疑いがあったので、所轄の税務署に調査を依頼してある。

それで、支払調書の発行を依頼したのは12月12日水曜日である。
問い合わせをしたのに本日までメール返信がないのは、これまでと同様の対応だ。
メール返信が面倒であっても、すぐに発行して郵送してくれれば、15日土曜日までに届いたと思うが、何も来なかった。

このような翻訳会社と取引している翻訳者は、本当に存在するのだろうか。

追記(12月19日):
問い合わせから1週間後の本日、翻訳会社Kから支払調書が郵便で届いた。
源泉徴収は、やはり10%のみであることが明白になった。

予想よりも早い対応であったが、支払調書のみが入っていて、ビジネスレターでは当然の挨拶状はなかった。
しかも、醤油なのか、茶色のしみがついている。
社名や住所も手書きなので、支払調書を発行するということ自体が、まれなことなのだろう。

翻訳料金の銀行振込手数料は、翻訳者負担ということで引かれていたので、今回の支払調書をもとにして、振込手数料は108円と判明した。
振込手数料も含めた内訳計算書を発行してほしいと依頼していたが、これはもうあきらめた方がよさそうだ。

所轄の税務署から、公正取引委員会・中小企業庁の連名の、今年度の「消費税の転嫁拒否等に関する調査」の調査票が届いた。

来年10月に消費税率が10%に引き上げられる予定だが、増税前に先行して本体価格の引き下げ、つまり買いたたきが起こっているようだ。
また、増税分を上乗せする交渉自体を拒否するケースもあるという。

前回の5%から8%に上がったとき、2014年4月以降に、内税方式が建前の翻訳料金が上がることはなかった。
当時は医薬メーカー子会社で勤務していて副業翻訳であったから、単価のことはあまり気にせず、交渉もしていなかった。

10%になるときにも同様に翻訳料金が上がらないならば、本体価格の不当な引き下げと考えられる。

ただし、ワード単価の設定は、翻訳対象の難易度やCATツールの解析結果などで変わるし、クライアントの予算にも左右されるから、単価が上がらないから買いたたきだと決めつけることはできない。

翻訳専業の現在は、翻訳会社社員としての収入が大半であり、国内の翻訳会社2社との取引は年間20万円程度で、消費税相当額も少ない。
少ないからと言って、私が消費税の転嫁を要求しないのならば、他の翻訳者に対して影響があるかもしれない。

うち1社は外税方式だから、10%になれば、当然ながら増税分が上乗せされて支払われるはずだ。
もう1社は時給制でチェッカーをしていて、10%になれば40円くらい上乗せになるはずなので、来年になったら問い合わせてみよう。

ついでに、1回受注しただけで今後は取引するつもりがない翻訳会社Kは、決めつけて悪いが、たぶん上乗せしないだろう。
要請しても翻訳料金の明細を出さないし、源泉徴収が10%のみで復興特別所得税を引いていない会社なので、消費税のことも勘違いしているに違いない。

特定の翻訳会社のことを告発するつもりはないが、翻訳料金が税込みという建前なので、10%引き上げ時に、増税分が上乗せされて支払われるかどうか、監視をお願いするつもりだ。

PayPalにUS$建て翻訳料金が入金したので、残高の約$1320を日本円に換金して、約14万5千円を日本の銀行口座に移動した。
請求書作成時よりも少し円安になったため、約2500円の為替差益が発生した。

そのうち6万円を事業主貸とし、来年5月に支払う住友生命の個人年金保険用として、18万円の期日指定定期に充当した。
これで、個人年金保険の支払い2契約と奨学金返済の、期日指定定期を3本準備できたので、少し気が楽になった。

この時点で、個人事業主用の三菱UFJ銀行日本円口座の残高は、約11万円となった。
今年購入予定の書籍は1万円くらいだし、10月に払う青色申告ソフトウェア使用料は、10月に入金する翻訳料金で支払えるので、他の使い道を考えた。

そこで、10万円の3か月定期にして、もし Trados Studio 2019 にアップグレードする場合に、その購入費用とすることにした。
今週もキャンペーン価格で宣伝しているのだが、急いで導入する必要がないため、とりあえず、他のことに使わないように定期預金で確保しておこうと思う。

3か月後の利息はわずか2円なので、増やすことが目的ではない。
Trados の購入に限らず、PCがクラッシュしたときなど、緊急に購入する必要がある場合に対する備えと考えている。

現在は、Trados Studio 2015 を使っている。
その後、2017 が発売されたが、海外の翻訳会社から特に指示がなかったので、アップグレードしなかった。
2019 がリリースされても、クライアント側での検証作業が済んでいないこともあり、今のところ 2015 で作業してもよいそうだ。

それに、ヨーロッパの企業から依頼される案件は、翻訳者用のライセンスを割り当ててくれるMemoQを使うことが増えてきたし、ブラウザで使うツールもあるので、Trados を使う案件は3割くらいだ。

翻訳者の金銭的負担がないMemoQが増えると予想しているが、過去の蓄積を使うために Trados から移行しないクライアントもあるだろう。
2020年にアップグレードすると想定するつもりだが、要望があれば、中途解約してすぐに対応しよう。

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